2 - 19.『Central City』
2-19.『中央都市』
※1-1の修正を行いました。内容に変更はありません。
誤字や文法などの修正、内容の簡易化などをしています。
時間のある方はどこが変わったか見てみて下さい(笑)
それから1日。再びあの怪物に遭遇することは無かった。僕たちは中央都市に着いた。門番に止められる。
「本日はどのような用件で中央都市へ?」
「あ、はい、僕たち迷い人で、申請をするために……」
「分かりました。ではこちらの水晶に触れて下さい。」
そう言って門番は水晶を差し出した。僕はそれに触れる。何も変化は無かった。
「ありがとうございます。人狼ではありませんね。続いて、そちらのお嬢さんも。」
シーナにも水晶が差し出され、シーナも触れる。やはりなにも変化はない。
「確認しました。」
「因みに人狼だと何か水晶に変化があるんですか?」
「はい、水晶が赤く光ります。羊主が作り出した魔道器具なんですよ、これは。」
「へぇ……そうなんですね。」
羊主はただの名誉職かと思っていたが、才能に富んだ迷い人らしい。だからこそ、人々に恐れられるという訳か。
「教えてくれてありがとうございます。」
「いえ、慣れてますので。……それと中央都市では気を付けてくださいね。」
「え? 何かあるんですか?」
僕が聞か返すと、門番は少し声を小さくして忠告する。
「……どうやら治安が悪くなってるようなのです。迷い人の中でも冒険者と呼ばれる荒くれ者たちが、中央都市に集まっています。何か羊主かのお達しがあったと思うんですけど、門番には知らされないので詳しくは。」
「わざわざありがとうございます。気を付けます。」
門番はニコリと笑った。教えてもらわなければ、何かの事件に巻き込まれていたかもしれない。あの街主と言い、迷い人の全員が全員悪いという訳では無さそうだ。やはり上位になればなるほど、傲慢になっていくということなのか。
僕たちは挨拶をすると、馬車で中央都市の中に入る。活気溢れる都市だ。都市に入ると同時に、人々の賑わう声と熱気が押し寄せてくる。ここが世界最大の都市というだけある。
「中央整備も整っているみたいだな。やはり羊主は只者じゃないな。」
「ロムス、そこの角を曲がったら人狼局みたい。」
確かに人がたくさん集まっているように見える。そこへ向かうように馬を促す。変わらないスピードで僕たちが乗った馬車は、人狼局に着いた。
僕たちが馬車から降りると、馬車はどこかに去って行く。どうやら馬車は乗客がいなくなると、自分で馬車乗り場へと帰っていくらしい。つくづく便利だな。
人狼局は王都の建物に引けず劣らずで豪勢な建物だ。これがこの世界の迷い人、人狼をまとめている最高機関。そして、そのトップが羊主。
ここは人狼局の中央本部だが、重要な施設などは中央都市中央部に存在する、〈セントロトーレ〉と呼ばれる巨塔内部に存在する。重要な役職の面々もそこに住んでいるらしい。
人狼局の中もやはり賑わっていた。門番に聞いた通り、人相の悪い者たちが集まっている。男も女も問わずだ。これが冒険者という人達なのだろうか。
僕とシーナは真っ直ぐに受付へと向かう。何やら視線が向けられているのが分かったが、そちらを向けば絡まれるのは分かっているので振り向かない。そうして受付に着く。
「ご用件は何でしょうか?」
「迷い人の申請に来ました。」
「はい、畏まりました。都市の外壁門にて一度確認をされたと思いますが、再度確認を行います。こちらの水晶に触れて下さい。」
受付嬢から出された水晶に僕、シーナの順で触れる。やはり変化は無い。いや、あるのは困るけど。ここまで厳しく行うという事は迷い人を騙る人狼が多いという事なのだろう。
「ありがとうございます。では申請に移ります。こちらの書類にフルネーム、年齢、性別、役職もしくは地位などを記入して下さい。他の欄は空けておいて構いません。」
2枚の書類が渡される。それぞれ受け取った。時間を掛ける訳でもなく、ササッと記入し終わった。因みに僕は公爵家というのは書かなかった。勘当されたからね。魔道学院生と書いておけばいいよね。
「終わりました。」
僕とシーナと合わせて提出する。受付嬢は内容を確認すると、間違いがないようで他の局員に手渡した。それからこちらを向く。
「これで申請は終了です。宿舎はこちらを使用して下さい。」
地図が出される。そこには人狼局と外壁門の真ん中ほどの位置にある、通り沿いの宿舎が示されていた。地図を頭に入れておく。
「基本的に宿舎の変更はできません。何か不便な点や困る事があれば、こちらの人狼局でお願いします。また、受領のお知らせなどは致しませんが、不備がありましたら、宿舎の方に直接連絡がいくことになります。」
「分かりました。」
「最初の1ヶ月後は、宿舎の使用に金額は掛かりません。ですが、それ以降は毎月銀貨1枚が必要です。稼ぐには街主などの地位職に着くか、冒険者になる、もしくは店を開くのどれかになります。それは1ヶ月の間に考えれば良いと思いますが、この中央都市内でもお金は必要となると思います。ですので、申請時点で1人銀貨10枚が支払われます。上手く活用して下さいね。」
それから僕たちは宿舎の部屋の鍵と銀貨10枚を渡された。人狼局を出ようとした時にそのニュースは飛び込んで来た。
ポイント評価・ブックマーク登録お願いします!!!




