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2 - 10.『Speculation』

2-10.『思惑』


遂に第二章も2桁ですね。

「魔物を対処する!スナート、リーラ、シーナは離れて!」


「うん!」


 3人は距離を置く。これで被弾するのは防げた。僕はヨルクスを見る。ヨルクスも僕を見た。意思疎通は取れているようだ。素早く魔法を唱える。


「【茨の森】。」


 ロックリザードの地に着く四足を茨で封じる。余程の事がないかぎり、破れることの無い束縛の茨だ。少しづつ胴体も絡めようと上に上にと伸びていく。


「【氷礫】。」


 幾つもの氷の礫がロックリザードの硬い背面を避けて当たっていく。主に関節を狙うその技は、的確にロックリザードにダメージを与えていた。


 だが、僕らが一体を処理する間に三体は増える。恐らくはこの魔物は倒されないこと前提で設定されているのだろう。倒されれば、その度に復活する。


「おい、大丈夫なのか!?」


 スナートが叫ぶ。だが、のんびりと反応する暇は無い。次々と茨を出していく。魔力もどんどん減っていく。


「俺たち死ぬのか……?」


「そう簡単に死ぬーとか言っちゃーダメだよー」


 リーラが喚き散らすスナートを止める。ありがたい。集中が途切れるところだった。それよりもこの状況を挽回できる作が必要だ。【多重詠唱(マルチチェイン)】を使うか? だが、〈J-19〉の連中に見られるのは好ましくない。


「ロムス危ない!」


「え? うわっ!」


 捨て身で突進してきたロックリザードに飛ばされる。


「【微風(そよかぜ)】。」


 受け身を取らずに風系統の魔法で勢いを殺す。僕は立ち上がる。その間にもヨルクスは氷系統の魔法でロックリザードを倒していく。


「重力系統で蹴散らすのも一手かもしれない……」


 ロックリザードは名前通り、岩で体を覆われている。生半可な力ではビクともしないが、大きな力を与えてあげれば、岩は粉々に砕ける。ヨルクスの【氷塊】などが良い例だが、それでは膨大な魔力量を必要とする。ここは単純な白魔法重力系統の魔法でいくべきだろう。


「【破砕】。」


 直接物体を砕く魔法。重力系統は使える魔法の幅が広いため、広く魔道士に好まれて使われている。ロックリザードの体を構成する岩岩は砕けていった。


「ロムス、ナイス!」


「ロムス、すげぇな……」


 スナートが口を開けて驚いているのが見える。そう言うスナートも魔法の素質はあるはずなんだけど。単に練習量が足りていないだけなんだけどね。今後、頑張ればどこまでも伸びる逸材だ。


「今だ! 一気に駆け抜けるぞ!」


 ロックリザードが再出現するまでのタイムラグ。それを利用して僕たちはロックリザードの巣から逃れた。あと900メトル。


「ロムスーまたー魔物ー」


 リーラが僕に言う。指差す方向を見ると、今度はロックゴーレムがいた。それも次は数が倍になって6体だ。理不尽すぎる。


「今度は【氷塊】も【破砕】も効かないぞ……」


 ロックゴーレムももちろん、岩で構成されている魔物である。だが、その岩が問題なのだ。とにかく硬い。魔物で最硬とも言われており、それを砕くのはオススメされない。


「ロックゴーレムの対処法は何だったっけ……」


「体を微弱な電流を流すことで動かしている。そのため、ロックゴーレムを倒すためには、その微弱な電流を突き止め、停止させる能力が必要となる。」


「シーナ?」


 多分、魔物処理のガイドと一言一句違わない。完璧な解答だ。リーラは能天気な性格だが、シーナはどこまでも掴めない性格をしている。何者なんだ……??


「ロムス、早く倒さないの?」


 シーナの問い掛けに意識を覚醒させる。考え事をする暇はなかった。今日の僕は何か調子がおかしい気がする。いつもよりぼんやりしているような……気のせいかな。


「あ、うん、倒すよ。確かロックゴーレムの関節を狙うのが最も良い対処法だったな……。電流が貯まっているんだったかな。そこを止める。」


「そうは言っても、ロムス、策はあるの?」


 ロックゴーレムは最硬の魔物。関節部分を砕く事は出来ない。かと言って、電流を無理に塞き止めるような事も出来ない。では、どうすればよいのか。


「答えは簡単だよ。ヨルクス、水系統は使える?」


「うん、使えるよ。」


 ヨルクスは青魔法が得意なんだな。じゃあ、とても簡単だ。


「ゴーレムたちに水を浴びせてくれ。全身だ。あとは僕が対処する。」


「……そういうことか。任せて。」


 ヨルクスの洞察力は僕の予想を超えてくる。水系統と言えば、そこまで分かるものか。僕も頑張らないとな。


 ヨルクスが次々に現れるロックゴーレムに水を浴びていく。


「【紫電】。」


 水で濡れたロックゴーレムの胴体は電気がバチバチと弾ける。水が体内に浸水すれば、それだけで自滅するのだが、そうはならないみたいだ。耐水性も兼ね備えているらしい。まあ、いい。これでロックゴーレムも倒せた。


 大量の電気を浴びて、次々とオーバーヒートしていく。身体中から煙を吐きながら倒れていった。ロックゴーレムの討伐も完了。後方からは〈J-19〉の声も聞こえてきている。急いだ方が良さそうだ。


「急ぐぞ!」

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