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4 - 30.『Penalty』

4-30.『罰則』


本日二回目の投稿です。

そして第四章『昇格戦編』完結です。


「みんな、おはよう。」


 朝、リルゲア先生がクラスに入る。生徒はみんな揃っている。昇格戦が終わり、そろそろ栄転戦が近付くため、各々が準備を十二分に重ねていた。そんなある朝だ。


「今日の連絡事項だけど、ロムス君、ヨルクス君、君達の罰則が決定した。」


 息をのむ。今週中に来るとは知っていたが、実際どのような罰則なのか見当もつかなかった。それが今ここで明かされるという事だ。ヨルクスも固唾を飲んでリルゲア先生の話の続きを待っている。


「君達には栄転戦の参加資格が無くなる。」

「えっ……? それは挑戦資格が無くなるという事ですか?」

「ヨルクス君、落ち着いて。君達が栄転戦で試合に参加できなくなったという事だ。クラス自体の栄転戦の挑戦資格は失われていない。実際に他クラスの起こした倫理違反に比べれば、まだ可愛いものだ。それはどの担任も一致した意見だった。今回、罰則という形で栄転戦の参加資格を剥奪した理由は別にある。」

「別の理由?」

「君達が規則違反で発動した魔法だ。あれはJクラスやIクラスの生徒が使うには高度すぎる魔法だ。それを栄転戦でも用いられればかなり不利な戦いになる。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。あくまでもクラスを決める戦いだ。個人戦ではない。リーダー格はどのクラスにも必要な存在だけど、君達の存在は公平な栄転戦で不公平と言われ兼ねない。それは昇格戦の後でも各クラスで言われている問題なんだ。」


 どうやらリルゲア先生は昇格戦の最終試合に関して、各方面から苦情が入ったらしい。本当にそれは申し訳ないとしか言えない。しかし、僕の【雷神憤激】やヨルクスの【白銀世界】は栄転戦で最初から使えば、それだけで試合が終わることになるから不公平と言えば不公平になるのだろう。


「そこで互いに譲歩した結果が罰則という形での栄転戦の不参加だ。これは君達が罰則にならなかったところで免れなかった事実だと思う。だから誰かを責めるのは辞めてほしい。」

「分かっています。実際、ロムスの規則違反覚悟での攻撃が今のこのクラスです。後悔はありません。」

「ありがとう、ヨルクス。本当にヨルクスにまで責任を負わせてしまってごめん。」

「いや、大丈夫だよ。」


 本当に良い友人を持ったと思う。ヨルクスの期待を裏切らないように行動していかないといけないな。改めて今からの行動を考えていかないと。


「それから君達二人には学院長からの特例で個人として上位クラスへの編入も可能だと言われている。君達の一存でAクラスに上がることもできるかもしれない。」

「僕は断ります。」

「僕もです。このクラスがあったからAクラスを目指せるんです。ロムスやみんなを捨ててまで上位クラスには行きたくないです。」

「そうか……そう言ってくれて僕も安心したよ。僕から学院長にはそう伝えておく。」

「ありがとうございます。」

「ありがとうございます。」

「それで栄転戦だけど、試合形式を言っておく。栄転戦は魔物の討伐時間の早いクラスが勝利だ。」

「魔物~?」

「魔物と言ってもただの魔物じゃない。いわゆる〈知能型〉と呼ばれる魔物の中でも特殊進化で知能を獲得した強い魔物だ。」

「〈箱〉だからできる芸当ですね。」


 魔物は知能を持たず本能で行動する通常の〈本能型〉と知能を特殊進化で獲得した〈知能型〉、何らかの原因で人を吸収した〈人魔型〉、〈知能型〉と〈人魔型〉の両方の性質を兼ね備えながら意思を獲得した〈意思型〉、最後に〈意思型〉が年月の経過、人との交わり、魔物の捕食などで更なる進化を遂げた存在が〈魔王型〉と呼ばれる。


 アリスやヘレナは〈魔王型〉ではなく、〈魔王型〉と人間が交わってできた子供であり、魔王の瞳である〈魔眼〉を持つ〈忌み子〉と言い方もあるが、それはまだ差別的な意識を持つ大衆だけで、〈研究ギルド〉における最新の論文では〈忌み子〉は魔王の能力、魔力、魔眼を引き継ぎながらもその他は至って普通の人間と同じである、と示されている。結局、魔法が優れた人間という位置づけが正しいのだ。


「栄転戦が開催されるのは明後日。今週末だ。作戦を立てておいて、と言いたいけどこればっかりは当たった時にしか分からないから各自の準備が重要となる。頑張ってくれ。それからロムス君とヨルクス君は追加で話がある。この後、私の所へ来てくれ。それでは以上だ。」


 僕とヨルクスはリルゲア先生の所へ向かう。リルゲア先生は他の人が聞いていないのを確認すると、僕達に話し始めた。


「色々と世間の動きが激しくて、君達にしか言えないことがある。ロムス君は私の事を知っているから話すのは大丈夫だけど、ヨルクス君は秘密を明かさない人だと思っているから話す。だけど、ここだと誰かに聞かれる可能性がある。場所を移そう。」


 リルゲア先生はそう言って僕達を連れていったのは修練室、その部屋にある魔道具〈箱〉の中だった。

次回更新予定 - 6/11(木曜日)17:00


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7/1より新作『不滅の王と短命の少女』連載開始。

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