表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/109

4 - 27.『Promotion War - XVIII』

4-27.『昇格戦 18』


本日二回目の投稿です。

「さあ、始めよう。これが僕達のラストバトルだ。」


 ヨルクスとスナート、ヘレナが頷く。スナートとヘレナは生き残る事が優先だ。


「ヘレナ、【魔法障壁】をお願い。」

「うん……【魔法障壁】。」

「ありがとう。絶対にここから出ないでほしい。」

「ああ!」

「……うん。」

「【第一制限解除ファースト・アンロック】。【付与(エンチャント)消失(ロスト)】。」


 左手に触れる。〈龍の紋章〉が紅く輝いていた。【魔法障壁】を強い魔法によって打ち破られないように、【付与(エンチャント)】で【消失(ロスト)】の効果を追加しておく。〈能力(スキル)〉の事を知らない3人は首を傾げている。あくまで秘匿しておかないと、誰に咎められるか分からないため、これは教えることはできない。


「ヨルクスはあの3人をお願い。僕はあの後ろのJ-1を相手するから。それと互いの魔法で互いを痛めつけるかもしれないけど、それは後で言わないようにしよう。」

「うん、それは勝つためだ。とやかくは言わないよ。」

「ありがとう。」


 僕は後ろの生徒へ向かう。ヨルクスは3人の方へ向かった。


「決着をつけよう。」

「ふん、魔法が使えないやつが何を言っているんだ。」

「うん、そうだね。じゃあ、そんな魔法が使えない人に何か用? J-1の生徒いるんだからそっちに行けば良いじゃないか。僕が嫌なんでしょ?」

「……」

「否定はしないんだね。まあ、分かってたけど。あれだけ言われたんだからね。」

「自覚はあるんだな。」

「……? あるよ? 自覚がない最低な奴とでも思ったのか? 君がどう思うと君の勝手だけど、それよりも早く決着つけよう。」


 僕は息を整える。自分で最高の魔法を使うとなれば、それなりの気持ちも大切になる。魔法とはそれを発動しようとする意志と明確なイメージが必須だ。特に高難易度の魔法になるほど、その2つの要素を欠かすと発動することはできない。


「一瞬で全てを消し飛ばそう。これは僕の使える最高最大の技。〈超位魔法〉の更に高位の魔法。〈極致魔法〉。僕が使うのは極致魔法の中で〈第一極致魔法〉と指定される魔法。極致魔法の中でもまだ弱い魔法だ。それでも君を溶かし消し去るだろう。」

「魔法を使ったら……!」

「ああ、そうだね。でも一瞬だから。僕が棄権にされる前に君は〈箱〉の外に居るから大丈夫だよ。」


 体内の魔力を1つに固める。そして沸騰するような温度まで煮え滾らせる。魔力が過剰反応を起こし、暴走しそうになる。しかし、これはあくまでも正常反応だ。これだけで極致魔法は発動しない。体内の魔力だけでは足りないのだ。空気中の魔力を集める。そして魔力の塊へ。


「何をしているんだ!」

「だから極致魔法だよ。」

「そんなの……無茶苦茶だ……。」


 僕が〈墓場の世界〉の経験が良かった最大の理由はこれだ。魔力量が増加し、魔法技術も向上したことでここまでの大魔法を使うことができるようになった。


 頭上で巨大な魔力の塊が体内と同じように沸騰されてぐつぐつに煮え滾っている。身体がものすごく熱い。もっと魔法技術があれば、これを一瞬で使うこともできる。だけどそれは今の僕には無理だ。我慢する。それがこの魔法を使う上で最も大変な事である。


「よし準備はできた。見せてあげよう。この世界の魔道士の到達点の1つ、極致魔法を。黄魔法雷系統極致魔法【雷神憤激(らいじんふんげき)】。」


 世界が雷雲で覆われる。雷雲の電気が全て1つの雲に集められる。その電圧で雷が併発し落雷する。その近くにあった木は一瞬で黒焦げになる。側激雷で身体が動かなくなる。


 そして全ての電気が集められると、強い光と轟音と共に落雷する。轟音で鼓膜が破れる。音が聞こえなくなった。光で目が灼かれる。耳が聞こえなくなった。相手の生徒と僕は近くに居たため、同時に直撃する。意識が飛ぶ。気付くと修練室に戻っていた。


「……っ!」

「ロムス、おかえり~」

「あ、うん、ただいま。」


 修練室には10クラスのそれぞれの観覧席があり、それぞれのクラスで映像を見ていた。J-10の観覧席に戻ったらしい。


「ロムス、なんか色々と凄いことしてたね。」

「ああ、色々とね。」


 数えられないほど、Jクラスの昇格戦で飛び交うことのない魔法が発動されていた。リルゲア先生も声をかけてくれる。


「【蒼世界】どころか、魔法禁止状態で自爆覚悟で使うのが【雷神憤激】とはね……。君の3年間は(いささ)か激動すぎやしないか?」

「そんなことないですよ。まだ終わってない事ばかりです。それよりも僕は相手生徒を倒したんですか?」

「ああ、倒したよ。彼も戻ってきている。すぐに全体報告も入るだろう。」


 そう言って数秒後にちょうどよく全体連絡が入る。


『〈J-1〉より1名、〈J-10〉より1名が敗北しました。〈J-1〉は残り1名、〈J-10〉は残り3名です。フィールド内最低人数が1人となったため、〈J-5〉の生徒より1名、〈J-10〉の生徒は2名、魔法の使用が禁止されます。』


 僕はふと疑問を覚える。


「あれ、ヨルクスはどうしてるんだ?」

次回更新予定 - 6/10(水曜日)17:00


ポイント評価、ブックマーク登録お願いします!

執筆するときにとても励みになっています!


7/1より新作『不滅の王と短命の少女』連載開始します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ