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4 - 26.『Promotion War - XVII』

4-26.『昇格戦 17』


100話目に到達しました。

これからもよろしくお願いします。


※ヨルクス視点です。

 僕は心なしか焦っていた。現状、クラスの人数はJ-1が2人、J-5が2人で、J-10が4人だから圧倒的優勢。でも僕達が全くJ-5を見つけられていないという事は、ロムスの方にJ-1とJ-5が固まってる可能性がある。ロムスは魔法が使えない。これだとかなり不利な戦いを強いられることになると思う。早く見つけないと。


『フィールド再編より1時間が経過しました。制限時間は残り1時間です。終わった時点で2クラス以上残っていた場合は、人数が多いクラスから〈J-1〉とします。また、ここで〈J-1〉の生徒が2人になったため、魔法の使用禁止を解除いたしました。尚、〈J-10〉は2人多いため、使用禁止の解除はありません。』


 どうやら1時間が経過したみたいだ。多分だけど、J-1の生徒を倒したのはロムスだ。そしてこの全体連絡を聞くに、その生徒は魔法を使えた。どうやって魔法が使えない状況で魔法が使える生徒を倒したのかな。体術とか? ロムスは隠している手がありすぎて全く分かんないや……。


「ヨルクス、あれ!」


 スナートの声がする。慌てて思考を停止して、前を見る。確かに誰か居る。


「ロムスじゃないね。」

「J-1かJ-5ってことか?」

「両方残りが2人だからね……いや、3人居る?」

「いや4人……ロムスだ!」


 最初に2人が走ってきたかと思うと、それを追い掛ける生徒が1人。更にそれを追い掛けるようにロムスが来ていた。


「これどうしたら良いんだ?」

「認識阻害意味なさそうだな……」

「ロムスと一同合流しようか。」


 僕達は走って、ロムスの後ろから近付く。


「ロムス!」

「ああ、ヨルクス。こっちに全員集まってたみたいだ。」

「一番前がJ-5?」

「うん。それを追い掛けてるあの生徒がJ-1の生徒。あともう1人僕達が出てきた路地裏に居るけど、魔法が使えるようになったから追い掛けてくると思う。」

「作戦はどうする?」

「何も役立ちそうにないからな……。」


 ロムスは少し考えている。ロムスの事だからすぐに意見が出てくるんだろうけど。僕は1つ提案をしてみる。


「ヘレナにJ-5の生徒に認識阻害の魔法をしてみる?」

「……? どういうこと?」

「J-5は多分J-1が居るから逃げてるんでしょ? じゃあ、袋小路に入ったって勘違いしたら止まるんじゃないかな。」

「確かにこの状況が続くと何が起こるかは分からないからな……。そうだな、それが良いかも。ヘレナ!」


 ロムスがヘレナを呼ぶと、ヘレナが驚いている。呼ばれただけで凄い驚きようだ。今、僕達の話をヘレナは聞いていたはずだけど……。


「驚かせて悪いけど、時間がないんだ!」

「……なに?」

「J-5の2人にここから認識阻害させて、袋小路に居るように勘違いさせられる!?」

「……できる、と思う」

「できなくても良いから1回試してほしい!現状だと1番勝ちに近い手なんだ!それに後ろから面倒な人がもう1人来た!」


 後ろ? 僕達が後ろを振り返ると、誰かが追い掛けてきていた。誰だろう、あれが魔法が使えるようになったJ-1の生徒だろうか。


「【爆撃】!」

「上位魔法か、みんな上に気を付けながら走って!」


 この魔法は……詳しくは覚えてないけど、上空で赤魔法爆系統の下位魔法が連鎖するように爆発して、大きな爆発になる魔法だったはず。これは広範囲の魔法だから魔法を使えないロムスと僕は危ない。


「ヘレナ、今のうちにお願い! 音が聞こえないだろうから!」


 上空の爆音のせいで互いの声がほとんど届かない。でもヘレナは無詠唱で認識阻害の魔法を発動しているだろうから、詠唱で気付かれることはないと思うけど。


「……一応、魔法は発動したよ。」


 僕達はJ-5の生徒の声は遠いし、爆音のせいで聞こえない。だから行動を見るしかなかった。だけど、どこか焦っているような気がする。J-5の生徒は足を止めた。


「おっ、成功かな。」


 J-1の生徒も後から止まる。焦っているJ-5を見て、不思議に思っているのだろう。まさかここまで遠くから魔法を発動しているとは思わないだろう。


「そろそろ【爆撃】が連鎖しそうだな。【消失(ロスト)】。」


 先程まで轟音を鳴らしていた【爆撃】が一瞬で消え去る。前兆などなかった。魔法……? でも魔法は使えないはずだ。そして使えば危険になるはず。


「ロムス、それは?」

「魔法とは違うちょっと秘密の力。スナート、J-5の生徒の周りに本当に壁を作ってくれない?」

「袋小路? みたいにすればいいのか?」

「まさにそういうこと。ヘレナが他の魔法が使えるようにしてほしいんだ。」

「分かった。【土壁】。【土壁】。【土壁】。全部魔力流すのやめたけど良いのか?」

「うん、壁があるだけで良いから。ヘレナもありがとう。」

「ここからは一気に片を付けたい。作戦を話すね。」


 ロムスは今の間に作戦を考えていたらしい。ロムスと僕は魔法が使えないが、何かできることはあるのだろうか。何もしないのは歯痒い気分だ。


「まずはスナートとヘレナは生き残る事を考えてほしい。無闇に戦わないで。」

「ああ、分かった。」

「……うん。」

「僕とヨルクスはJ-1とあわよくばJ-5の生徒を倒す。」

「どうやって?」

「魔法を使ってだよ。」

「僕達は禁止されてるけど、一度魔法を使うと同時に相手を倒すことができれば相手も沈められる。」

「……! それはそうだけど。」

「ヨルクス、君の使える最高の魔法で一瞬で倒してほしいんだ。」

「出来ないことは……ないけど。広範囲だから危ないよ?」

「大丈夫。【魔法障壁】で被害がないようにするから。」

「ロムスはどうするの?」

「倒すよ。僕も超広範囲だから危ないかもしれないけど。」

「俺達はロムスの【魔法障壁】で耐えればよいって事か?」

「うん、生きれば僕達の勝ちだから。これで行こう。」

次回更新予定 - 6/10(水曜日)12:00


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7/1より新作連載開始。

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