表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/413

40 決闘前夜

三日連続で更新してますが、まだまだ元気です。

「明日の正午!闘技場にて二人をかけた決闘を申し込む!言っておくが、拒否権はないぞ!」


 いやあるだろ(でしょ)(よね)。

 三人同時に、心のなかでツッコんだ。


「そうと決まればギルドに申請してくるぁ!首を洗って待っていやがれ!ハッハッハ!」



 そういって男はギルドの方角に走っていった。

 俺達、やるなんて言ってないし、受けるとも言ってないんだけどなぁ…



「で、行っちゃったけどどうするの?」

「はぁ…とりあえず追いかけよう。これだけの人の前で宣言された以上、広がるのは時間の問題だ」

「それじゃあ、受けるの?決闘」

「まぁ…そうなるな。だが、せめて報酬だけは変えさせないと。急ぐぞ」

「りょーかい」「りょー、かい」



 俺達が男の後を追い、ギルドに辿り着いた。

 ギルドに入ってすぐに男は見つかった。


 …ただし正座で。



「まぁたリーダーは勝手なことをして!反省してください!」

「だ、だがこれはオレの面子の問だ」

「そんなのどうでもいいわ!はぁ…またリーダーのせいで俺達の負担が増えるぜ…」



 なんかよくわからんが、男の仲間らしき二人組に説教されていた。

 少しすると、男がこちらに気づいたらしく、立ち上がろうとして制止される。

 そして、男が視線をこちらに向けたため、二人組に存在を気づかれた。

 二人がこちらに歩いてくる。



「もしや、リーダーに決闘を吹っ掛けられたのは貴方ですか?」

「まぁ、そうだな…」

「この度はうちのバカリーダーがご迷惑をおかけしまして「誰がバカだ!」ちょっと黙っててください!」

「本当に悪い。うちのリーダー、先走りやすくてよ」

「まぁ…うん…」



 やっぱり、この二人はアイツのパーティーだったか。



「とにかく、リーダーには言って聞かせますので、決闘は破棄ということで…」

「いやぁ…多分無理だと思うぞ…」

「そりゃあ、なんでだ?」


 俺は二人に説明した。

 それを聞いた二人は、同時に頭を抱えた。


「はぁ…また盛大にやらかしてくれましたね…」

「そうだな…ギルドでならまだしも、町中で宣言されたとあっちゃ、破棄しづれぇよなぁ…」

「だろ…」

「「「はぁ…」」」


 三人同時にため息をつく。


「ケイン、見てきたわよ」


 そこに、ナヴィが戻ってくる。

 ナヴィには、ギルドに入る前に町の様子を見てくるように頼んでおいた。


「で、どうだった?」

「やっぱり広まってたわ。破棄するのが、無理なくらいに」

「やっぱりかぁ…」


 広まっていなけりゃ良かったんだが…無理だったか。


「はぁ…仕方ない。決闘は受けよう。ただし、勝利報酬だけは変更させてくれ」

「…そういえば、リーダーはそちらの二人を移籍させようとしてましたね…」

「まぁ、それは二人が困るからな…というわけで、そちらが勝ったときの報酬はこれでどうだろうか」


 そう言って、俺は鞄から()()()()()を取り出す。


「なっ!?いくらなんでも多くないか!?」

「そうですよ!こちらが迷惑をかけているのですから、無しと言われてもおかしくないのですよ!?」

「そうは言っても、報酬が変更になったとき、こちらだけなにも出さないというのもおかしいだろ?それに、俺から言えば二人の代わりとして提示するぶんには少なすぎると思っている」



 俺の説明を受けて、二人とも渋々承諾してくれた。

 リーダーであるアイツだけが「納得いかねぇぇぇぇぇぇ!!!!」って喚いてたが、俺達でさっさと申請したら、文句は言わなくなった。

 そのかわり、俺に対する殺気は増えたけど。



 ***



「ねぇ、本当に大丈夫なの?」

「あぁ、これでいい」

「むぅ…」



 その日の夜、俺達は宿で明日の事について話し合っていた。

 ギルドにおける決闘のルールは簡潔に言えば三つ。


 ・参加するのは決闘を行うもの同士が鉄則だが、お互いの同意があればパーティーでの参加が認められる。

 ・決闘では事前に申請した武器とスキルの使用のみ可。

 ・勝敗はどちらかが全員戦闘不能になるかギブアップするまで。


 これらにも少し細かいルールはあるのだが、大体こんな感じ。

 そして、俺は気にしていないがメリア達が気にしている問題。

 それは一つ目のルールにある「パーティーでの参加が認められる」という点だ。


 俺達は一緒に旅をしている。

 だが、パーティーを組んでいる訳ではないし、そもそも俺以外冒険者がいない。

 なので、明日の決闘は俺一人で三人を相手取る事になるのだ。



「今からでも遅くないと思う。私だけでも登録しておいた方が良いんじゃないかしら?」

「ありがとうナヴィ。でも、気持ちだけ受け取っておく」

「でも…」



 ナヴィの心配も分かる。

 だが、これは俺の戦いだ。

 たとえ懸けた物が変わったとはいえ、元を返せば二人を守るための戦いだ。


 (あと、二人が参加すると絶対に一瞬で終わりそうだからなぁ…)


 だが、そう簡単な話ではない。

 俺達は、改めて相手の情報を整理する。


 リーダーで大剣使いのロロヤ、魔力系スキルを得意とするエイザ、斧を扱うユート。

 その誰もがDランクで、ロロヤに至ってはそろそろCランクに上がれると言われているほどの実力を持っている。



「さて、どう戦えば良いものか…」

「一人遠距離から攻撃してくるから、そこをどうにかしたいわね…やっぱり、私達もいた方が…」

「でも、冒険者になると町につく度ギルドに顔を出さないといけなくなるぞ?そうなったら、メリアもついてきてもらわなきゃいけなくなる」

「むぅ…そう言われると反論しにくいわね…」

「だったら、私のスキルを使えば良いんじゃない?」

「私のスキル?どれのことだ?」

「やだなー、色々渡したじゃん」

「あー、そういえば色々と貰っ…ん?」



 まて、今誰が言った?

 ―()()()()()()()()()()


 なぜそれを知っている?



「どーしたの?」



 そう言われて、俺は気づいた。

 俺は、その声の主を()()()()()

 それは、()()()()()()()()()()声。

 俺は、声のする方を向いた。



「なっ…!」



 ―やっぱり、いた。


 初めてあったときとは違う、ちゃんとしたかわいらしい服装。

 ショートの黒髪で、青く綺麗な瞳。

 そして、聞き間違えることのない声。



「どうしてここに君がいるんだ!?()()()!」



 牢で出会った少女(レイラ)が、そこに浮游していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ