表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/413

39 意外な繋りとナンパ野郎

「…それで、俺を呼び出した理由ってなんですか?」

「簡単なことさ。君にお礼がしたかったんだよ」

「お礼?」


 俺、お礼されるようなことしたか?


「銀獣というパーティーに聞き覚えはないかい?」

「…あぁ、ビード達のことか」


 ビード、ギル、セーラ。

 獣人の三人パーティーで、Dランクだったっけ。

 アイツら、元気にやってるかなぁ…


「そうそう、それであってるよ」

「それで?アイツらとお礼にはどんな関係があるんだ?」

「銀獣のメンバーにギルという冒険者がいただろう?彼は私の息子なのだよ。それに、彼らの活動拠点はここ、テドラだからね」



 …まさかの息子ですか。

 それに、ここが拠点ということは、近いうちに会えるだろうか。



「ロックボア討伐から帰ってきた彼らから君に助けられた、と聞いてね。もしこの町に来ることがあったら、私に知らせてもらうよう職員達にお願いしていたのだよ」

「だからあんな反応したのか…」

「ははは…それじゃあ改まって。ケイン君。私の息子、及び銀獣の面々を助けてくれたこと、実に感謝する」



 そう言うと、モーゼさんは頭を下げる。

 面を向かって言われると、すこしむず痒い。



「ははは。あまり言われなれてないようだね」

「まぁ…はい」

「…ところで、彼らから聞いた話だと他に二人いたはずなのだが…」

「あぁ、メリア達なら買い出しを頼んでます。二人とも…というより、メリアが人見知りというか、そんな感じで」

「なるほど…今、彼らは別の依頼でここから離れているが、そろそろ帰ってくる頃だろう。そうしたら、改めてお礼をさせてもらおう。そのときには、君の仲間も連れてきてはくれないか?」

「わかりました」



 俺はモーゼさんにいくつか宿を紹介してもらい、ギルド長室を後にした。

 ロビーに戻り、少し依頼を覗いた後、そのままギルドを後にした。



「さて、メリア達を探さないとな」



 俺は道行く道を歩いていった。

 やはり、なかなかの活気。

 至るところから元気な声が発せられる。

 このエリアは港に近いこともあって、魚介類が多く並んでいた。


 しばらく道なりに歩いていると、なにやら少し揉め事が起こっているようだった。

 何事かと近づいてみると、声の主の片方は男性、もう片方はナヴィのものだった。



「だーかーらー!ついてくるなって言ってるでしょ!?」

「そー言わないでさー。オレと一緒に遊ぼうぜ?」

「お こ と わ り し ま す !大体あんたには興味無いっての!」

「またまたぁ、そこの子みたいに恥ずかしがってるだけだろ?」

「話が通じなぁい!」



 えーっと、確かあーゆーのってナンパって言うんだっけ。

 それにメリア達が捕まったらしい。

 それで、メリアの代わりにナヴィが断ったら、男が諦めず話しかけてきている。

 そんな感じだろうか?

 あと男よ。それは恥ずかしがってるんじゃない。怖がってるんだ。


 さて、このまま傍観している訳にもいかないし、さっさと出ていって止めに入るか。



「だからしつこいって何度も「おーい、ナヴィ!メリア!」…あっ!」

「ケイ、ン…!」

「ちょおわぁ!?」



 メリア達が俺に気づいた途端、俺に向かって駆け出した。

 ついでに男は吹っ飛ばされた。



「なんかあったのか?」

「いやぁ…それがね…」



 ***



「んー!おいしー!」

「むぐ…ほんと、おいし、い。」

「買い物も終わったし、ケイン迎えに行く?」

「…あまり、気乗り、しない…」

「そうね、それじゃあ、もう少しブラブラしましょう」


「ねぇ君達」


「…何か用?」

「オレと一緒に、この町で遊ばないかい?」

「お断りします。それじゃ」


「おおっと、まちたまえよ」

「うぉっ!?」

「美女二人だと危険だろう?オレが一緒にいてあげ」

「結構です」



 ***



「…て感じのやり取りをずっとやってたのよ…心底疲れたわ」

「あー、なんだ…お疲れ様」

「ほん、と、疲れ、た…」

「それで?そっちはなにかあったの?迎えに来るのが遅かったけど」

「あぁ、それが」


「ちょっとまてやァ!」



 あ、起きた。

 というか、俺が今から話そうと思ってたのに、切らないで欲しかったなぁ。



「おいキサマ!なにオレが声をかけてた子と勝手にくっついてるんじゃ!」

「いや勝手もなにも、二人は俺の」

「言い訳はいらんわ!」


 えぇ…


「せっかくオレが、他の悪い男に捕まらないように声をかけてたのに…かけてたのにっ…」

「いやだから、二人は俺の旅の仲」

「チクショォォォォォ!!!」

「話を聞けよ!」



 しばらくして、叫ぶだけ叫んで少し落ち着いたらしく、話を聞いてくれるような感じになった。

 ところでこの町、そそっかしいやつ多くない?



「はぁ…改めて言うけど、この二人は俺と一緒に旅をしている仲間だよ」

「旅の、仲間ぁ?ということは、キサマ冒険者か?」

「まぁ、そうだけど…」


 なんだろう。嫌な予感がする。


「ならばちょうど良い!キサマに決闘を申し込む!オレが勝ったら、二人はオレのパーティーに移籍してもらう!」



 やっぱりめんどくさいことになった…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ