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38 港町テドラ

新章開幕です。

「うわぁ…広い…」

「だなぁ…」



 俺とメリアは、目の前に広がる光景に目を奪われていた。


 デュートライゼルが完全に見えなくなってから十日ほどたった頃、俺の地図(マップ)に新しい町が映し出された。

 町の名は「テドラ」。

 海に面しており、大陸を跨いだ交易が盛んな港町らしい。


 俺達がいるのは、そのテドラより少し離れにある砂浜である。

 広大な海は、どこまでも広がっている。



「おーい、そろそろいきましょう?」

「うぉ!?ビックリした…」



 俺の目の前に、突然ナヴィが逆さまで現れた。

 そういえば、普段から歩いていたし、ナヴィが飛んでるところ久々に見た気がする。

 ナヴィは体制を戻して、俺の隣に着地する。



「というか、メリアはともかくケインも海見たこと無かったの?」

「…まぁ、あまり海と関わりが無かったから…」

「あー…」



 川とか湖ならあったけどな…

 これまで大陸の中心部に近い位置で活動してたこともあって、海を見たことは無かった。

 まぁ、その辺を全然気にしてなかったから、あの都市が中心部あたりだったこと自体を知ったのは、わりと最近なんだけど。



「じゃあ、行きますか」

「りょーかい。美味しいものあるかなー?」

「香ばしい匂いはするな」

「おっ、焼き魚かな?楽しみー!」



 一人、やけにテンションが高いがどうしたのだろうか…

 まぁ、大丈夫っぽそうだしいいか。

 俺達は、テドラの町に入っていった。


 テドラは港町らしく、魚介類の扱いが多く、海で取れる素材を使ったアクセサリーなども多く扱われていた。

 また、少し遠くには闘技場のようなものも見える。

 なんでも、武道大会なんかをやったりしているらしい。



「さて、俺はこれからギルドに行くが…メリア達には買い出しを頼んでもいいか?」

「わかっ、た」

「あ、少し多めに渡しておくからなにか食べててもいいぞ」

「やったぁ!」



 やっぱりナヴィのテンションがおかしい。

 どれだけ食べたかったのやら…

 まぁ、最近は肉や野菜中心で、魚類食べてなかったからちょうど良かったのか?


 二人にお金を渡して別れたあと、俺はテドラの冒険者ギルドへと向かった。

 テドラの冒険者ギルドは、港沿いにあるらしい。

 なんでも、別の大陸から来る冒険者を迎えるのにちょうど良い場所なんだとか。


 俺は、港の方を見る。

 停泊している船は、漁のための小型船から、大陸を行き来するための大型客船まである。

 本当に、海と密接な関係にある町なんだな、と再度感じることができた。


 テドラの冒険者ギルドは、かなり大きかった。

 外見は白をベースに、海をイメージしたような青い装飾が施されている。

 中に入ると一変、木をあしらったゆとりある内装になっていた。

 ギルドの一角にはカフェのようなものがあり、そこで冒険者達が談笑していた。

 受付を挟んだ反対側、こちらは他のギルド同様ギルドボードなどが設置されており、どの依頼を受けるか相談する冒険者達の姿が見えた。


 とりあえず登録しておかないと、なにも始まらないので、俺はそのまま受付へ向かった。



「ようこそ、冒険者ギルドテドラ支部へ。この度はどのようなご用件でしょうか?」

「ここでの活動の許可を取りたくてな。…ギルドカードを渡せばいいんだったか?」

「えぇ、その通りです。それでは、拝見いたします。えーっ、と!?」



 突然、受付をしてくれた人が目を見張り、驚きに満ちた声を上げる。

 まぁBランク冒険者、ってところに驚いたのだろう。

 そう思っていたのだが、実際はそうでは無かったようで、



「す、すいません!少々お待ちいただけますか…!」

「えっ、あのっ、」



 俺が返事を返す暇もなく、俺のギルドカードを持ったまま受付嬢は奥へ行ってしまった。


 …いったい、どうなってるんだ?



 さすがに受付で待つわけにもいかないので、他の受付嬢に「戻ってきたら呼んでください」と言っておき、その間どんな依頼があるのか見ることにした。

 やはり海に関係した依頼が多くを占めており、その他の依頼がちらほらとある、という感じだった。


 時間にして5分程度がたったころ、俺の元にさっきの受付嬢がやって来た。



「先程は突然飛び出して申し訳ありませんでした!」

「あー、なにか問題があったのか?」

「あっ、いえ、特に問題は無いです」

「じゃあ、なんで…」

「それにつきましては、私についてきて貰えますでしょうか」



 そういって、またもこちらの返事を待たずに歩いていった。

 この人、大丈夫なのかなぁ…

 とにかく、カードも返してもらってないので、ついていくしかなかった。



「ところで、どこに向かっているんだ?」

「あっ、ギルド長のところです」



 本当に大丈夫なのかこの人?


 だが、ギルド長か…

 この町に来たのは初めてなのに、なんで呼ばれたのやら…

 疑問に思いつつも、奥にあった階段を上がっていく。

 どうやら、ギルド長室は上の階にあるようだ。


 階段を上がった先には、いくつかの部屋が存在していた。

 ギルドで仕事をする人達のプライベートルームだそうだ。

 その中でも、一際目立つ扉。

 どうやら、そこがギルド長室らしい。



「ギルド長、ケイン様をお連れしました」

「ありがとう。仕事に戻る前にソレ、返してあげて」

「あっ、申し訳ありません…すでに登録は済ませてありますので。それでは」

「あっ、はい…」


 また返事を待たずに…


「あー、うちの子がすまないね。彼女、ちょっとそそっかしくて」

「ちょっとではないと思うのですが…」

「あはは…強く言い返せないのが困るところだね。ささっ、そこに座って座って」



 俺は促されるまま、ソファーに腰かけた。

 ギルド長も、対面に座る。

 見たところ、ここのギルド長は獣人の男性のようだ。

 白い髪と髭、そして港町らしい白を主にした服装をしていた。



「さて、それじゃあ自己紹介させてもらおう。私はモーゼ。この町、テドラの冒険者ギルドギルド長にして、市長をやらせてもらっている」

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