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冒険者のパーティーにモンスターが居るのはおかしいですか?  作者: 華心夢幻
三十三章 運命の分岐点(ターニングポイント)
305/414

299 天上の挑戦 ③

サブタイの数字表記を変えます

理由:見栄え

『あぁもう、イライラするぜ!』

『……同感です』

「あらあら、そんなにカッカしないでください。龍王さん?」

『『ッ――!!』』

「うふふっ!」



 幾度とない挑発を受け、苛立ちを隠せない緋龍と天龍の同時攻撃を、軽々と躱すイビル。



「はぁっ!」

『フンッ!』



 ブレスと竜の息吹(ドラゴニュート)、互いの技をぶつけ合う邪龍と聖龍(イルミス)

 それぞれの戦いは一歩も引かず……否、一向に進展せず、停滞を繰り返していた。



『……やはり気に食わん。その姿で、それだけの力を持ちながら、なぜ我々の邪魔をする?』

「言ったはずです。わたしは、人間が好き。だからこそ、人間たちを害そうとする貴方たちとは相成れません」

『そのようだな』



 お互い、相手の思想に共感できないことを悟り、再びぶつかり合う。

 しかし、邪龍は内心で考え込んでいた。



(やはり、この二体を出し抜くのは難しい。しかし、聖龍を正しき道に戻すには、あの人間を殺さねばならん!)



 偏った思想は、時に何よりも恐ろしい方向へと動き出す。

 しかし、真に恐ろしいのは、当の本人は全く悪びれることなく「それが正しいこと」であると認識していることだ。


 そして、邪龍の頭の中で、一つの作戦が浮かび上がった。それを実行するために、邪龍はイルミスにもイビルにも悟られない、独自の方法で、二体の龍王に念話を送りつけた。



【緋龍、天龍。俺が合図をしたら、同時に咆哮を使え】

【あぁ!?んだよそれ!?】

【……何か策があるのですね?】

【そうだ。これが決まれば、聖龍も考えを改めるだろう!】

【蒼龍はどうしますか?】

【あ?……あぁ、アイツには別の役割がある。構う必要など無い】

【そうですか、わかりました】

【……チッ、わかったよ。やりゃあいいんだろやりゃあ】



 天龍は即座に、緋龍は納得がいっていないようだが、渋々といった感じで了承した。

 それを確認した邪龍は、もう一体の龍王に目線を向けた。



(ふん、手数が多いだけの相手に苦戦するなど、龍王の風上にもおけん。アイツは用済みだな)



 邪龍は興味が失せたように蒼龍から目を離すと、三度イルミスと対面する。その顔には、分かりにくいほど邪悪な感情が現れていた。



『最後の通告だ。俺たちの元へと来い。お前の進むべき道は、俺たちの道だ』

「何度でも答えましょう。邪龍、貴方と共に歩むつもりはありません」

『そうか、残念だ。非常に残念だ!』



 邪龍はイルミスの意思を確認すると、笑みを浮かべながら下降。緋龍と天龍の側へと降りる。

 突然現れた邪龍に、イビルは一瞬だけ考える素振りを見せるも、大したことではないと判断し、纏めて相手する体勢を取ろうとする。


 だが、それよりも早く、邪龍の指示が飛んだ。



『やるぞ!』

「っ、何を――」

『『『グォォォォォォォォォォォッッ!』』』

「「――っ!?」」



 三体の龍王が、その咆哮に最大級の威圧(プレッシャー)を乗せ放つ。

 その威圧は、龍王であるイルミスでも無効化出来ず、また、先ほどまで優位に立っていたはずのイビルですら、不意打ち、かつ至近距離で受けたがために、その動きを止め、軽く吹き飛ばされてしまった。


 さらに、咆哮は地上にも影響を及ぼす。

 蒼龍を追い詰め、いざトドメを刺そうとしていたケイン達に、強烈な威圧(プレッシャー)が襲いかかる。

 距離があったため、イルミス達よりは影響が少なかったものの、それでも動きを止めてしまうには十分なものだった。


 そして、誰よりも早く次の行動に移ったのは、他でもない、邪龍である。

 邪龍は、咆哮を放った体勢のまま、その口内に魔力を集める。その魔力が集約し、全てを滅する黒き炎となる。


 邪龍は、炎を含んだその口を、自身の首を、真下に向けた。



『死ね、人間!』



 そして、目下の標的―ケインにむけて、邪龍のブレスが放たれた。

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