表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者のパーティーにモンスターが居るのはおかしいですか?  作者: 華心夢幻
三十三章 運命の分岐点(ターニングポイント)
300/416

294 激闘と絶望の始まり その2



「そういえば、イビルはどんなスキルを持っているんだ?……禁術以外で」

「色々とありますが、基本的にはこれでしょうか」



 そう言って、イビルは人差し指をつき出すと、その指先に小さな光の球を作り出す。



明り(ライト)……じゃないよな?」

「もちろんです」

『――っ!?』



 イビルは指を動かし、迷うことなくそのまま背後に打ち出した。

 その行動に、思わず声を出しそうになったが、イビルの背後を見て、全員が息を飲んだ。

 俺達のいる場所から、そこそこ離れた場所。そこに、脳天を貫かれた獣が一匹倒れ混んでいた。



(……なんて奴だ)



 光球を打ち出す時、イビルは顔や目を一切動かしていない。だと言うのに、光球は一切のズレなく眉間を貫通しているのだ。

 今まで色々な人を見てきたが、イビルはその比ではない。

 裏表の区別がつかない態度、狂気的な性格、底知れぬ魔力、敵を見ずとも遠距離の敵を正確に撃ち抜く技能。

 どれも、常軌を逸していると言っても良いだろう。

 だからこそ、皆の不安が取り除けないわけなのだが。



「見てもらった通り、わたしは光に纏わるスキルが使えます。他にも持っていますが……まぁ、ここで使うのは控えておきます。なにせ、加減が効かないものでして」

「加減……?もしかして、さっきの光球って……」

「勿論、加減しましたよ?ケインがそう望んでいましたので」

「さ、さっきので、加減……」



 イビル曰く、先の技能ですら加減の範疇。どうやら、今は己の全てをさらけ出す気は無いらしい。

 それは一見、こちらを信用していないようにも見えるのだが、実際のところ、本当に加減しているだけだ。

 それこそ、今この場で力を解き放ってしまえば、俺達に多大な被害が及んでしまうくらいに。

 それを分かっているからこそ、誰も強く言えなかった。



「とまぁ、わたしの事はこのくらいにしておきましょう。わたしも貴方たちと同じ、我が君に魅せられ、惹かれた者。仲良くしましょう、ね?」

『……』



 笑顔を見せるイビルに対し、メリア達は心配そうな、諦めたような、何も考えていないような、様々な顔を見せる。

 ……ほんと、大丈夫なのか?



「ところでケイン、一ついいですか?」

「……なんだ?」

「いえ、近くに村があるのに、どうして向かわないのですか?村の中なら、先ほどのような危険も少ないでしょうし」

「そこまで大きくない村ってのもあるが、今は目立つようなことを避けたい、ってのが一番強いな」

「目立つ、ですか?あぁ、なるほど。確かにケイン様の素晴らしさは押さえきれないほど偉大で、圧倒的ですものね」

「……まぁ、ある意味間違ってはいないんだが……正確には、人数の問題だな。冒険者っていう肩書きがあったとしても、数十人がいきなり来たら警戒されるだろ?」



 あまり納得させられるような理由では無いが、実際、今は目立つことは避けておきたい。

 パンドラとイビル、どちらも歴史的に見れば、良い印象を持たれていない二人がいる。

 将来的にはどのみちバレることではあるだろうが、その時が今かと言えば、そうではない。

 だからこそ、今は少しでも目立つようなことを避けておきたかった。



「なるほど、そう言う事ですか。さすがはケイン、後の事まで考えているだなんて……このイビル、感激致しました!」

「感激されるようなことではないんだが……」



 やはり、イビルの感性が分からない。今のどこに感激する要素があったのだろうか?

 しかし、等の本人は至って普通の笑顔を浮かべながら、村とは真逆の方角をチラッと見た。



「しかし、残念です。世界は、安息を許しはしないようですよ?」

「なに?」

「――っ!?」



 意味深なイビルの発言。それと同時に、イルミスが動きを止めた。

 瞳は激しく揺れ動き、あり得ないとでも言いたげな顔で固まっていた。



「イルミス?どうした?おい!」

「――っ、ケインさん……すみません……」

「どうして謝る?何があっ――」



 そう言いかけたところで、()()は突然現れた。否、それの気配を感じ取った。

 俺は、気配のする方―イビルが見ている方角を見た。


 そこに見えるのは、四つの影。

 それは次第に大きくなり、その姿をはっきりとさせていく。

 巨大な翼を広げ、強大な威圧感を放ちながら、優々と空を飛ぶその姿は、人々に絶望をもたらす。


 その正体は――ドラゴンだ。



『見つけたぞ、聖龍』



 現れた四体の内の、黒い鱗に身を包んだドラゴンが、イルミスを呼ぶ。

 その姿を見たイルミスは、



「ヴェルドラッヘ……」



 そう、僅かに呟いた。

ここ一週間ほど、精神的に病んでました

次は、なるべく早く更新したい所存

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ