277 砂嵐を突き破れ その1
今後の展開とか考えてたら、書くの遅れてしまってた……
「今のところはなんともない……けど」
「ちょっち、攻撃ハゲシクなってね?コレ?」
「多分、あいつに近づけば近づくほど攻撃が激しくなるんだろうな」
「うぇ~メンド……」
四方八方から迫り来る攻撃を捌きながら、ケイン達は前に進む。
ノームの繰り出す砂の攻撃は、一度破壊さえすれば再生すること無く崩れ落ちていくため、対処自体は簡単だった。
しかし、前に進むにつれ、二本だった砂の槍は三本、四本、五本と増えていく。攻撃の手数が増えると言うことは、それだけ対応する手間が増えるということ。
無視できればいいのだが、攻撃はケイン達を追尾してくる。そのため、対処するほか無かった。
そして、ケイン達を悩ませているのはそれだけではない。
それは、足元に広がる砂。
街中や闘技場、草原のような、地面という土台がある大地とは違い、砂というものは土台の上に重なっているぶん、踏み込みが甘くなる。
大地というしっかりとした土台がなければ、踏み出した足は沈んでいく。例えそれが数センチだとしても、普段通りに動くことはできなくなってしまう。
そしてそれは、近接戦闘を主にしているケインとアリスにとって、最悪の舞台だと言っても過言ではなかった。
「少し、急いだ方がいいかもしれないわね」
「じゃ、さっそくおぁっ!?」
「ライアー!?っ、これは……!」
ケイン達の目の前に、突如として現れたのは、巨大な砂地獄。ライアーはその砂地獄に足を踏み入れてしまったのだ。
「ちょっ、ナニコレ!?登れないんですケド!?」
「落ち着けライアー!ルシア、頼む!」
「あい!」
ルシアは返事を返すと、元のスライムの姿に戻った。そして、ケインの腕に巻き付くと、そのままライアーに向けて身体を伸ばし、ライアーの腕にくっついた。
「よし、アリス!今のうちに!」
「分かってるわ!」
アリスが空歩を発動させ、ライアーの元へと向かう。そして、ライアーの手を掴むと、そのままケイン達の元へと戻ってきた。
「助かったぁ……アーちん、マジありがと」
「別に良いわよ……それより、こんなものまで仕掛けてくるなんて……」
「裏を返せば、近づいてきているって証拠なんだろうが……ここからは、足元も気を付ける必要があるな」
四人は砂地獄を避けるようにして前に進む。
そして、次に現れたのは……
「デッカ!?」
「す、砂のゴーレム……!?」
「来るぞ!」
砂でできた巨人が、その拳を振り下ろす。
四人はなんとか回避するが、巨人はすぐさまケインに狙いを定め、再び殴りかかってきた。
「舐めるな!」
ケインは天華を手に取ると、波斬を放つ。砂でできた拳は波斬を受け止めきれず、そのまま崩れていった。
「よし……逃げるぞ!」
「え?あ、ちょ、まって!」
ケインは腕が崩れたのを確認すると、そのままノームのいる方角めがけて走り始めた。
アリス達もその後を追う中、ライアーがケインに話しかけた。
「ケーちん、なんで戦わないの?」
「さっきの敵をよく見てみろ」
「え?……あ」
ライアーが後ろを振り向くと、そこにはすでに腕が再生した巨人がいた。
「ここは全てが砂漠地帯。あいつの身体を保持するための砂はそこらじゅうにある。だから、どれだけ戦っても倒せないし、意味がない。だったら、逃げた方がいい」
「なるへそ……じゃあ、『崩れろ』!」
ライアーがそう言うと、巨人の足が崩れる。巨人はすぐさま崩れた足を作り直すが、その時間を使って、四人はさらに距離を離すことに成功した。
「ケーちん、これでオケ?」
「あぁ」
その後も、迫り来る砂の槍や巨人を捌きながら、四人は前に進み続ける。
そしてついに、彼の目前にまでたどり着いた。
「以外と、早かったね。君の判断、よかったよ」
「そりゃどうも」
「でも、それじゃぼくには触れないかな」
そう言うと、ノームは砂を壁のように立ち上がらせる。それは、まるでノームを守るかのように動き始めた。
「これが、最後。ぼくに、触れられる?」




