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22 地図と湖

 スキルロールに俺の魔力が流れ込む。

 その魔力にスキルロールが反応し、淡い光が輝きを放つ。

 そして、スキルロールに書かれた文字が一文字ずつ消えてゆき…



「…よし、スキル取得完了」

「ねぇねぇ、さっそく使ってみましょう!」

「私も、見てみたい」

「俺もだ。いくぞ、〝地図(マップ)〟!」



 〝地図(マップ)

 能力は言わなくても分かるだろう。地図だ。

 使用者を中心とした、直径一キロほどの範囲を映し出す()()()()()である。

 実はこの地図(マップ)というスキル、取得難易度がかなり高いのだ。

 それに、これの下位互換にあたるスキルが無いのも特徴である。

 そのため、安息(セーフティ)より高額で取引される代物…

 ではなく、実はレアスキルながらあまり高くない、むしろ安い値で取引されている。

 理由は単純。使う機会が限られてくるからだ。


 確かに地図(マップ)は便利だが、戦闘系のスキルでも補助系のスキルでもない。

 それに加え、大半の冒険者は拠点を変えない。

 それゆえ、長くいればいるほど土地慣れをおこし、地図(マップ)以上に地形を理解してしまうことも多い。

 また、冒険者ギルドに行けば周辺地図を見られるので、また地図(マップ)の出番は無くなる。


 これらの理由から、地図(マップ)は冒険者相手では見向きもされないスキルになってしまった。

 このスキルを欲するのは、せいぜい町を繋ぐ商人程度だしな…



 俺はさっそく地図(マップ)スキルを起動した。

 あまり人気のないスキルだが、はたして…



「お、おぉ…」

「これ…想像以上にすごいわね…!」

「ほんとだ…すごい…」



 俺達の目の前には、俺達のいる位置を中心とした、正方形の地図が浮かび上がった。

 その範囲は、メリアの五感が働く範囲よりも圧倒的に広い。

 表示が少し大雑把な部分もあるが、範囲内であれば地図の拡大と縮小もできる。

 なぜ使われないのかと疑問に思ってしまう。そのくらい有能なスキルだ。



地図(マップ)が地形を鮮明に見れない点は、メリアがいるから問題ないし…かなり有効活用できそうだ」

「そうね…あっ、近くに湖があるわね。ちょっと寄り道しましょう?」

「私も、水浴びしたい」

「わ、わかったから、ちょっと…」



 メリアもナヴィも、ちょっとは危機感を覚えてくれ…

 いや別に、そういう目でみてないけどな?



 翌朝、俺達は地図(マップ)で見つけた湖へ向かった。

 俺の地図で方角を定め、メリアの五感で道を定める。

 そうしておよそ一時間。俺達は湖へとたどり着いた。



「お、おおお…これは…」

「きれい…おおきい…」

「すごいな…これは…」



 目の前には、地図で見つけた湖が広がっていた。

 その湖は、地図で見るよりもはるかに大きく、そして美しかった。

 湖のまわりも自然豊かで、一つのオアシスのような場所になっていた。



「さぁて、水浴び水浴び!」

「水浴びだー」


 そう叫ぶとナヴィが服を脱ぎ捨て、メリアもそれに続いて脱ぎ捨てた。…って!


「ちょっ、いきなり脱ぐな!」

「うん?どうしたの?…あっ」

「…ナヴィ?」

「ふぅーん?もしかして照れてるのかしら?」

「うおわぁ!?抱きつくな!?」


 めちゃくちゃ柔らか…って違ぁう!


「い、いいから離れっ!」

「あん!もぅ…少しからかっただけなのに…」

「はぁ…はぁ…お前なぁ…」

「大丈夫~ケイン以外の前ではやらないから」

「そういう問題じゃない…」



 そういうと、ナヴィはそのまま下着まで脱ぎ捨てて湖に入っていった。メリアもそれに続く。


 …うん。いろんな意味で心臓に悪い。

 メリアもだけど、少し恥じらいってのを覚えて欲しい。

 俺だって、男なんだし…





「…ねぇ、ナヴィ」

「ん?なぁに?」

「さっきのあれ、なんであんなことしたの?」

「んー?なに?やきもち?」

「いや、そうじゃないけど…」

「冗談冗談。でもまぁ、しいて言うなら興味、かしらね…」

「興味?」

「貴女、メドゥーサなんでしょ?それも、元人間の」

「…うん」

「貴女の過去になにがあったかは分からないけど、ケインはそれを知ってて貴女と一緒にいる。貴女も、ケインを信頼して側にいる。それはもう、見ててわかるくらいに」

「え、あ、うん…」

「だから、知りたくなったの。貴女が信頼している、彼のことを」

「それが、ついてきた理由?」

「もちろん、貴女の事も知りたいから、ってのもあるわ。…それっ!」

「うぷっ…なにする、のっ…!」

「きゃっ…なにって、しんみりとした話なんてするもんじゃないで、しょっ!」





 なんか、二人して盛り上がってるなぁ…

 覗こうとは思わないけど。

 あの二人とはいえ、覗いたらなにされるかわかったもんじゃない…

 無心…無心になるのだ俺よ…



「というか、メリアってそこそこ大きいよね。それっ!」


 …ピクッ


「ちょっ、揉まない、でっ!」

「お、おぉ…これはなかなか…」

「ナヴィ、顔、顔怖い!ちょっ、ねぇ!?」

「ふへっ、ふへへへへへ!」

「ねぇ、やめっ(ふにゅ)…!?」

「ぁんっ」


 (なにこれ!?おっきいし吸い付くし柔らかいし!?凶器じゃんこんなの!?ってそうじゃない!)


「…っ!」

「あっ、待てー!」



 無心だ無心だ無心だ無心だ無心だ無心だ無心だ無心だ無心だ無心だ…!

地図スキルの能力を変更しました。

半径三キロ→直径一キロ

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