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182 Surprise Birthday その1

新章開幕


今章は、ヒロイン達が主人公。

「それじゃあ、行ってくる」

「……行ってきます」

「いってらっしゃーい!」



 ダリアとの激闘から二日後、俺とメリア、ウィル、ガラルは、買い物に出かけることになっていた。

 ナヴィ達は、なにやらやることがあるようで、俺達だけでも楽しんできて欲しい、と言われてしまった。

 まぁ、せっかくの休日なのだ。精々楽しむとしよう。



 *



 ケイン達が出掛けて、その姿が人混みの中に消えた頃、ナヴィがぼそりと呟いた。



「……行った?」

「うん、行ったよ」

「……では、こちらも始めましょう。ケインの誕生パーティーの準備を!」



 事の発端は、ダリアがケインに迫っていた時。

 あの時ケインは、「もうすぐ十九になる」と言っていた。

 そこで、唯一ケインを知っているアリスに話を聞いたところ、今日この日が、ケインの誕生日であると知ったのだ。



「さて、三人がどれだけ時間を稼げるか分からないし、手早く行くわ。リザイア、アリス、イルミスは料理を。レイラとイブは、私と一緒に部屋の飾り付けを。ユアは、ケインに気づかれないよう、食材の調達をお願いするわ」

「うむ、任された!」

「がんばる!」

「了解しました。では」



 ナヴィの指示の元、始動したサプライズパーティー。

 今ここに、少女達の戦いの火蓋が、切って落とされた。



 *



「それで、欲しいものってなんなんだ?」

「えと、その……お洋服……」

「洋服?その服じゃダメなのか?」

「ダメじゃ、ない、けど、新、しいの、見て、みたい……ここ、王都、だし」

「まぁ、確かにここなら色々とあるだろうが……」

「それに……もっと、可愛く、なりたい、から」

「……っ!」



 ……その言葉は、反則だと思う。

 俺は、メリアの気持ちを知っている。それゆえ、どうして可愛くなりたいのか、否が応でも理解させられる。

 ……なんか、そう考えたら恥ずかしくなってきた。

 が、俺も男。意地で乗り切ることにした。



「……っと、それなら、ガラルの服装もついでに探すか」

「んぁ?オレのか?」

「あぁ、いつまでもその格好じゃ、あんまり良くないからな」

「そうかぁ?オレぁ別に気にしちゃいねぇが、ご主人サマがそう言うんじゃ仕方ねぇな」



 ……ちなみに、ガラルの服装は出会った時とほぼ変わっていない。一応、布切れを巻いていただけの時よりはマシな格好をしているとはいえ、過度な露出であることに変わりはなく、高身長、赤褐色の肌も相まって、とにかく目立つ。

 なので、せめて露出度だけでも抑えて欲しいところである。



「……あ、見えて、きた」

「んじゃ、ちょっくら探しますか」



 店に入ると、ところせましと服が並んでおり、冒険者用から貴婦人用、子供用まで多種多彩な服が見受けられた。

 ……この中から探すのか。

 ちょっと、目眩がしそうだ。



 *



「スティッシャよ、協力感謝する」

「……別に良いけどさ、場所だけ借りても材料は出さないからな?」

「問題ありません。すでに買って参りましたので」

「うぉっ!?あんた、いつの間に……!?」

「失礼、今戻りましたので。皆様、こちらを」

「うむ、次も頼む」

「お任せを、では」

「……なんだったんだ?」



 *



「これ……どう、かな?」

「うーん……なんか、シンプルすぎますわね」

「そう?可愛い、と、思う、けど……」

「私が言えたことでもありませんが、貴方はもう少しフワッとした服の方が似合いますわ」

「うーん……じゃあ、こっち?」

「……それはフワフワしすぎですわ」



 メリアとウィルが、なぜか本気(マジ)な表情で服を選んでいた。まぁ、俺が口出しする訳にもいかないので、気にすることはなかった。

 ……だが、問題はこっちだ。



「……いまいちピンとこねぇな」

「お前の事だから女性服(あっち)には興味がないことは分かっていたが……」



 ガラルは望みの服が無いのか、少し不機嫌そうに呟いた。

 ガラルが望んでいる服。それは、「ひたすらにカッコいい服」だった。

 ……正直、可愛い服を選ぶより難易度が高い。

 おまけに、ガラルの身長を考えても、着られる服は相当限られてくる。

 どうしようかと思い、少し周りを見渡すと、ふとその場所が目に入った。



「……ん?」

「どうした?ご主人サマ?」

「ガラル、あの辺りに行ってみないか?」



 ガラルを引き連れやってきたのは、この店の最奥。そこには、他とは毛色が全く違う、奇抜な服が並んでいた。

 スペースはお世辞にもあるとは言えなかったが、やけに目に入る服ばかりが並んでいた。



「へぇ……良いじゃねぇか」

「やっぱり、こういった服の方が良いのか?」

「別に拘りがある訳じゃねぇ。そもそも、最低限さえ隠せりゃそれで良かったしな」

「まぁ、確かに……」

「でもま、せっかくなら威厳のあるようなモンを着て……」



 ガラルが突然言葉を切り、その場で立ち止まった。その視線は、ある一点に向けられていた。



「ガラル?どうした?」

「これだっ!」

「うぉっ!?いきなりどうしっ……」



 突然ガラルが駆け出したかと思うと、そこにあった服やらを数点手に取り、近くにあった試着スペースに駆け込んだ。

 ……なんだかよく分からないが、ガラルの目に叶った服があったようだ。

 一瞬すぎてよく分からなかったが、奇抜すぎる格好じゃ無いといいな。なんてことを考えながら、ガラルが着替え終わるのを待つことにした。

おまけ とある店にて


ユア「会計お願いします」

店主「うぉっ!?」

ユア「会計お願いします」

店主「お、おう……えっと」

ユア「こちら代金です」

店主「……え?」

ユア「問題ありますか?」

店主「い、いや別に……」

ユア「そうですか。では、急いでいるので」

店主「ちょっ、お客さ……な、なんだったんだ……」

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