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14 メリアとの旅

 …分かってはいた。

 分かってはいたさ。

 だけどさぁ…



「おーい、はーやーくー」



 いくらなんでも無尽蔵かなメリアの体力って!?



 都市を離れてはや10日。俺達はすでに、俺のこれまでの行動範囲外に位置する場所まで来ていた。

 ここからは俺の知識だけでは切り抜けられない。

 そこで、メリアの力を借りることにした。


 改めて言うが、メリアは見た目は人間の少女そのものだが、種族はメドゥーサである。

 メドゥーサ、というより蛇系のモンスターは五感が人間の10倍以上発達しており、空間把握に長けている。

 メリアはモンスターとしては不完全な存在で、現在は人間そのものに近い状態ではあるが、五感は普通の人間より何倍も優れている。

 そのためモンスターが迫ってきていても、モンスターが俺達を視認するより先にメリアが気付くため、楽に対処することができた。


 だが、問題が無いわけじゃない。

 まず、メリアは殆ど戦えない。

 メドゥーサの力を持っているとはいえ、今まで人間の女の子として生きてきた。それに力を手に入れたのも最近で、使い方もあやふやな状態。

 そのため、戦力としては今のところ期待できない。

 勿論、戦いを教えればメリアも一緒に戦えるようになるだろう。メリア自身も、自分の身を守るために戦いは覚える必要があるしな。


 そしてもう一つ、体力の問題だ。

 俺だって冒険者。体力はあるほうなのだが、メドゥーサであるメリアには敵わない。

 俺が休憩をいれながら動いているのに対し、メリアはその間にも見張りのようにグルグルと辺りを見回っていることが多い。

 …おかげで安全なんだけど、俺としてはメリアにも休んでほしいけどな…



 そして現在、絶賛山登り中だ。

 といっても、普通の丘程度の高さだが、角度がエグい。ギリギリ手を地に付けずに歩けるレベルだ。

 迂回するルートもとれそうだったが、あまりにも先に進めなそうだったので登ることにした。

 それは正解だったようで、横にはまだ続く急斜面が見えている。

 そしてメリアはと言うと、


「はーやーくー」


 …すでに頂上にいる。

 「ここを登ろう」と言ったそばからヒョイヒョイッと登っていき、疲れた様子もなく登りきった。

 俺もあと少しで頂上だが、メリアが登頂してから5分くらいは遅れている。

 これでも、だいぶ急いだんだけどなぁ…



「ぜぇ…はぁ…やっと着いた…」

「お疲れ、ケイン。あと、早くこっちに来て」

「…ちょっとは休ませてほしいんだけどなぁ…」



 急かすメリアに手を引かれ、連れてこられた先には


「うわぁ…」


 美しい光景が広がっていた。

 緑に覆われた森、そびえる山々、少し落ちかけている太陽。

 今まで見ることの無かった絶景だった。



「ねぇ、ケイン。あそこ…」

「ん?…あれは、城か…?それに、町らしきものもある」

「あそこ、なんか面白いことありそうかな?」

「さぁ、どうだろうな」



 しかし、興味はある。

 これまで他の町は殆ど行かなかった。

 だからこそ、行ってみたい。



「よし、あそこに向かうか」

「うん!」



 メリアは、勢いよく飛び出そうとした。

 なので、思いっきり制止させた。



「…メリア、ちょっとは休ませて」

「あ、うん…」

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