01 始まりの日
初めまして!
初心者ですが、よろしくお願いいたします!
「この度の試験合格により、今日からケインさんの冒険者ランクはBとなりました。おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
この日、ケイン・アズワードは三年間の冒険者活動の末に、Bランク冒険者となった。
この世界では十五歳になると、冒険者として活動することができるようになる。
冒険者になるには、主要都市などに存在する≪ギルド≫と呼ばれる組織に登録し、ギルドカードを受けとることで、初めて活動することができるようになる。
冒険者にはSからFまでの≪ランク≫と呼ばれるものが存在し、ランクに合わせた依頼が受けられるようになる仕組みとなっている。
ランクを上げるには冒険者として依頼を受け、依頼を達成することで得られるポイントを一定数集める他、Cランク以降はギルドが行う試験に合格する必要がある。
しかし、ケインは冒険者になるやいなやその才能を遺憾無く発揮していった。
依頼を次々とこなし、試験においても試験官を出し抜くほどの実力を見せた。
また、若者ながら他の冒険者からの信頼も厚く、他の冒険者から「冒険者になったら、まずケインに話を聞いてみるといいぜ!」とまで言われていた。
そんなケインがBランク冒険者になったのは、大きな騒ぎとなった。
それもその筈、ケインの生まれ故郷であるエジルタ出身で、Bランク以上の冒険者は二人だけしかおらず、しかもその二人がBランクとなったのは、活動し初めてからおよそ十年以上たってからだったからだ。
また、世界ではSランクの冒険者は現在おらず、Bランク以上の冒険者ですら数人しか居ないと言われているのも、騒ぎを大きくした要因であろう。
「それでケインさん。Bランクに上がった余韻に浸っているところ申し訳ないのですが…」
Bランクになったことで、より一層豪華になったギルドカードに見いっていたケインに、受付嬢が申し訳なさそうに話しかける。
「はい、なんでしょうか?」
「実は、ギルド長がケインさんと少し話をしたいと申しているのです」
「え、ギルド長が?」
「はい。いかがなさいますか?」
ケインは驚きを隠せなかった。なにせ、ここのギルド長は中々表に顔を出さないことで有名だったからである。
そんなギルド長が、ケインと話をしたがっている。恐らく、Bランク以上になった冒険者が時々依頼される指名クエストだろう。
ケインは暫し考え込み、悩んだ末に「まずは話を聞いてみよう」と思い至った。
「わかりました。伺います」
「ありがとうございます。では、ギルド長の部屋に案内致しますので、ついてきてください」
「了解です」
ギルド長の話…一体どんなものなのだろうか…
期待と不安を抱きつつも、ケインは受付嬢に誘導され、ギルド長が待つ部屋へと向かっていった。