男たちの作業
山のなかの廃屋で男たちが作業をしている。
廃屋を細長いパイプで囲い、それらを支柱にして白い布で廃屋全体を覆う。
これから内側で起こる騒音や飛散を軽減するという、周辺への配慮だ。
アームの先端にハサミがついた大きな重機が運び込まれる。
重機は、屋根をたたき落し、柱を折り裂き、壁を跡形もなく砕いた。
廃材はトラックにのせられてふもとへと運ばれていく。
重機による圧倒的な破壊と、トラックの数回の往復で廃屋は姿を消した。
廃屋のあとには家の土台となっていた基礎が残っている。
今度は、ショベルの付いた重機が運び込まれる。
基礎すらも残らず撤去され、あとにはでこぼこだらけになったむき出しの土だけが残った。
重機をそのままにして、今度は大量の土を乗せたトラックが来る。
トラックが土を下ろして重機が慣らして地面を平らにする。
そうした数々の作業の結果、山のなかに家一件分の更地が広がった。
夜になり、男たちは全員帰っていく。
時が過ぎて深夜、作業していた男たちとは別の、ふたりの男が現われる。
ふたりの男は、深夜の更地へと軽トラックで乗りつけて段ボール箱を運び込んだ。
縦一メートル、横二メートル、高さ一メートル程度の大きさだ。
段ボール箱を開くと、なかには幾重にも折りたたまれた一枚のビニールがはいっている。
ビニールを取り出し、二人は手際よく更地いっぱいに広げた。
ひとりが運転席の足元からおもちゃのような黄色い足踏みポンプを取り出し、ひとりがビニールについている空気栓を探し出した。
ビニールの空気栓にポンプのホースをつなぐ。
ふたりで何度も交代しながら空気を送り込みつづけた。
ビニールは大きくふくらんでいき、太陽が昇り始めるころには一軒のログハウスになっていた。
完成を確認し、ふたりの男は荷物をまとめて撤収した。
朝になり、はじめに作業をしていた男たちが現われる。
更地にしたはずの場所に立つログハウスをまえに、どの表情からも苛立ちや悔しさ、苦々しさが見て取れた。
男たちは、荷物の搬入を後回しにして、ログハウスの撤去をおこなう。
午前中にそれを終え、残りの時間で、本来おこなうはずだった建築作業を始める。
時間的遅れに加えて、男たちのモチベーションも下がっており、作業は順調とはいかなかった。
終業時間になっても大幅な遅れを取り返すことができず、いくつかの作業が明日へと延期された。
片づけが終わったあと、見張りを立てるかどうかを話し合っていたが、そんな人員を雇う金はない、ということにおわった。
男たちが全員撤収していく。
その日の深夜もふたりの男が現われた。
建築途中の柱がむき出しな二階建ての民家を、にやつきながら満足げにながめていた。
ふたりはそこへプラスチックのブロックを並べ始めた。
ティッシュボックス程度の大きさで、上部には円柱の突起がみっつほど付いており、下部には円柱を受け入れるくぼみが同じくみっつあった。
それらを連結し、組み立て、積み上げ、建築中の民家を飲み込んでいく。
朝には、ブロックの小城と呼べるほどのものができていた。
ふたりはすこし離れた林のなかへ隠れた。
これからくる男たちがこの城を見たとき、どんな顔をするのかを見るために。




