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前半下品です。気にする方は…すみませぬとしか言えませぬ。

挿絵(By みてみん)



「ツキ、頑張れ」


「ふんぬぅ~!」


「もうちょっと」


「ふんっ!」


「あ、ちょっとだけ出てきた」


 雪うさぎの椿です。

 先程、竜騎士タシュバからプロポーズを受け、妻の座をいただきました。


 夢見ていたプロポーズ。

 私は否とは言わなかった。


 鼻水付けて、タシュバに抱きついたくらいです。だって、どうしてもこのヒトと一緒になりたいなって思ったから。勢いがあると何でも出来ますね。さすが乙女です。


 ところで、いきなり出産かと早とちりしないでくださいね。

そんな、性交もすっ飛んで出来るわけないじゃないですか。妄想もそこまで逝くと……


「ふぐうぅぅぅ~、タシュバ、そろそろ出て行ってほしいにょ」


「わ、分かった。外へ行ってるな」


 雪うさぎになってから分かった。

 何かって? 便秘です。何度も言わせないでくださいね。てか、このまま実況をするべきですか? いやですね、ここは神聖なるトイレですよ。誰も聞きたがるわけないじゃないですか……お腹もピークを迎えてるみたいなので、ひとまずゴーしますね。


「ふぅ~~、やっと出たにょ……ハッ!」


 お尻まで手が届かない事に気付きました。ムンクの叫びが今なら出来そうです。どこまで自分は出来損ないかと自虐に走りたくなりますが、ここは我慢です。歯軋りしてから旦那さまを呼びましょう。


「た、タシュバぁ~、お尻は、ここの世界はどうやって拭くにょ……てか、拭いて欲しいにょ」


 雪うさぎでの姿で生きるということは、恥を捨てなくてはいけません。屈辱という文字は、アロマなる薄紙と一緒に魔法の便器へポイしてもらいました。グッバイです。


「ご、ごめんなさいにょ。タシュバしか頼れる人がいなくて……」


「良いんだ。気にしないでくれ」


 魔法の便器はぼんやりと光ります。

 緑色に光った後、白い便器だけが残りました。掃除って何? ですね。こちらの世界の方が手軽さでは進んでいます。きっと、トイレに情熱を燃やした方が練りに練ってくれたのでしょう。トイレの環境では頼もしくあります。


「スッキリしたか?」


「うん、そりゃもう。世界が輝いて見えるにょ。体も軽いにょ♪」


 飛び跳ねて、旦那さまに飛び付きました。

 やっぱり受け入れてくれる人がいるというだけで、気分も違いますね。頬ずり攻撃をするとそのまま受け入れてくれてます。


「キツくはなかったか? 薬師に貰った便秘薬を少し薄めたとはいえ、ツキには合わなかったんじゃ……」


 深緑色のネルネルネですね。

 あれは臭かったですが、味がよく分からなかったのです。効果はてき面でしたけどね。飲んで数分後、私はタシュバを連れてトイレへと走ったのです。確か、公衆トイレ……ではなかった。えっと、外にある東屋の近くにある簡易トイレです。

 そこには竜騎士隊員が一人、用を足している最中だったのですが、私は扉を激しく叩いてしまったんです。あれはいけなかったかもしれません。私の緊迫した表情を見たタシュバは、扉を大剣で叩き斬ってくれていたのですから。竜騎士隊員さんには悪い事をしちゃいました。いつか謝りにいきたいです。


「と、トイレの扉を壊してしまったにょ。後で竜王しゃんに謝らなければぁ~」


 丸いお腹をさすりながら涙を零していると、タシュバが抱き抱えてくれました。タシュバ、顔が赤いです。照れてるんでしょうかね。やっぱり好きです。


「ノティスにはもう報告が行ってる。先に、俺の息子にツキを紹介しような」


 おぉー! 

 そうでした。受け入れてくれれば嬉しいのですが。行きましょう、私の人生と、タシュバと家族のために。



***


「え、息子しゃんは実施訓練に行ってるにょ?」


 竜騎士養成学校に、瞬く間に到着です。

 何を使ったか気になりますか。うーん、確かハルバーンの居城前にある魔方陣ですね。

 タシュバが魔方陣の文字に触れると淡く光ったのです。ニャンて便利の良い。てか、転移魔方陣があれば、竜で移動するよりも早く簡単なのでは? と思いました。


 ――タシュバ曰く、全てのヒトにこの魔方陣を使わせるわけにはいかないらしいです。なるほどと思いました。悪用されればひとたまりもありません。国内から崩壊されます。

 魔方陣を使えるのは、竜騎士の中でも隊長格を持つ方しか無理らしいです。タシュバは黒竜騎士隊長なので、そのコードを竜王しゃんから教えて貰ってるらしいのですな。


「エルザード・ノムイエット君は溶岩地帯へ行きましたよ。火竜を手懐けよう実習ですね」


 受付にて喋る眼鏡の女の子が、古い地図を出して指差してます。

 旦那さまに見せると眉をしかめていました。好きな場所ではないのでしょうか。


「火竜でも大型竜がいる地帯だぞ。担当教育士はファルレイか?」


「いえ、違います。ロンドゴッズさんですね」


「ロンドゴッズ……気性の激しい奴か。あいつだけで火竜を抑えられるのか」


「ファルレイさんに急遽、遠征の伝令が出たのでロンドゴッズさんに変わったのですよ。他の担当教育士は違う地帯へ行ってます」


「遠征だと?」


「近くの村で干ばつが続いてるそうで。ファルレイさんが物資を届ける役割を担ってるんですよ。慈善活動だとロンドゴッズさんは動きませんから」


 旦那さまが少し苛立っています。

 何やら、不穏な空気が感じられます。どうしたんでしょう。


「ツキ、溶岩地帯へ行って来る。お前はここに残ってるんだ」


 いきなり言われて驚きました。

 そんなことを言われて引き下がる女じゃありません。今の私は雪うさぎですよ。舐めてもらっちゃ困ります。タシュバにひっついて、こう言ってやりました。


「タシュバ、私は雪うさぎにょ。私はやってやるにょ。息子さんに、私があなたの母にょって! あっつい溶岩地帯で、冷やりとした私を差し出してみるにょ! 私の株は急上昇。息子さんから祝福してもらえるチャンスにょ!」

 

「……」


 あれ、滑りました?

 でも乙女の心はタシュバには届いてるハズ。

 睨むように見上げてやりましたよ。タシュバの顔を。そして、スリスリ頬ずりしてやりましたとも。

 

「ツキが危険だからと思ったんだが、ついてくるんだな?」

 

「私は熱と火で溶けませんという事をタシュバにも証明してやるにょ。溶岩地帯を逆に、氷雪地帯へと変えてやっても良いにょ!」


 テンションが上がると何をするか分かりません。

 気が高ぶった感じになると、口からゴォォと、雪の粒なるものが出そうになりました。雪うさぎ版の息吹き(アイスブレス)ですね。火事場の馬鹿力とやらが生まれそうです。家族が絡むと凄いです。きっと今ならなんでも出来そうです。


「ツキがいれば心強いな。ここからはフォルテッダを使う。空を飛んで溶岩地帯へ行くからな」


 眼鏡の女の子がポカンとしたあと、顔を真っ赤にしてました。

 おでこにキスされてる所を見られちゃったのです。でも、タシュバは私のなんだからと嫉妬しなくてもすむならいいかと思います。今の旦那さまは、私しか目に入ってないですしね。




***


「束の間の空中デートを楽しむにょ~♪ 行くにょ、フォルちゃん!」


 竜騎士養成学校の入り口に立つと、遠い空からフォルちゃんが飛んできた。

 タシュバが口笛を何度か拭くと、風と一緒に乗るのでしょうかね。よくここまで育成したなと感心します。

 

「教育生達を見つけ、ロンドゴッズと話をつけたら避難しよう」


「タシュバ、その、ロンドゴッズさんて人は先生ではないにょ? だったら、その先生の得意分野ではないにょ?」 


 幾らなんでも実習中に、中止なんて出来ないのでは? と思いました。心配げにタシュバを見ると、ピンク色の垂れ耳を撫でられます。なんとも気持ちいい。妻を気持ちよくさせる事に長けてきましたね。

 

「竜王ノティスや先代達ならともかく、大型竜はヒトの手には負えないんだ。せめて中型まで。それに担当士がロンドゴッズ一人。自殺しろと言ってるようなもんだよ。黒竜騎士隊長として見逃せん事だ。俺の権限を使い、教育士の資格を剥奪せねばならない」


 竜騎士隊の隊長ともなると、同じ竜騎士隊員達の降格などの指示を独断でも出せるらしい。黒が最も強く、続く色は赤、黄、緑、水色、桃色となる。桃色とか聞いたのは初めてだったので、もっと聞きたかったが――


「ツキ、もうそろそろ溶岩地帯に着くぞ。出来るだけ体温を上げないようにな」


「にょ!」


 上から見るとボコボコッと熱いものが吹き出てきます。これに触れないように、タシュバと注意して進みます。目指すは真中くらいまで。

 息子の顔を見るまではへこたれないぞと、気合いを入れた。




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