プロローグ
どうも、初めまして。
処女作品故、お見苦しい点が多々ありますでしょうが暖かい目で見守っていただけると幸いです。
ではどうぞ。
「まてまてまてまてまってくれー!!」
「ハッハッハー!!風と一つになるってのは気持ちがいいな!!」
夜の街道を恐らく違犯で捕まるであろう速度で走る車。
その車では一組の男女が騒いでいた。
男の方は愉快そうに笑いながらアクセルを全力踏み
女の方は半泣きになりながら必死に座席につかまっている。
そして、後ろから二人が乗る車を追い掛けているであろう
白と黒で塗られた車がサイレンを鳴らして走っている。
「たかだか食い逃げで七台も追い掛けてくるとは、この国の警察さんは余程暇な
んだな!!」
男の方がバックミラーを見ながら女の方に語りかける。
「春が食い逃げなんてするからだろ!!」
「おいおい、杏だってノリノリだったじゃねぇか!!」
男は名を春といい。
女は名を杏という。
二人とも黒のスーツに身を包んでおり
男の髪は黒、女の髪は赤となっている。
「あー巻けねぇなこりゃ。」
春が暢気にタバコを吸いながら呟く。
「ちょっ!?どーすんだよ!!」
「こーすんだよ!!杏ハンドル任せた!!」
「は!?おま…あぶねぇ!!」
杏が慌ててハンドルを握る。
それを確認せず春は窓から身を乗り出し己の得物を構える。
「死なねぇよう神に祈りな。」
-バン!
銃声が辺りに響く。
それと同時に先頭を走る一台がスピンし後ろの三台を巻き込み横転する。
-バン!バン!バン!バン!
続けざまに四つの銃声が木霊する。
すると先程と同じように、残りの四台もスピンし彼等の車を追う者は居なくなっ
た。
「別に俺は神を信じてはいないけどな。」
後でスピンした車を眺め春はそういった。
「ふぅ…杏もういいぞ。」
「ん…あぁ。」
ハンドルから手を離した所でようやく杏も一息つく。
「にしても相変わらず春はすげーな。それを片手で売って寸分狂わず当てやがる
んだから。いったい体の構造してんだか。」
そう言われた春暫く考え込み
「別に普通さ。」
と、吸いかけだったタバコを吸いながらそういった。
「それにな」
「ん?」
「俺からすれば殆どの得物を使いこなす杏の方が凄いと思うぞ。」
さっきの空気はどこにいったのか
今は二人の間を穏やかな空気が流れていた。
「…そりゃどーも」
そんな空気が照れ臭いのかそう言った後
杏は己のタバコに火を付け窓の外で流れる景色に視線向けた。