表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

1*プロローグ

嫌じゃない。全然嫌なんかじゃない!

青い空をもう何日も見てないし、太陽だって見てない。それでも私はこんな生活が嫌じゃなかった。


青い空や太陽が見れないのは、私がどこかに監禁されてるからとか、そういうわけではない。早い話が、見ようと思えば見れた。でも、見なかった。

もっと言うならば、人の姿だって最近は見ていない気がする。


言ってみれば、私はひきこもりだった。小学校でいじめに遭い、人生を没落的にしか見ることができなくなってからは、地獄のような毎日。中学校に進学したはいいが人間不信に陥り、ほとんど不登校。

そんな私に声をかけてくる人なんていなかった。親は放任主義らしく、私のことなんか見向きもしていない。たまに、

「お姉ちゃんは、なんでもしたわよ」

と、嫌味を言われるくらいだ。何でもしない私のことなんか嫌いなんだと思う。

中学の担任からたまにかかってくる電話は、

「いくら成績が良くても出席日数が足りないから行く高校ないぞ」

という業務連絡のみ。もっと何か言うことはないのかと思ってしまう。



私は、高田椿。現在社会的には中三。今は冬休み。明日から学校が始まるから、最後くらい欠席なしで行こうかな、なんて考えてるところ。

三年生のクラスはいいクラスだ。私に考慮してめんどくさい生徒を全部ほかに回したんじゃないかってくらい、頭のいい賢いクラス。でも、私は恩知らずなため週に二、三回くらいは欠席する。これでも以前に比べたら登校するようになった方だ。


そんな私が愛用しているのが携帯電話とパソコン。人間不信の私だが、見えない世界の人間なら平気なようで、たくさんの友達がいる。同じ県に住んでいる人だったりすると「今度会わない?」みたいな話になることも少なくないが、丁重にお断りしている。もし会ったら、きっと私はその人と二度とメールなんてしなくなるであろうということが目に見えているから。


そして私は今日もいつものようにパソコンを開いて、ブックマークしているチャットサイトに接続した。


≪暇してる中三あつまれ≫

≪恋バナしよっっ≫

≪自殺を計画してる人、止めてやる≫

≪雑談cafe≫


など、いろいろなタイトルがある。今日はどこで話そうかな…。

そう考えていると、チャットルームが一つ増えた。


≪不登校って悪いことなのか?笑≫


入りたいルームもなかったので、≪不登校って悪いことなのか?笑≫に、入室してみることにした。

ハンドルネームは…めんどくさいから「ユキ」でいいや、二文字だし。


―――ユキさんが入室しました


【ユキ:こん!】

とりあえず挨拶をしてみる。

【陸人:>ユキ こん~】

返事はすぐに返ってきた。いきなり呼び捨てするタイプか、この人。何歳くらいなんだろ。

【ユキ:陸人、何歳?】

【陸人:15だよ。ユキは?】

【ユキ:15(^^) タメじゃん】

【陸人:話しやすいね。ユキ不登校なの?】

【ユキ:去年までは完全に不登校だったよ。今はちょくちょく行ってる】

【陸人:そうなんだ。俺は学校は行ってるよ】

……じゃあ、主は…陸人はなんでこのルーム作ったんだ?学校言ってるんならこんな疑問もつことないんじゃないの?

【ユキ:じゃあなんでこのルーム作ったの?】

【陸人:俺は不登校は悪くないと思う。でも、担任はクラスの不登校のやつを学校に来させようって必死になってる。おかしいから、みんなの意見聞いてみたくなって】

【ユキ:そうなんだ(―_―)!!いるよねそういう担任。でも私はほっとかれてるよ】

【陸人:俺はその担任の方がいいやつだと思う】

【ユキ:そっか。】

ヤバい、会話が尽きた。

【陸人:ユキってどこあたりに住んでんの?】

【ユキ:九州だよ】

【陸人:俺も九州w】

え!このサイト九州の人少ないのに。てゆうか、地方のタイトル以外で九州人と絡んだの初めてかも。

【ユキ:すごい!偶然!】

【陸人:九州の、どこ?】

【ユキ:鹿児島だよ】

【陸人:やびゃあ~~~ 俺も鹿児島だし】

……!すごい偶然…。こんなことってあるんだ。てゆうかここのサイト知名度低いのに。

【ユキ:じゃあ、住みとか近いかもね^^】

【陸人:ユキってメールできる?】

……あ、これって。住所近いふりしてアドレス聞き出してる新たな詐欺?年齢も住みも同じって、あまりにも偶然過ぎるもんね。騙されてるんだわ。

【ユキ:アドレス聞き出して、悪用する気でしょ。騙されないんだからね】

こんくらい書かないとね。

私はこれだけ書き残してそこのルームを出ようとした。

でも、その時即レスで新しい書き込みが増えた。

【陸人:そう思うならそれでいいけど、違うよ】

こういうのも騙しの手口…。

そうは思ったけど、私もかなり思い込みが激しいんじゃないかって気もしてきた。

【ユキ:ほんと?】

【陸人:ほんとだからw 俺今から落ちるから、信用するならメールして kou-take@xxx.xx.xx 】


―――陸人さんが退室しました


いなくなっちゃった…。

しかたないのでアドレスをメモして私も退室する。


―――ユキさんが退室しました


今私がいるのは自分の部屋。一週間分くらいの食料はある(それで今までひきこもっていた)。トイレやお風呂の時以外、最近はこの部屋から出ていない。

リビングには誰もいないと思う。お姉ちゃんはアウトドア派だし、親は仕事に命を懸けている。

よし、久々にこの砦から出ることにしよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ