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新しい魔王  作者: ユキアン
序章
1/3

変革

オリジナルの小説です。

大学のサークルで書いている物ですが他人の意見が聞きたくて投稿していきます。

「なぜ、こうなってしまった」

俺はかつての仲間に襲われ、近くの森に逃げ込んだ。

「なぜ、こんなことに」

「それが呪いだから」

反射的に声がするほうに剣を抜く。

「誰だ」

そこには青いマントに青い帽子をかぶった魔女がいた。

「貴方の側近です」

魔女はそう静かに答えた。

「側近?」

俺には仲間はいたが側近などいなかった。

「覚えがないな?そもそも勇者の俺になぜ側近がいる」

「いいえ、貴方はもう勇者ではありません」

そこで魔女は言葉を区切り、はっきりと言い放った。

「魔王様」

そう言って魔女は俺に鏡を見せた。

「嘘だろう」

それしか言えなかった。そこには倒したはずの魔王が映っていた。




「魔王、俺が魔王になった」

何度鏡を見ても、そこには見慣れた自分の姿ではなく魔王の姿が映っていた。

「おまえは、どこまで事情を知っている」

そばにいる魔王の側近だと言う魔女に聞く。

「全てを知っています」

魔女はそう答えた。

「これが呪いだと言うのなら俺は魔王として生きるしかないのか」

「ひとまず、私の家まで来てください。そこでお話します」

魔女が歩き出すのでそれに従って森の奥に進んだ。その間どちらも何も話さなかった。しばらく歩くと一軒の小屋があり、魔女はそのまま入っていったのでそれに続く
。小屋の中には必要最低限の家具以外何も無く殺風景だった。魔女は部屋の真ん中に置いてある椅子に座っていた。

「どうぞ、そちらに」

「ああ」

テーブルを挟んで魔女の対面の椅子に腰掛ける。

「何から話しましょうか?魔王様」

そう問われたので、まずはこう訊ねた。

「名前は」

「?」

「おまえ、失礼。君の名前だ」

「何もありません」

魔女は無表情で答えた。

「今まではどうしていた。名前がないと不便だろう」

「必要がなかったので不便だとは感じたことはありません」

「名前の必要がない?じゃあ、どうやって暮らしてきた」

「食べ物は魔物が持って来てくれるので、ずっとここでお待ちしておりました」

「いつからだ」

「私が私であったときから」

そこまで話を聞いて魔女が嘘をついていないことはわかった。

少しだけ考える。

 私が私であった時からということは自我が目覚めた時からだろう。なら、知識はどうやって得たのかが気になるが本などは見当たらない。ということは魔術的な施術が施されて、そのままずっと一人だったのだろう。寂しいとも思うことも無く、ただ俺に会うまでずっと一人でいたのか。

 だからこそ、俺は魔女の名前を考えた。

「シア」

なんとなく浮かんだ名前を言う。

「なんですか、それは」

「君の名前だ。俺は君の事をシアと呼ぶ。返事は?」

「……はい、魔王様」

魔女にすこしだけ感情の色が見えたが


それがどんな色かは分からなかった


だが、今はそれで良かった
。



「それから俺を呼ぶときは……名前は変えたほうがいいな」

だが、シアのときとは違い、なかなか思いつかなかった。

「………フェルザー」

魔女がぽつんと言った。

「シア?」

「一応、こちらで用意させてもらっている名前ですがお気に召しませんでしたか」

「いや、そんなことはない。ちゃんと聞かせてくれないか」

今度ははっきりと魔女は言った。

「魔王フェルザー様」

「良い名だ。だが、魔王も様も要らない。俺が君をシアと呼ぶ限り、君は俺をフェルザーと呼び、俺に従え。これは主従の契約だ。この契約がある限り、俺は君を信用しよう」

「わかりました、フェルザーさ」

様を付けそうになり慌てて口を閉じる様子はなかなかにかわいらしかった。シアが落ち着くのにそれほど時間はかからなかった。

「もう落ち着いたか、シア」

「見苦しいものを見せてしまい申し訳ございません」

よほど恥ずかしかったのか、未だに顔が赤いままだった。

「まあいいさ、それより本題に入ってもいいか」

「はい、なんなりと」

まだ顔が少し赤いがシアはまじめな顔つきに戻る

「まずは、疑問の解消をしていきたい。これは、俺が勇者として旅をしていた時からの疑問なのだが、魔王はどうやって、何の為に現れるのか。それを教えて欲しい」

「少し長くなりますがよろしいですか?」

「かまわない」

「まず、魔王ですが一番最初の魔王以外はフェルザーと同じように先代の魔王を殺した勇者が転生することによって現れます。そして魔王はこの世界をあるべき姿に戻すのが使命です」

「世界をあるべき姿に戻すとはどういうことだ」

「はい。フェルザーは生物がどうやって誕生したか知っていますか」

考える必要も無く、簡単に言葉が出る。

「創造神ウィネスが全部作ったと学校では習った」

「そこからが間違っているのです。創造神ウィネスは他の世界から来た侵略者です。本当の創造神は一般に邪神と言われるシャグルスです」

「なるほど」

勝てば官軍というのは神にも通用するのか。など、どうでも良いことが思いつく。

「なら魔王というのはシャグルスの代行人なのか」

「そうです。ウィネスは、まず人間の祖先に七つの業を植えつけました。嫉妬、暴食、色欲、怠惰、傲慢、憤怒、強欲。それにより人間の祖先は人間に急激に進化しました。今までの世界の均衡を破って」

「そしてシャグルスは世界を元の均衡に戻す為に魔王を生み出した。そういうことか」

そこまで話を聞いて俺はため息をついた。信じられないことだが俺はシアの言ったことが本当だと思えてしまった。今まで魔王は世界を滅ぼすべき悪だと決め付けることができたからこそ、勇者として剣を振るってこれた。その全てを否定してしまった。

「なあ、シア」

「なんでしょう」

「俺はどうしたらいいんだ。正直、シアが話してくれたことは本当だと思う。だけど、今までの魔王みたいに人間を滅ぼしたいと思えない」

「それはフェルザーが決めればいいのです。シャグルスは元の世界でなくても、その世界が均衡を保てばいいと思っています」

「つまり、人間の進化を停滞させれば良いのか」

「はい、他の生物が人間と同じ段階まで進化するまで停滞させておけば良いのです」

「そうか、なら俺は世界を征服する」

そう宣言した。

「だが、今までの魔王のようにはやらずに俺なりのやり方でこの世界の全てを元に戻してみせる」

俺は人間ではなくなった。だが、俺は人間の幸せを願う。その思いがある限り、俺は勇者だ。

「今までの魔王とは違う方法。人間を滅ぼさなくても良い方法。そんなものはいくらでもある。考えろ、今までの冒険で培ってきた経験をもとに何が」

だが、そこで一番重要なことに気付く。

「シア、俺はどんなことが出来るんだ」

「魔王としての力ですか?」

「そうだ、どんなことが出来るんだ」

魔王になったと言われても別段変化したと思えるのは背中に生えた翼だけ、それが少し不安だった。

「基本は魔王になる前の力が上がっています。翼があるので空を飛べます。他には魔物を自由に操ることが出来ます」

「それはどうやるんだ」

「ただ、命じればいいのです」

「どのくらい自在に操れるんだ」

己の命が尽きるまで、どこまでも従順に。それこそ人間以上に使いやすいと思います」

「なるほど」

自分の持つ情報とシアから教えられた自分の力の情報を元にこれからの方針を考える。まずは拠点を手に入れる。これを最初の方針にする。世界を征服していく上で拠点は最も重要だ。防衛力があり、交通の便があり、そして豊かな街。いくつか候補が思いつく。しかし、力で街を占領しても今までの魔王と何も変らない。だが、ひとつだけ力づくで奪おうともその後の統治が楽な場所を思いつく。

「メネレアだ。まずはあそこを落とす」

商人が作った国メネレア。

 メネレア海と山に囲まれている平原にある寂れた街だったが、ある商人が貿易によって発展させた街だ。街が発展すると近くの山が鉱山であることが判明。瞬く間に工業も発展し、大陸でも有数の大国家になった。だが、勇者時代にその国を訪れたとき、勇者である自分に取り入るためだけに国の美人を拉致したり、税金を引き上げ、その金をそのまま賄賂として渡してきたりと、国の重臣のほとんどが腐りきっていた。苦しむ市民を見てもなんとも思わない、王族。それにうんざりした仲間たちと共にどうにかしようと考えたが、勇者と言う肩書きがそれを邪魔してしまった。あの国なら、あの時出来なかったことができる。

「行くぞ、シア。目指すはメネレアだ」

「わかりました」


とりあえず序盤です。

こんな感じで会話主体になっています。

ご意見はどんどん下さい。よろしくお願いします。

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