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#36 その両面で

「おはよーっす」

地獄の朝がやってきたもののなんとか起き上がり、今日も今日とて学校に来た。教室にはすでに煌成がいたので声を掛けつつカバンから教科書類をしまう。

「おはよ」

顔を上げればいつの間にか煌成が目の前までやってきており若干驚いた。時計を確認しつつ筆箱を机の上に置いたタイミングで蔭山の事が思い出される。昨日送ったメッセージには返事が来ていたが、学校についての詳しい話などはしなかったのでどうなっているのか全く分からない。学校には来ているのだろうか。

「なあ、あいつどうなった?」

「あー」

ここで名前を口に出して誰かに聞かれたりするのは良くないという事で一応名前を出さずに訊いてみた。だけど誰の事を指しているのかを煌成は分かってるはずだ。聞き返すことなく濁しているのが何よりの証拠だ。

「学校に行けるのかってメッセ送ったんだけどさ」

周囲を窺うようにきょろきょろしながら煌成は声を潜める。

「今日はおばさん達が学校に話しに行くらしいから一応来るっぽい。...まあ明日以降も来れるとは限らねえけどな」

「まあそりゃそうか。まずは徐々にって形かもな」

なるほど。もう今日学校側と話し合いをするのか。でもそんなもんか。なんせ現在起こっている事件の犯人ってだけじゃなくって虐め受けてたんだもんな、学校側も応じるか。蔭山にとってもきっとその方が良いはずだし。....てか今日話し合うってことは、あいつらの処遇も決まるのか。

「そういやさ」

「ん?」

「今日話し合いとかあんなら、今まで関与してきた奴はどうなんのかな。去年のクラスメートとか部活の奴とか」

「そりゃあ呼び出し食らってなんらかの罰だろ」

「なら卒業生はどうすんだ?」

蔭山の話では副部長からも虐めを受けていたらしいが、去年の話だから向こうは恐らく3年生で今年はもう卒業しているはずだ。大学に行っているのか就職しているのか分からないが、こっち側から大学や会社へ連絡でもするのか?...というか虐めてきた他の上級生の中にも去年3年だった人間がいるかもしれねえしそこのところの把握が大変そうだな。

「あー確かに。そこんところどうなんだろな。まあでも学校側が上手くやってくれるんじゃね?」

「そうかぁ?....まあそうなのかな」

そこでこの話題は終わり、今日の時間割や課題の話に会話は転換していった。


「んじゃまたあとでー」

「うーい」

もうそろそろ担任が来てホームルームが始まりそうなので一応話を聞く体制には入っておく。そんな中、今度は別の人物から声を掛けられる。

「おはよ。二之前君」

そう、隣の席である鈴島だ。わざわざこうして挨拶をしてくれるとは、さては俺の事が好きだな?とか気色悪い自惚れは置いといてこちらも挨拶をする。

「おはよう。鈴島」

「昨日はよく寝られた?」

「え?あ、まあ寝れたけど...なんで?」

「だって二之前君いつも眠そうだし。...それになんか昨日はすごい悩んでる顔してた」

「....そうかな」

蔭山の事で昨日はいっぱいいっぱいだったが、それが顔にも出てしまっていたのか。なんだか申し訳ないな。余分な心配をさせてしまって。....とりあえず問題は解決したのでこれ以上心配をさせないようにしなきゃな。

「.....まあとにかく、心配してくれてありがとう。もう大丈夫だからさ」

「そう?ならよかったけど....今日は授業中寝ないでよー?」

「それはわかんない」

「えー」

心配そうな顔から一転、笑いながらそう言う鈴島と少し会話をしているとそのタイミングで担任が来た。


1限から4限までいつもと変わりなく呑気に授業を受けていたが、昼休憩の事だった。弁当食べようと煌成の席に向かっていた時

[ピンポンパンポン]

この時間に放送があるなんて担任言ってたっけと記憶を辿ってみたがホームルームの時もそれ以外の時間でもそんな事は一切言ってなかった。じゃあ何の放送なんだ?

[至急呼び出しをします。2年1組加藤。2年2組石丸。2年3組吉井。2年3組一ノ瀬。2年4組...]

続々と生徒の名前が呼び出しされているこの現状は誰もが異常と疑わないだろう。でも俺たち2人はすぐに蔭山の件についてだと分かった。煌成なんてバスケ部の奴が呼ばれてるんだから一瞬で気づいたはずだ。

「こいつらってさ...」

「うん。あいつの件だろうな」

放送を聞き漏らさないように最低限の声量で会話をしていると

「はあ!?なんで俺!?」

呼び出された張本人である石丸武人(いしまるたけと)が周りのクラスメートにからかわれながら大声で文句を言っている。

「...あいつはバスケ部?」

「いや、違う。たぶん去年同じクラスだったやつなんだろうな」

てことは放課後に蔭山を呼び出して暴力振るっていたやつの1人ってことか。確かにこいつは素行不良で度々生徒指導が入ったりしてるしそういう奴ら同士でつるんでんのかもな。

「まじだりーわ。てか潤貴(じゅんき)とかも呼ばれてんじゃん」

[.......3年4組久場。以上の生徒は至急生徒指導室にきなさい。繰り返します。2年1組加藤。2年2組石丸...]

「あーもう分かってるわ!行きゃあいいんだろ行きゃあ!」

ドアを思いっきり引いて大きな音を立てながら石丸が出て行った。それと同時にひそひそ声がどこからか聞こえてくる。

「....やっと行った...」

「....私ほんとにあの人苦手なんだよね」

「てか何やってんだよあいつ」

「さあな。いつも通りなんかやらかしたんだろ」

俺はともかく煌成も会話に加わることなく弁当箱のふたを開けた。


昼休憩が終わっても帰ってこない石丸は6限の途中にようやく戻ってきたみたいだ。その顔は青ざめており意気消沈といった様子で、あまりの静かさに周りの席の奴も声を掛けないくらいだったらしい。え?なんでそんなに伝聞口調なのかって?....そりゃあね。

「...は要注意だからなー。......はい、じゃあ今日はここまで」

「........ぁ...よく寝たー...」

はいもうぐっすりでした。いやだってさ!昼ごはんで満腹なってるだけじゃなくて教室はぽかぽかあったかいんだからそりゃあ眠くなる!しょうがない!まだ寝ぼけ眼で欠伸をしつつ教科書とノートをしまってると

「また寝てたね」

鈴島に声を掛けられる。その声は呆れているというよりもからかいのトーンだった。

「...寝てたわ」

「朝寝ないでって言ったのにー」

「......寝ないとは言ってないし」

「えー?...しかも起こしたのにずっと寝てたままだったし」

「あ、そうなの?それは申し訳ない」

マジか、起こそうとしてくれたのか。気づけなかったな。カバンを机の上に持ってきて肘置き代わりに使って会話を続ける。

「ほんとだよ。机とか肩ゆすったのにさー」

「マジでごめん」

「次はちゃんと起きてよ」

「次の俺次第ね」


そのタイミングでまたもや放送がかかる。ここ2日で3度も放送があるなんて明らかにおかしいとみんなざわついている。しかも放送の声は委員の生徒や教師ではなく校長の井上寛治(いのうえかんじ)だ。

[えー皆さん下校準備しているところ失礼します。....単刀直入に本題に入ります。....昨日全校集会で話した件なんですけども、無事問題が解決しましたので通常通り部活動を再開します....]

なぜ昨日みたいに体育館に呼び出すのではなくこういうスタイルなんだ?と思ったが昨日の今日でまた体育館なんて生徒側に負担がかかるって考えたのかもなと納得する。部活再開による周りの生徒の歓声を苦笑しながら続きの言葉を待つ。

[ですが来週から中間考査が始まるとのことなのでこのまま部活動は試験休みとします。生徒の皆さんには申し訳ありませんがどうかご理解よろしくお願いします]

「.....え」

その言葉で今度はえぇ~との不満の声がすぐさま漏れる。しかしそれを聞いて笑う余裕なんて今の俺にはない。え?テスト?無理無理無理無理。

[それでは帰りのホームルームに入ってください。失礼いたしました]

「はいそれじゃあ始めるぞー」

担任がドアを開けながら生徒に席に座るよう促す。


「...だ。明日の連絡は以上。.....あ、それとお前ら、来週からテストだがしっかり勉強しておけよー?2年になっていきなり赤点取って補修なんてたまったもんじゃないぞ。いいなー」

「........うわー....」

ため息交じりに言葉を漏らしていると横の鈴島に笑われる。くそっ、いいよな頭良い人は。...いやまあ俺も勉強すればいい話なんだけどさ。

「はい、じゃあ号令。...それと石丸。放課後忘れないように」

「....うす」

担任の言葉でみな号令し席を立つ。煌成は....あいつニヤニヤしながらこっち見て来やがって。なんで俺がテストあるの忘れてるの分かってんだよ。

「あーだるー」

「テストの事?」

「うん。....鈴島は嫌じゃないの」

「ちょっと面倒だけどなんとかなるからさ、大丈夫!二之前君も勉強...あ、でも授業中いつも寝てるからやばいじゃん!」

「そうそれなのよ」

俺がここまでテストを嫌悪するのはいつも授業を聞いてなくて何が何やらさっぱりわからないという重大な理由がある。....まあ最悪補修受けてもいいか....。

「なあ零斗」

正面を向けば煌成が俺の前に来ていた。...こいつずっとニヤニヤしてんな。

「何?」

「今回のテスト負けた方が罰ゲームな」

「....は?」

「あ、でも今回の件の報酬もあんな。じゃ、決まりなー忘れんなよー」

「....は?」

そそくさと教室を出る煌成。そういや今日は用事があるっつってたな。...いやそれよりもなんだよ罰ゲームって!てかあいつ絶対俺に勝てると思ってこの勝負仕掛けやがったな!?だからニヤニヤしてたのかよ!

「マジかよ」


[ピロン]

そんな中、零斗の自室にて、パソコンにある通知が付く。それは零斗が配信者Zer0として使用しているQuitterからのDM(ダイレクトメッセージ)からだ。送り主はなんの面識もない相手...というか誰かと深い交流をしていたわけではないのでほぼ全員なんの面識もないのだが。

[お忙しい中失礼いたします

との文言で始まるこのメッセージは


....とのことでコラボをしていただけないかと今回連絡を取らせていただきました。お手すきの際にご確認及び返信のほどよろしくお願いいたします。]

と締められていた。



いよいよ来たかコラボ!それと学生の山場であるテスト!いったいどうなる零斗!


最近気づいたんですが、土日とかの休日の更新はお昼ごろが一番見てもらいやすいんじゃないのかって思いまして次の休みから昼間に更新しようかなと考えています!そのことを覚えておいていただけたら!

ここまで読んでいただきありがとうございました!また次回!

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