表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/15

♯2 夜の学校

ゲームの内容考えるの少し大変だ...

「おっ、昨日の深夜に配信してんじゃん、いいね~。さーって配信内容はっと...」

チャンネルを開けばどうやら昨日の深夜に配信をしていたようだ。

この場合昨日の深夜っつーべきか今日の深夜っつーべきか知らねえけど。

なんて考えつつ配信のサムネイルとタイトルを見ると

「ホラゲーか、珍しいな。......てかこれ俺も買ったやつじゃん」

いつもはFPS系統の配信ばかりの彼には珍しくホラーゲームの配信をしていた。

それも、自分も一週間ほど前に買ったものと同じものを。

妙な親近感を感じつつアーカイブを見ようと人差し指が動く。

が、一つの懸念が脳裏をよぎり指が止まる。


「あーでもネタバレになっちまうなぁ、どうせなら完全初見でプレイしてぇな...」

そう、このまま見てしまうと攻略方法どころか内容がすべて分かってしまうのだ。

その上このゲームは謎解き要素もあるらしくますますネタバレされると自分がプレイするとき楽しめなくなる。

攻略法が分かっているうえに怖がらせどころが分かっているホラーゲームなんてもはや作業ゲーだ。いや、それよりもひどいかもしれない。作業だ。


「いやでも配信見たいしな...うわーマジで悩む」

ネタバレなしでゲームを楽しみたい俺とアーカイブを見たい俺が脳内で戦っている。これがジレンマというやつか。

う~~~む。



「......見るか」

勝ったのは後者だった。


見ようと決めてからの行動は早い。

すぐさまベッドから降り、部屋を出る。

一階のキッチンで冷蔵庫から麦茶の入ったボトルを取り出してコップに注ぐ。

そして戸棚を開け、適当に目についた菓子を数個つかみ取って素早く二階へ向かう。

夜ごはんの前に菓子を食べるなというまるで小学生へおこなう注意のような母の言葉につかまらないように。

菓子なんて今食わなきゃいつ食うんだよ。にやつきつつ階段を上る。


菓子とコップで両手がふさがっているためドアノブに肘をかけて戸を開く。

ここで飲み物が零れないようにゆっくりしゃがむ様に動くのがコツだ。

部屋に入ってサイドテーブルにコップと菓子を乱雑に置く。

もちろん飲み物を零さないように。

ベッドに寝っ転がる前に少し部屋の電気を暗くする。

この部屋は電気の照度を数段階切り替えることができるため調整に易い。

最大照度から三段階ほど下げる。なぜ三段階なのかはまあ適当だ。

このぐらいが一番ちょうどいい。

そして少し外光が入ってくる程度、カーテンを閉めたらようやくベッドに寝っ転がる。

これが二之前零斗の流儀(ルーティーン)だ。

うつ伏せだの仰向けだのはどうせ寝返りうって体勢が変わるのでそこは気分だ。

映画を観る前の客のようにそわそわしながら配信アーカイブを開く。



『おいっす、Zer0でーす。今日はこのホラーゲーム〔虐児の学び舎〕やってくー。』

彼があいさつをするとそれと同時に

【おいっすー】【おはよー】【ホラゲーするのか】

リスナーのコメントが流れる。

『おはよーってお前、不健康すぎだろ。』

【社不なめんな小童】【Zer0たん、会いに来たよー♡】

『まぁ最近暖かくなってきましたしね、こんなアホどもが出てくる季節になったという事でしょうか』

「ふふっ」

リスナーのコメントをばっさり切り捨て配信を進める。

リスナーと彼のやりとりはこの配信の醍醐味の一つだと思っている。


『ちょっと前にさ、良い感じのゲームないかなって思ってたらちょうど見つけてさ。

面白そうじゃね?このホラゲー』

【このゲーム知らないわ】【結構怖そう】

『そうそう、まだ有名ではない感じなのかな。でもめっちゃ気になってさ、思わず買っちまった。』

「......おぉ」

買った理由までほぼ同じことでますます親近感が湧く。

俺自身もこのゲームのグラフィックと雰囲気に惹かれ購入を決めた。

あと見た感じどことなく俺の高校にも似てる。

さらに値段もそこまで高くなく学生に財布に優しい。即決で買った。


【Zer0怖いのいけんの?】【ビビリ?】【どうせすぐ叫ぶ】

『いーやナメんなよお前ら、俺レベルになるとホラゲーなんてちょちょいのちょいよ』

【数十分後が楽しみだな】【耳栓しときます】【ほんと今までありがとう】

「はいはい、まぁ見てなって」

それと同時にGAME STARTのボタンをクリックした。

画面が変わり夜の学校を背景にシナリオが流れる。


『えーっと...なるほどね、明日提出の課題を学校に忘れたからそれを取りに来たのか...。.......諦めてよくね?めんどいし明日にしようぜ。

あとは......はいはい、昔虐められてた子が自ら命を絶ってそれ以来学校で幽霊が出る噂が流れたと。結構怖そうだねぇ』

【課題なんてせんでええやろ】【結構雰囲気ある】【なかなか可哀そうな幽霊だ】

とりあえずの目標は課題を見つければ良いようだ。

一通り読み終えて主人公である男子高校生を動かせるようになる。

どうやらここは校庭らしい。

まずは校舎に入るため正面玄関に向かう。

それがセオリーだが


『......ッチ、無理か』

彼は動かせるようになったやいなや、くるりと後ろを向き校門へダッシュした。

【何してんだよww】【学校から出ようとすんなw】【出れるわけねえだろw】【アホか】

ツッコミの言葉が大半である。コメントの流れるスピードが少し早くなったように感じる。

「そりゃ無理だろ」

思わず俺自身もツッコミの言葉が漏れる。

こういったすぐさまボケるところが好きな理由の1つだ。

【すでにビビってますか?】【怖いんならやめてもええんやで】【やーいビビリ】

そして今度は煽りのコメントが多数を占めている。

『は、はぁ?ビビってねえし製作者を試したかっただけだし!やめるわけねえだろ行くぞ!』

訳のわからない言い訳をして正面玄関に向かう。



『意外と距離あんな』

【それな】【思った】

彼とリスナーの言った通り思ったよりも正面玄関が遠かった。

まぁ彼が最初に校門まで行ったのもあるだろうが。

『うし、入りまーす。あら......鍵?』

どうやら施錠されているようで鍵がないと入れないらしい。リアルだ。

【そりゃそうか】【セキュリティばっちり!】

学校をモチーフにした通常のホラーゲームは校舎の中でスタートするので少し珍しいように思える。

『いやお前鍵なんていらねぇよ、そんなもんな扉ぶっ壊したったらええねん』

【脳筋】【唐突な関西弁】

正面玄関から離れ、校庭を見回しながら走る。

『いきなり探す系か......ほどほどに知恵貸せよリスナー』

【むり】【いやだ】【高くつくぞ】

『冷たすぎんだろ』



校庭の隅っこに着いて端から校舎の方向になぞるように走る。

『うーん......ん?なにあれ』

何かを見つけたようでふと止まった。

そこは体育で使われているのであろう砂場であった。

そしてさらに近づくと


『動物の......置物?』

さあこの置物はいったい...?


読んでいただきありがとうございました!

次は明日の19:00に上げます!ぜひ読んでいただけたら!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ