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イセカイノアリ  作者: 月美うどぅん
第四章 アリの巣 再び
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第66話 制御されし暴走

セキに案内されてアリ族の巣に着いた。


途中で魔物に襲われることもなく、平和に移動することができた。


ちなみにレッカはアリ族の姿に変身している。ホムラはそのまま連れてきている。


自分たちがいない所で見つかる方が大変なことになると考えたからだ。



巣の入り口の方を見てみると、ハクがこちらに向かってきていた。


「レンくぅん、久しぶりだねぇ。元気してたぁ?」


「ああ、何とかな。」



「おやぁ?レッカくんもいたんだねぇ。それに…使徒ちゃんもいるねぇ。」


「あー…私の名前はイルスだよー。」


「そうなんだぁ。それじゃあ改めて、イルスちゃんよろしくねぇ。」


「うん、よろしくー。」



「それと…そのファイアドッグは何ぃ?」


「実は…」



そこでハクにホムラのことを説明した。


ハクは自分が転生者であることを知っているので、ホムラも転生者だということを明かした。



「ふぅん、なるほどねぇ。」


「この事を他のみんなにも説明したいんだが、今みんなはどこにいるんだ?」


「今はみんな森で訓練しているはずだからぁ、もう少しで戻ってくるよぉ。」


「そうか…」



「それまでレンくん達の話を聞かせてよぉ。色々あったんでしょぉ?」


「わかった。それじゃあ…」






ーーーーーー





「スズメバチ族にぃ…七大魔竜かぁ。だいぶ苦労したんだねぇ。」


「まぁな。」



「とこロデ先生、七大魔竜とハ何ナノですか?」


「七大魔竜はねぇ、それぞれの大陸に1体ずついると言われているぅ、強大な力を持つ魔物なんだよぉ。」



「この虫族大陸にはウロボロスっていうのが確認されてたんだけどぉ…まさかそれと戦うなんてねぇ。」


「まぁ、ほとんどシンくんが戦ったんだけどねー。」


「それでも、だよぉ。」


ハクの話を聞いて、レッカがそれに反応して呟いた。


「ウロボロスの存在は我のみが知っていると思っていたのだが…まさかハクも知っているとは…。」


「どうしたのぉ?」



「いや…所でハクは他の七大魔竜は知っているのか?」


「うん、少しの情報だけどねぇ。」



「獣族大陸には『ファフニール』、魔族大陸には『ニーズヘッグ』がいるらしいけどぉ、会う機会は無いよねぇ。」


「ファフニールは知っていたが…まさか魔族大陸にニーズヘッグがいるとは…。後で大陸に知らせなければ…!」


「うぅん?」


「…何でもない。」



「おっ、話していたらボウくんから念話が届いたよぉ。そろそろ巣につくみたいだよぉ。」


「まずはボウか。ホムラを見て『暴走』しなければいいが…」


「うーん、そこはあまり心配しなくていいと思うよぉ。」


「どういうことだ?」


「えっとぉ…って来たみたいだよぉ。ほら、あっちを見てみてぇ。」



ハクの指した方向を向く。

その方向にはボウが複数のアリ族を連れて帰ってきているのが見えた。



「ボウ!」



ボウに向かって声をかける。


ボウもこちらに気づいたようで、こちらに駆け寄って来て…



「兄貴に軽々しく話しかけないでもらえますぅ?」

「てか、あんた誰っすか?見たことない顔っすね…。」

「んだ、んだ。」



その間に3匹のアリが割り込んできて、そのような事を言ってきた。



「…はぁ?」


「…なんすかその顔は。」

「質問に答えてくれますぅ?」

「だべ、だべ。」



個性的すぎる…!

ボウの近くにいたってことは、ボウと親しい関係なのだろうか。



「お前らやめろ!そいつは俺の兄弟だ!」


「俺らも兄貴の弟じゃないっすか。」

「こいつと何が違うんですぅ?」

「んだべ。」


「前にお前らに話していた兄弟…レンだ。」


「んべ!?」

「マジっすか!?」

「あのレンさんがここにいるぅ!?」



3匹目、それは話し方がおかしくないか…?


というかボウは自分の事を話していたのか。そう考えるとなんだかむず痒く感じる。



「レン。」


「…ボウ。」


ボウが近づいてくる。

そしてそのまま…突進してきた。



「ぐっ…何を…!」


「それはこっちのセリフだ!何勝手にいなくなってやがる!心配したじゃねぇか!」


「…心配してくれていたんだな。」


「…っ!それは言葉の綾だ!心配なんて…」



「ボウくん、久しぶりの再会なんだからさぁ、もっと素直になった方がいいと思うなぁ?」


「…チッ、わかってるっつーの…。」




「レン、悪かったな。いきなりど突いて。」


「兄貴が謝った!?」

「珍しすぎるぅ!」

「んだ、んだ。」


「黙ってろ!」



「いや…良い。お前の思いは伝わったからな。」


「そうか…。」



「ところでこの3匹組は何なんだ?」


「俺の舎弟だ。」


「えぇ…どうしてそんな事に?」


「俺のしていた訓練のせいだ。覚えているか?」



ボウがしていた訓練…?


確か…意識がまだはっきりとしていない兄弟達を、合図で集めるという訓練だったはずだ。

それに何の意味があったのかはあまりわからないが…。



「覚えているぞ。」


「その訓練でこいつらに懐かれてな、それ以来俺についてくるようになったんだ。」


「そうなのか。」


「ああ、面倒だぜ…。」



「ボウくんは口ではそう言ってても、彼らには優しいよねぇ。みんなもそう思うでしょぉ?」


「そうっす!兄貴は良くしてくれているっす!」

「一つの言葉をとっても、愛が感じられますぅ!」

「んだ!んだ!」


「ボウは…アレですね。『ツンデレ』というものナノでしょウカ?」



「うっ…お前ら…それにセキまで…。」








ーーーーーー








さて、ボウも来たことだし、イルス達を紹介する事にしよう。

ボウが来てからだいぶ賑やかだったので、話を切り出すタイミングがとれなかったが、ようやく話を進めることができそうだ。



「彼女が…イルスだ。」


「イルスだよー、よろしくねー。」


「よろしくな。」



(おい…レン。)


(どうしたんだ?いきなり念話で話しかけてくるなんて…)


(このイルスってやつ……)



まずい、何か怪しまれているのか…?


ここでトラブルになったら…




(めっちゃ可愛くねぇか!?)


(…へ?)


(だってよ!こう…なんか…オーラ!そう、持ってるオーラが他とは段違いに澄み切ってやがるしよぉ!)


(…そうか?)


(そうだ!あとは…)


(話は後で聞いてやるから、今は次を紹介したいんだが…。)


(約束だぞ!絶対だからな!!)



…ボウの目からはアリ族に『変身』しているイルスの姿が、とても魅力的に見えているらしい。


自分にはよくわからないが…そういうもの

なのだろう。




「次は…ホムラ、出てきてくれ。」


『バウッ!』



近くの木の裏からイルスが出てくる。

ボウに見つからないように隠れてもらっていたのだ。



「こいつ()…!」



まあ、そういう反応になるだろう。

いきなり魔物が姿を現したのだ、無理もない。




「可愛い…!」


「えぇ……」



またか…



(だってよ!フサフサして綺麗な毛並みと、このつぶらな瞳…そして何よりこの顔つき!可愛すぎるだろぉぉ!!)


(…お前そんな性格だったか?)


(なんだよ、文句でもあんのか?)


(いや別に…。)



ボウの反応に気を取られてしまったが、ホムラがどういう存在なのか説明しなければ。


そうしてボウにホムラのことを説明する。

ただし、転生云々のことは隠してだ。



「なるほどなぁ…。」


「なるほどなぁ…ってそれだけか?もっと反応があると思ったんだが…」


「ここで大人しくしている時点で普通じゃねぇのは明らかだろ?そんなに驚きはねぇよ。」


「ボウが賢い…!」


「あ?バカにしてんのか?」



「ボウくんはあれだねぇ。新しい技能スキルのおかげで賢くなったんだよぉ。」


「へぇ、そうなのか。」



スキルか…そうだ、『鑑定』をしてボウの能力を見てみるか。


「▼▶︎、『鑑定』」



Lv 30

名前 ボウ

種族 虫族

技能スキル

 怪力 制御 対虫

特殊能力アビリティ

 念話 暴走

・称号(加護)

 【虫神の加護】【みんなの兄貴分】




『制御』に…【みんなの兄貴分】?


『制御』はなんとなく分かるが、【みんなの兄貴分】は何なんだ?効果の想像もつかない。



(イルス、『制御』と【みんなの兄貴分】の効果について教えてくれるか?)


(もしかしてボウくんのスキルー?)


(そうだ。)


(えっとねー…)



イルスから聞いたスキルの詳細は以下の通りだ。



制御…様々な事柄を制御できる。力の使い方や他者との関わり方もこれによって向上する。

また、『暴走』を所持している場合、自分で条件を決めて暴走することができる。(例えば1分限定で、など。)



【みんなの兄貴分】…年下に異常なほど好かれる。そしてその相手はこの称号を持つ者を『兄貴』などと呼ぶ。




(まあ、どっちも良い効果だよー。)


(制御って…まさにボウのためのスキルのようなものじゃないか。)


(そうだねー。)





「…何を2匹でこっそり話してんだ?」


「おっと、話しすぎてたか。」


「そうだぞ。」



たとえ念話であっても長く話しすぎると他者にバレてしまう。そのことを忘れてしまっていた。



「すまなかった、それで…これからどうする?」


「巣に入るのがよかろう。我もそろそろ女王の所に…」


「確かにそうだな。」


「それじゃあアリの巣に入ろー!」



そうして久しぶりのアリの巣に入るのだった。

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