第61話 決着
前回までのあらすじ
ウロボロスとシンの戦闘
→ウロボロスの攻撃に防戦一方のシン
→シンが技を思い出して形成逆転
シンの攻撃を避け続けていたウロボロス?だったが、だんだんと余裕がなくなってきていた。
尻尾はシンの『二度と再生しない』という言葉の通り、もとに戻っていない。
『くっ…』
「動きが鈍ってきたでござるな!」
【永遠】という魔法によって再生能力が高まっているはずだが、逃げ続けるうちにスタミナが切れてきている。これもシンに切られた影響なのだろう。
しばらくするとウロボロス?は動きを止めて、シンをまっすぐと見据えた。
「ようやく諦めたでござるか?」
『……』
ウロボロス?は一言も発しないでシンの方向を向いている。それを見てシンはウロボロス?に近づいて、とどめを刺そうとしていた。
「ならばとどめを……!…聖なる力、それは…」
『喰らえ…!』
シンがウロボロス?に近づいた瞬間、ウロボロス?はシンに向かって魔力弾を放った。
「っ…!▲▼▶︎『聖・退魔斬』!」
シンはそれに反応すると『聖・退魔斬』で魔力弾を受け止めた。
「くっ…」
ーーーーーー
(くっ……威力が強くて、押しのけることができないでござる…!それに、この状態では『聖・退魔斬』は使えない…どうすれば……はっ)
その時、シンは先程シエンが言っていたことを思い出した。
(確か、『聖魔法』を変化させた…そう言っていたでござるな……。であれば今は何に…?)
するとシンはその『聖魔法』に意識を集中させた。そうすることで呪文が頭に浮かんでくるかもしれないからだ。
(やはり……これなら魔力弾を無効化できるでござる……!)
ーーーーーー
奴との攻防は数年続いていたが、ようやく決着がつく。しかし、ここにくるまで多くの配下を犠牲にしてきた…。
ここに住み始めた当時は7匹ほどいたが今はもういない。唯一残っていたのも我を復活させるために命を捧げた。
これではもう後戻りはできんだろう?
だが、目の前にいるカマキリ…いや、カマキリの皮を被った化物は、我を圧倒している。
我の切り札である【永遠】によって、無限の再生能力を得たが、それすらも奴に無効化された…。
『闇魔法』は効かない、尻尾での攻撃もできない、噛みつき…は首を切り落とされてしまうだけだろう。
ならばどうするか。
そうして我はある考えに至った。
『闇魔法』は効かないが魔力そのものは効くのではないか、とな。
そしてカマキリが動きを止めた我に近づいた瞬間……我は不意打ちで特大の魔力弾を放った。
それも魔力だけでなく生命力も注ぎ込んだ物だ。
これならば……奴……も……
ーーーーーー
「ぐっ……」
シンは両腕で魔力弾を受け止めていたが、徐々に腕が傷ついてきていた。その威力に耐え切れなくなっているようだ。
「使うのが初めてでござるが…成功するかどうか……」
シンは魔力弾を受け止めながらも意識を集中させていく。そして、腕を魔力弾から離して一瞬で鎌を振りかざしていた。
「▲▼▶︎▶︎……『退魔聖斬』…!!」
一閃。
魔力弾はその一撃によって半分に両断され、分かれた部分はそのまま空中に消えていった。
「はぁ………はぁ…消耗が…激しいでござるな…。」
シンはすぐにでも倒れてしまいそうなほどに疲労していた。脚も少し震えてきている。
「っ…ウロボロスは…!?」
シンはおぼつかない足取りでウロボロス?の所へと向かった。
するとそこには…
地面に倒れているウロボロス?がいたのだ。
「……!?」
『…来た、か……』
「どういうことでござるか…!?」
『魔力弾にはわれの生命力をほとんど込めていてな……それで我の体が崩壊し始めているのだ。』
「そうでござるか…。」
『我はもうおまえと戦うつもりはない…実際は戦えないというのが正しいがな…。』
「…ならば最後に聞きたいことがあるでござる。あの鳥の魔族はどこにいるでござるか?」
『奴か……おそらく魔族大陸に帰ったであろうよ。』
「それは真でござるか?」
『ふむ、疑うのは当然のことだが…これは本当のことだ。』
「そうでござるか…。」
『……どうやら時間が来たようだ。我はもうすぐ完全に消える。』
「……。」
『最後に…忠告だ。この虫族大陸以外の大陸にも、それぞれ魔竜がいるが…全て我よりも遥かに強い。』
『正直、我はそいつらが嫌いだ。だからお前に奴らの特徴を教えてやろう…。これを聞いてどうするかはお前次第だがな……。』
そうしてウロボロス?はシンに他の『七大魔竜』についての情報を話した。
話が進んでいくにつれて、ウロボロス?はより苦しそうになっていった。
『これで全部だ……ぐっ…』
「…承知でござる。」
ウロボロス?は話し終えると体の崩壊が急速に進み、ついに体全体が消えかかっていた。
『ああ…"ヘル坊"……最後に一目……』
そしてウロボロス?は完全に消滅した。
「…ようやく終わったでござる……」
シンはウロボロス?が消えるとその場に崩れ落ちた。精神や魔力の使い過ぎで 疲労がもの凄いのである。
「少し…眠るでござるか…」
そしてシンはそのまま眠りに落ちた。
ーーーーーー
ある城の玉座…
そこに二本の角を持つ褐色の者が、堂々とその城が我が物であるように座っていた。
「っ…!」
そこに1人のゴブリンがその空間に焦った様子で入って来た。
「報告ですぞ!ニーズヘッグ様より、ウロボロス様が消滅したと聞きましたですぞ!」
「今、我も感じた所だ。」
「そうでしたか…。」
「しかし、ウロボロスが、か……。あの再生能力には目を見張る物があったのだが…。」
「…他にも報告がありますぞ。」
「…何だ。」
「虫族大陸に新たな【勇者】が誕生したらしいですぞ。」
「…そうか、恐らくウロボロスはその者に殺されたのであろうな。」
「確かにそうかもですな…。」
「…こうなって来ては少し急がなければな…。では、例の計画を次の段階へと進めよ。」
「本当によろしいのですかな?まだ力は溜まり切ってないですぞ。」
「ある程度は補完できるだろう。それよりも今は戦力を増やさねばならないのだ。」
「そういうことなら了解ですぞ。」
「…上手くいかないものだな、ボロさん…」




