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イセカイノアリ  作者: 月美うどぅん
第三章 迷いの森
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第57話 ウロボロス



カマキリが蛇にとどめを刺そうとした時、何者かが現れてその攻撃から蛇を守った。


それはなんと…ウロボロスだった。


ウロボロスはその蛇と同じような見た目をしていたが、体の大きさがまったく異なっていた。



蛇がカマキリと同じくらいの大きさなのに対して、ウロボロスの大きさはその半分。大体レンより少し大きいくらいだ。





『…久しぶりだな。』


「お主は…!」



両者の間に緊張が走る。やはり宿敵ともいうべき間柄、そうなるのも当然のことだ。




「…誰でござるか?」


『おお…そうか。そうであったな。我が記憶を消したのだったか……。』



カマキリによってその場の緊張が取り除かれてしまった。これにはウロボロスもショックを受けている様子だ。




『…まあいい、私の配下が世話になったようだな。』


「む…此奴の主であるということでござるか?」


『そうだ。』




(うわー…まさかウロボロスが来るなんてねー…。)


(…あれが本当に強いのか?大きさ的に全然強そうに見えないんだが…。)


(『鑑定』したらいいじゃんー…)


(ああ…確かにそうだな。)



「▲▶︎『鑑定』」


レンは遠くからウロボロスを『鑑定』した。




Lv88 ウロボロス

種族 魔竜族

技能スキル 

 不滅

・称号(加護)

【魔神の加護】【龍神の呪い】【永遠】





(Lvは高いが…スキルとかは少ないな…)


(でも魔神の加護があるから、これがあるだけですごく強いんだよー!)


(そうなのか…)



レンとイルスが念話で話している間に、ウロボロスとカマキリに動きが見られた。




『…話をするためにここに来たわけではない。』


「そうでござるか。ならば…」



『ああ…決着をつけよう。』



その瞬間、ウロボロスからとてつもない威圧感が放たれた。



「な…何だこれ…」

『バウゥ…』



その圧倒的な力の差を感じたのか、レンとホムラはその場に崩れ落ちた。


イルスもそれを感じているようだが、なんとか耐えているようだ。




「っ……!これは中々…」


『ではこちらから行くぞ。』



ウロボロスは一瞬でカマキリに近づくと、尻尾を勢いよく振り下ろした。


カマキリはそれを両腕の鎌で受け止める。



「重い……!」


『これを防ぐか。ならばこれはどうだ?』



ウロボロスが尻尾を連続で叩きつける。

最初の方は鎌で捌いていたが、それが続くと捌ききれずに体に当たり始めた。



「くっ…」


『前のような威勢はどうした?…続けるぞ。』



カマキリの体にはどんどん傷が増えていった。それでもウロボロスの攻撃は激しくなっていく。



「私たちも助けに行くよー!」


「ああ!そうだな。」



『だめ、いかせないよ。』



レンとイルスの前に配下の蛇が立ち塞がった。



「まだ動けたんだー。」


「3匹で勝てるか…?」


『グルルル…』



『ぼくはもうたたかうつもりはないよ。さっきのでちからをつかいはたしたからね。』



『ぼくはただ、うろぼろすさまのたたかいをみとどけたいだけなんだ。だからきみたちにはおとなしくしてもらうよ。』


「そんな事言われても…」


『…きみたちぐらいならかんたんにたおせるよ。うごかなければなにもしないから。』



(あの感じ…本気だよー。ここは大人しくしていたほうがいいかもねー…。)


(そうか…)







ーーーーーー




※⬛︎⬛︎視点






『うろぼろす』なる者と戦いになった。

彼は小さいながらも力が強く、尻尾を受け止めるだけでも精一杯である。



『…反撃しないのか?』


「くっ…▲▶︎『両断』…!」



苦し紛れだが、鎌を振って『両断』を放つ。

しかし、ウロボロスはそれを軽く受け止めこう言った。



『ふむ…衰えたな。いや、我が強くなったのか…。』


「…!」



某の攻撃は全く効いていないように見える。

まさかこうも簡単にあしらわれるとは…。


某は…気付かぬ内に天狗になっていたのかも知れぬな。



レン殿達が無事ならそれで……いや、弱気になってどうする。ここから活路を見出さねば…!




『…そろそろ終わらせよう。』



するとウロボロスから魔力が解き放たれた。某はそれを受けるだけで気分が悪くなってきてしまった。



『大いなる風よ…永遠の闇をもたらせ…』



これは…受けたら終わりでござるが…避けられる未来が見えないでござる…。


だが…最後に足掻いて見せよう…




「▲▲▲▶︎…!『奥義…」



今まで一度も出せなかった、双鎌術の奥義を土壇場で放とうとする。ここでやらないで、いつやるというのだ…!




『…「死風」…!』


「…⬛︎刈』!!」



鎌に魔力をまとわせて、そのまま振りかざす。すると「何か」を切ったような感覚はあったが、特に何も起きていない。


そして某はウロボロスの放った魔法に飲み込まれた……。










ーーーーーー










「カマキリくんー!そんなー…」


『うろぼろすさま…かったんだ…!』



配下の蛇は、自らの主が勝利した事を確信すると、すぐにウロボロスに近づいていった。



『うろぼろすさま…!』



そして声をかける。

今すぐにでもその喜びを分かち合いたいのだろう。しかし、そこには異変が起きていた。



『え…?うろぼろすさま…?』


『…あ……あ…………あ……!』


『どうしたの!うろぼろすさま!しっかり!』


蛇がウロボロスに話しかけても返事がなかったのだ。ウロボロスはどこか上の空で、周りも見えていないようだ。



「どうなっているんだ…?」


「そんなことよりカマキリくんを治療しに行こうよー!」


「…ああ、そうだな。」



レン達はカマキリの所へ向かった。

今、蛇はウロボロスに話しかけているので、邪魔されることはなかった。



「カマキリくんー、大丈夫ー?」


「む…イルス殿で…ござるか…。」


「今すぐ『癒光』をかけるねー。」


「…助かるで…ござる…。」



そうしてイルスはカマキリを治療するために『癒光』をかけようとした。




「回復魔法なら……オイラ的には必要ないと思うんスけどね。」





「…うん?」


「気配的に『加護』持ってるんスよね?だったら大丈夫じゃないっスか?」



突然イルスの隣に『猿』が現れて、イルスに話しかけてきていた。



「…だれー?」


「あれ、そっちのアリから聞いてないっスか?」


「レンくんは知ってるのー?」


「えっと…名前は…シエンだったか……?」



「当たりっス!」


「聖なる力を得た獣、シエンとはオイラのことっスよ!」



「聖なる力を得た獣って…まさか…」



イルスはそれを聞いて何かに気づいたようだった。



「とにかく…早く治療を…して欲しいでござる……。」



「あれれ、ダメージ受けてるんスか?おかしいっスね…。『聖神の加護』があるなら闇魔法はほとんど効かないはずなんスけど…。」



「やっぱりそうなんだー…。」


「どういうことだ?」


「あー…説明するねー…。」





「だいぶ前に種族についての話をしたこと…覚えてるー?」


「確か…『虫』『獣』『鳥』『魚』『人』『魔』『竜』の七種族だったよな。」



「うん、そうだよー。それで、それぞれの種族に肩入れしている神々がいるんだけどー…。」




「その中で『聖神』っていうのは『人族』に加護を与えてるんだー。」



「へぇ……あれ?でもシエンは聖神の加護がどうとか言っていたが…。」



「うん、これが聖神が他の神と違うところでねー。聖神は人族じゃない種族にも、加護を与えることがあるんだよー。」


「…ならもしかしてカマキリは…」


「そうだねー。」



「な…何でござるか…?治療を……。」





「うーん、本当に痛いんスか?『聖神の加護』は持ってるんスよね?」


「…すまぬ。某は記憶が曖昧で…覚えていないでござる。」


「そっスかー…」



シエンはカマキリと話してから、1匹で何かを呟きながら考え込んでいた。



「記憶喪失……それが闇魔法によるものなら…いや……試す価値はあるっスね……」





「とりあえず強さを抑えて…『金剛嵐』!」



シエンが魔法を使うとダイヤモンドのような石がその場に現れた。数が多く山のようになっている。


「これを砕いて…」


「…何を…してるでござるか…?」


「いいから黙って見てるっス!」


シエンはその石を砕くと板のように地面に広げた。


「…これでいいっスかね?じゃあ…そこのカマキリくん、こっちにきて欲しいっス!」


「…体が動かないでござる。」


「そっスか。ならオイラが運ぶっス!」



シエンはそう言うと、カマキリに近づいてその体を軽々と持ち上げた。そしてそのまま石のある方に運ぶ。



「っ何を…!」


「下を見るっス!」


「む…?」



カマキリは言われた通りに下を見る。下にはダイヤモンドのような石が砕かれたものが広がり、鏡のようになっていた。


なのでカマキリはそれに反射した自分の姿を見たということになる。するとカマキリに変化が現れた。



「……!?」


「始まったみたいっスね。安心していいっスよ、害はないっスから。」


カマキリの体が輝き始めたのだ。



「そっかー…そうなんだねー…。」


「イルス?何か分かったのか?」


「多分だけどねー…」




「記憶が戻るんだよー。」

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