第55話 vsトレントロード
トレントロードと戦っているレン達は、ホムラの攻撃をトレントロードに当てることを意識して戦っていた。
しかし、ホムラの攻撃を何回か当てたのだが、それもまたすぐに再生されてしまっていた。
なのでレン達はトレントロードの鞭を避けながら、念話で対策について話していた。
(…また再生されてしまったぞ!)
(うーん…困ったねー。やっぱり威力が弱いのかなー?)
(バウゥ…)
(別にホムラが悪いわけじゃないからねー!気にしなくていいよー!ほんとに!)
(…ずいぶんと必死だな。)
(うるさい!)
イルスは一呼吸置いてから念話を続けた。
(はぁ…そうだねー。私に奥の手はあったけど、それはさっき使ったからねー…。)
(奥の手…?)
(うん、持っている能力を捧げて、一時的に天使の姿になるってものなんだけどー…)
(それはもう使えないのか?)
(…別に使えなくはないけどー…それで倒し切れなかったら、もう戦えなくなるほど弱くなっちゃうからねー。)
(そうか…。)
念話で作戦会議をしていたが、トレントロードの鞭での攻撃が止まり、トレントロードは鞭を枝に戻していった。
(…何だ?)
(…気をつけてー。別の攻撃をしてくるかもしれないよー…。)
イルスの予想通り、トレントロードは今までにない動きを見せた。
トレントロードは頭上に生い茂っている葉を揺らし始めた。その影響で葉が何枚か落ちて来ていた。
『……!』
(…来るよー!)
そうして落ちて来た葉っぱは空中で軌道を変えると、レン達に向かってまっすぐ飛んできたのだった。
「▼▶︎『光壁』!」
レンは咄嗟に『光壁』を張ったが、葉は鋭く尖っていたので、光壁を貫きレンの体に命中した。
「くっ…!」
「レンくんー!▼▶︎『癒光』〜!」
「…助かった。」
「あれは光壁だと防げないみたいだねー。だから避けるしかないかなー。」
「そうか…いや、待てよ。」
「どうしたのー?」
「一度、試してみたいことがある。」
少し時間が経つと、トレントロードはもう一度葉を落として来た。その時にレンは思いついたことを実行しようとしていた。
「光壁は貫通するが、これならどうだ…。」
またトレントロードは葉を操作してレンに向かって飛ばして来た。
「▼▲◀︎…『酸衣』!」
レンが新しい魔法を使うと、酸がその体の周りにまとわりついた。
「これで…!」
トレントロードの放った葉はレンに当たったが、周りに纏った『酸衣』に触れると葉は溶けて無くなった。
『……!?』
レンはトレントロードとの距離を一気に縮め、その幹を登っていった。
そのまま上に移動して、葉が生い茂っている部分まで到達した。
「これで葉を溶かせば…!」
「ウキッ?」
「はぁ?」
「キキー!」
トレントロードの枝で猿のような生物がくつろいでいた。レンは突然現れた猿に驚きはしたものの、すぐに臨戦体制に入った。
「ウキキッ。」
だが、猿はレンを見つけても襲ってくる様子はない。それどころか、穏やかな視線をレンに向けている。
「…魔物じゃないのか?…そうだ…▼▶︎『鑑定』。」
レンは『鑑定』の存在を思い出したので、その猿に使ってみた。
Lv 14☆ シエン
種族 聖獣族
・技能
縦横無尽 天才
・特殊能力
強化 対魔 土魔法
・称号(加護)
【獣神の加護】【⬛︎⬛︎の加護】【⬛︎⬛︎】
「聖獣族…?それにLvの横に☆が…」
「…ウキッ!」
すると猿は突然起き上がり、トレントロードから跳んで去っていった。
「…何だったんだ……?」
「っと、そんなことより!今はトレントロードだな…▲▶︎『酸散』!」
レンは気を取り直して、周りの葉に『酸散』を放った。その酸に触れた葉からどんどんと溶けていっている。
『…………!!!』
「うおっ!」
その時、トレントロードが勢いよく頭を振り回したので、レンは外に放り出され、そこから落下してしまった。
高いところからの落下だったが、レンは何とか無事に着地した。
「レンくん!大丈夫ー?」
「ああ、それで…上手くいったみたいだな。」
「トレントロードが苦しんでいるみたいだけどー…何したのー?」
「枝と葉に『酸』をかけて来たんだ。これなら再生しても酸は残って、枝と葉を溶かし続けるからな。」
「なるほどねー…。」
「…でも動きはより激しくなったねー。」
「強めの魔法のために魔力を溜めたいから、時間を稼いでくれるー?」
「ああ、ホムラ行くぞ!」
『バウッ!』
そうしてレンとホムラはトレントロードの所に行こうとした。しかし、その時イルスに呼び止められてしまった。
「あー…ちょっと待ってー。ホムラくんは置いて行ってくれないー?」
「それは…どうしてだ?」
「うーん…ちょっとねー。」
「…まあいい、分かった。」
「うん、ありがとー。」
そうしてトレントロードの足止めはレンだけで行うことになった。
トレントロードは苦しみながらもレン達の方向に徐々に移動して来ている。
『………!』
レンがトレントロードの前まで来ると、枝の鞭をレンに向かって振るってきた。追加で葉も飛ばして来ている。
「▲▼◀︎…『酸衣』」
先程と同じようにレンが『酸衣』を使い、酸の膜のようなものを纏う。
「っ!…だいぶ魔力を使うな。…カマキリの魔力を分けてもらうか…。」
『酸衣』は魔力を常時消費するので燃費が悪い。レンはそれをカマキリの膨大な魔力を使うことでそれを克服した。
『………!!!!』
トレントロードは本気になったようで、レンに激しい攻撃を仕掛ける。枝の鞭は10本以上に増えて、振るスピードも上がった。
『酸衣』では鞭は防げない。
なのでレンはそれを避けるか『光壁』で防御するかのどちらかで対処するしかない。
だが、『酸衣』を使いながら『光壁』を張ることはレンには無理だ。そのため鞭は避けることしかできない。
(イルスまだか!?もうそろそろ限界だ!)
(あとちょっとだからがんばってー!!)
『………!!!』
トレントロードはレンが弱ってきていることに気づいたのか、動きがより激しくなった。
「よし……」
レンは何とか鞭を避け続けている。
だが、その事に意識を集中し続けているからか、他への意識が向いていなかった。
『……!』
トレントロードは地面に潜り込ませていた根を地上に出した。そして根が出た位置はレンのすぐ隣だった。
「しまっ…!」
レンは横から出た根に反応できず、それに捕まってしまった。
トレントロードは捕まえたレンを押し潰そうと締め付ける力を強めた。
「ぐっ……うぅ… 」
(イルス…!魔法を…!)
「レンくん今助けるよー!」
イルスとホムラがレンの所に駆けつけたようだ。イルスはトレントロードに狙いを定めると、溜めていた魔力を一気に放出して呪文を唱え始めた。
「▲▲▶︎…『灼光槍』〜!」
イルスが呪文を唱え終わると赤色の『閃光槍』のようなものが現れ、それはトレントロードに真っ直ぐと放たれた。
トレントロードは地面から根を出し、壁を作ってそれを防ごうとしたが、イルスの放った魔法はその壁を突き抜けて、トレントロードの体に吸い込まれていった。
そしてその直後、トレントロードの内部で『灼光槍』が爆発してトレントロードの体を中から燃やし始めた。
そのトレントロードはレン達に背中を向けて逃げ出そうとしている。だいぶ弱ってきているのだ。
「逃がさないよー、▲▶︎『風』〜!」
イルスの起こした『風』によって火の手が強まり、トレントロードの体はボロボロになっていった。
「ホムラくん!とどめを刺してー!」
『…バウ?』
「もー!どうしてわからないのー!?お願いだってばー!」
ホムラは肝心な場面にも関わらず、イルスの指示がわかっていないようだ。
(ホムラがとどめを刺すんだ!)
『…バウッ!』
ホムラはレンの指示を聞くと、トレントロードに向かって走り出した。
トレントロードはそれを根で抑えようとしているが、ホムラは根を軽々と避けてトレントロードへと近づいていった。
『……「バウンヮン」!!』
ホムラは体から炎を放出しながらトレントロードの目前まで移動し、そのままトレントロードに向かって突進した。
『灼光槍』によって既に弱っていたトレントロードはそれに耐えられるはずもなく、体を崩しながら地面に倒れた。
「再生は…しなさそうだねー。」
「そうみたいだな。よくやったぞ、ホムラ」
『バウッ!』
「よし、それじゃあカマキリの方に行くか。」
レン達はカマキリの方に行って手助けをしようと思って移動した。
しかしそこで見たのは…
人知を超えたカマキリと蛇との戦いだった
人知…?虫知。




