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イセカイノアリ  作者: 月美うどぅん
第三章 迷いの森
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第52話 イルスvs魔竜

イルスの態度が少し変だったが、その後は何事もなく森を進んでいる。魔物もしばらく出てきていないので体力を温存できている。


それにカマキリによると、段々と魔族の魔力が濃く見えるようになってきたらしい。それだけ魔族に近づいてきているということだろう。



そしてある時…



「むっ、向こうから多数の魔力を感じるでござる…。」

「…どれくらいだ?」

「1、2……10以上は見えるでござる。」


「多いな…魔物か?」

「恐らくな、では某が行って…」


その時、イルスが話を遮ってある提案をして来た。


「私が先に様子を見てくるよー。」

「一匹で大丈夫でござるか?」


「そうだねー…じゃあ蛇くんと一緒に行こうかなー?いいー?」


『いいよ、いっしょにいこう。』


「何かあったらすぐに戻ってくるんだぞ。」

「わかってるよー。」



そうしてイルスと蛇はその方向に向かっていった。







ーーーーーー






※イルス視点





レンくんたちは何でも無い風だけど…やっぱり変だよねー。



だから、思いつきで蛇と二人きりになったけどこれからどうしようかなー?

ストレートに聞いても答えてもらえるとは思えないからねー。


まずは普通に話をしようかな…



「こっちから魔力が…」


『…ぼくのまほうがきいていないみたいだね。』


え、まさか蛇の方からその話題を出してくるなんて…



「やっぱりレンくん達に何かしたんだねー。」


『せいかくには、ぼくにまほうがかかっているんだけどね。』




魔法…レンくん達がああいう感じってことは…



「…認識阻害ー?」


『そうだよ。それで、どうしてきみにはきかないのかな。ぼくのまほうにあらがえたしゅぞくは、これまでいなかったのに…。』




種族が関係しているのなら、私は天使だから大丈夫ってことかな?でもLv90を超えているカマキリくんにも効くなんて、やっぱり竜族は強いね…。




『…かんがえていてもしかたないか。とりあえずきみにはきえてもらうね。』



蛇が話し終えるとその後ろから魔物がたくさん現れた。リトルベアにウィンドバード、それに…



「トレントロードかー……」


『このもりにこんなまものがいたなんてね。ずっとすんでたけどきづかなかったよ。』


「上級の魔物だねー…これは流石に厳しいかもー…。」


『かまきりたちはこないから、きみいっぴきだけど…このかずとにはかてないよね。』



たしかに魔物が1匹ならまだしも、数が多いので私1匹じゃ敵わないだろう。


でも…



「はぁ、仕方ないかー。」


『それじゃあがんばってね。』



いざとなれば()()()もあることだし…。







ーーーーーー








そうしてイルスと魔物達との戦闘が始まった。イルスは魔力を溜めて魔法の準備をしている。


そこにウィンドバードが飛んでいく。

風魔法によって速度が増した突進である。



「▼▶︎『光壁』〜!」



それを光壁で防いだのも束の間、リトルベアが近づいてきて、腕を振り上げていた。



「隙だらけだよー…▲▲▶︎『閃光槍』〜!」



放った槍は腕を貫きリトルベアを怯ませただけで、大したダメージはないようだ。



「光壁を使ったから魔力が少なかったかー…っと危なーい!」



ウィンドバードがまた突進して来たので、イルスは横に跳んで避けた。



「次は…下っ!」



イルスが上に跳ぶと、さっきまでイルスがいた場所を木の根っこが貫いていた。

これはトレントロードの魔法である。



その後もイルスはなんとかして強めの魔法を使おうとするが、寸前のところで邪魔されてしまう。


やはり数が多いだけでもそれは驚異となるのだ。それに個々の能力も高いので、イルスの勝ち目は限りなく薄い。



『にげてるだけじゃかてないよ。しかもまものはまだまだいるからね。』


「そうだねー…。」



蛇の言うことはもっともである。

カマキリやレンが来ないことを考えると、耐えるだけではこの状況は打開できない。





『ピィ!』


そんなイルスにウィンドバードが風を起こしてきた。


イルスは避けることができずに吹き飛ばされてしまった。そしてその先には…


『ガァァア!!』


リトルベアが腕を構えてイルスを捕まえようとしていた。


「▲▶︎『ウィンド』〜!」


イルスは風魔法で上へ逃げる。そしてそのまま空を飛行していった。



「ここなら…邪魔されずに…!」



イルスは木の上まで飛んでいき、魔法を準備し始めた。それもこれまでよりも強力な魔法をだ。



「閃光槍…それだと一体しか…なら…!


イルスは閃光槍を発生させるが、それでは魔物の群れに対処できないと思った。

なので、別の魔法を使うことにした。





「いくよー、▲▲▲▶︎…『閃光槍雨』〜!!!」






イルスは閃光槍を言葉通り雨のように降らせた。

ウィンドバードは初めは避けていたようだが、一度当たってしまってからは次々と当たっていき、遂には墜落した。


リトルベアも何本も閃光槍を受けて、身体中が傷だらけだ。

他にいた魔物も大半が大きなダメージを受けていた。しかし…



「トレントロードは無傷かー…どうしようかな〜。」


上級の魔物であるトレントロードは閃光槍の雨を受けても無傷だった。



『なかなかやるね。じゃあついかのまものだよ。』


姿を現したのは、イルスがこれまであまり見見たことのない魔物だった。



「アースドッグに…トレント…ファイアベアもいるんだー…。」


『おまけにもういったいあげるね。』



後ろから大きな蛇が出て来た。

…イルスがレン達と一緒に戦った蛇よりも遥かに大きく威圧感がある。



「これは…」


『ぼくのけんぞくだよ。きみたちがいうところの、ちゅうきゅうぐらいにはなるかな。』


「そっかー…さすがにもう無理かなー…」



『あきらめるの?』


「…それで別に間違ってはないねー。」


『そうなんだそれじゃあおわかれかな。』








「Lv10、『技能スキル・俊足』、『特殊能力アビリティ・鑑定』の3つを捧げる。」


『え…?』


「制限時間10分…変身を完全に解除。」



イルスは淡々と言葉を唱え始めた。蛇はそれを不思議そうに見ていた。



するとイルスの体が輝きだして、現在のアリの姿から…





天使の姿になった。





『…どういうこと?まさかひとぞくだったの?いや、でもまりょくはむしぞくの…。』


「天使だよー。」


『てん…し…?』



「…この姿になるのは久しぶりだねー。でも、時間があるからさっさと終わらせるかー。」


イルスは地面に降り立つと、魔物達の方を向いて魔力を集め始めた。



「よし、『光球…」



イルスは光球をアースドッグに向かって投げた。光球はアースドッグの足にくっついた。



「爆発』〜!」



そしてそのまま光球が爆発し、アースドッグの足に絶大なダメージを与えた。その痛みによって、アースドッグは動けなくなったようだ。



『なんだそのちから!』


「んー?まだまだこんなものじゃないよー。」



ファイアベアがイルスに襲いかかった。

イルスに腕が振り下ろされたが、イルスはそれを受け止めて、そのままファイアベアを投げ飛ばした。



『で、でもまものはまだまだいる。』


「それは少しめんどくさいねー。」


『せいげんじかんがあるなら、それまでたえればいいだけのはなしだよ!』



「確かにそうだねー…。」




「じゃあ、その魔物達を解放してあげようかー。」


『かいほう…まさか!』



「『癒光』だと洗脳は治せないけどー、天使の光なら全ての状態異常を直せるんだよー。」





「いくよー、『天光』〜」




イルスが魔法を発動させると、周辺に眩しい光が降り注いだ。その光が魔物達にかかると、その体の中に吸い込まれていった。



「この光は闇魔法と調和して、効果を弱めることができるんだよー。」


『…うう、きぶんがわるい…。』


「だから、君の認識阻害の魔法も弱まっていると思うよー。」



『ああっ、まものたちが!』



イルスの『天光』によって、魔物にかけられていた魔族の洗脳が解けた。それによって魔物達はそれぞれで争い始めてしまった。


そして1匹、また1匹と魔物が倒れていき、結局最後に残ったのは一体の魔物だけだった。



「やっぱりトレントロードが残るかー。」


『…せっかくあつめたのに…。』



蛇は悲しそうにしている。だが、ふと顔を上げるとものすごい形相でイルスを睨みつけた。


『もうゆるさない!』




『げきりん、かいほう。』



蛇は逆鱗を解放した。


レン達が戦った蛇は鱗が赤く変色した。それを操っていた魔竜は体が縮んで強力になった。


それに対してこの蛇は…



「これは…おっきいねー。」



蛇は木の高さを優に超える大きさまで巨大化した。外からでも頭が見えるくらいだ。



『おぉぉぉぉおおお!』



「しかもなんか体が見づらいしー…阻害されてるのかなー。」



その巨体にも関わらず、認識阻害がかかっているのか姿が見えづらく動きが読めなくなっていた。



「このままトレントロードとあれを倒したいけど……そろそろ時間かー…。」



イルスは天使の姿から、アリの姿になってしまった。制限時間が過ぎたのだ。



「これはレンくん達の所まで逃げた方がいいねー。」







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