第51話 特に異変は起きず…
リトルベアを倒したのでカマキリの方に向かうことにした。
ちなみにホムラはリトルベアを食べている。毛皮が厚いのか噛み切るのに苦労している。炎も使っているようだが耐性があるのかあまり効果が薄いようだ。
「ホムラ、先に行ってるぞ。」
『バウッ!』
「じゃあ私が手伝ってあげるねー。」
そう言うとイルスはリトルベアの肉を噛み始めた。
イルスの助けもあってかホムラは少しずつ噛み切れてきているようなので、すぐに食べ終わるだろう。
カマキリの所に行くとカマキリは少し休んでいるようだった。
「おおっ、レン殿でござるか。今そちらに行こうと思っていた所でござる。」
「そうだったのか。…ところで倒した魔物の姿が見えないんだが…」
「…そうでござるな、そのことを伝えておかねば…。」
「どうしたんだ?」
「実は先程の魔物が、あの魔竜と同じような再生能力を持っていたのでござるよ。そのため再生しなくなるまで細かく必要があってな…その辺にある毛などはその名残でござる。」
「確かにファイアバードの羽らしきものは落ちているな。それにしても再生能力?…もしかして魔竜がなにかしたのか?」
「恐らくは…」
魔物に再生能力か…もしかしてさっきのリトルベアも持っているのだろうか。今、ホムラがリトルベアの肉を食べているが、もし今リトルベアが復活したら危険だ。
「…イルスたちの所に行こう。」
「魔物は倒したのではないでござるか?」
「倒したリトルベアをホムラが食べているんだ。」
「なんと!それは早く行かねば!」
するとカマキリは、ものすごい速さでホムラとイルスの方へと走っていった。
…カマキリが行ったので、リトルベアが復活していても大丈夫だろう。だがそれでも心配ではあるので、できるだけ急いでいくことにしよう。
ーーーーーー
自分がついた頃にはすでについていたカマキリとイルスが話していた。
「あれー、カマキリくん、そんなに焦ってどうしたのー?」
「…魔物はどこでござるか?」
「リトルベアのことー?それならホムラが全部食べたよー。」
「復活したりは…」
「しなかったよー。」
「そうでござるか…」
カマキリは安心して落ち着いたようだ。
「あっレンくんだー。どうしたのー?」
「ああ、実は…」
イルスに、カマキリが戦った魔物があの蛇のように再生能力を持っていたこと、リトルベアも再生能力を持っているかもしれなかったので、急いで様子を見に来たことを伝えた。
「そうだったんだー。」
「これは魔竜の仕業なのか…?」
「きっとその魔竜の『血』を飲んだんだよー。」
「血…」
「うん、レンくんも前世で聞いたことがあるでしょー?ほら、龍の血を飲んだら不老不死になるっていう話ー。」
「確かに聞いたことがあるが…それなら全ての魔竜が持っている能力ってことか?」
「他者に血を飲ませて再生能力を授けられるのは、多分この迷いの森にいる種だけだよー。」
「じゃあ他の魔竜は出来ないということか。」
「そうなるねー。」
「それよりも…これではっきりしたよー。」
「この森にいるのは…『七大魔竜』の中でも死と再生を司るといわれる『ウロボロス』だねー。」
「ウロボロス…?」
「…それってどのくらいの強さなんだ?」
「私達は瞬殺されるねー。カマキリだと…五分五分ってところかなー?」
「そんなに強いのか…」
「何でござるか?」
呼ばれたと思ったのか、カマキリはこっちに近づいてきた。
「ああ、この森にいるのが『ウロボロス』っていう魔竜らしいっていう話をしてたんだ。それでカマキリと強さを比べていて…」
「…ウロボロス……?ウロボロス……どこかで…。」
「どうしたのー?」
「ウロボロス…」
カマキリの様子が少しおかしい。ぼんやりウロボロスという単語を繰り返し呟いている。
「…何か思い出せそうな…。」
「ほんとにー?」
「…はぁ、無理でござる。その名を聞いたことがある気はするのでござるが…」
「そっかー…無理はしなくていいからねー。ゆっくり思い出していこっかー。」
「うむ…」
「それじゃあ先に進もうかー。」
そういってイルスはまた森の奥に向かって歩き始めた。
それにしても、ウロボロスか…。もしかしてカマキリが記憶を失ったことに何か関係しているのだろうか…?
まぁ今はそんなことを考えている暇はない。先に行ったイルスに追いつかなければ…
ーーーーーー
そうして前のように森の中を進んでいた。
時々カマキリが『心眼』であの鳥魔族の魔力を探しているが、かすかにしか感じられないようだ。だが、さっきまでは全く感じられないようだったので、進展はしているはずだ。
「カマキリくんどうー?」
「この方向が魔力が一番強いでござるが…微々たるものでござる。」
「そっかー…。」
「流石にここまで来て見つからないのなら…もうこの森にいないんじゃないか?」
「でもさっきの魔物はー?あの魔族が操っていたんだと思うけどー…。」
「それもそうか。」
確かに違う魔物同士が、自然に群れを作るとは考え難い。それなら魔族が操っているという可能性のほうが高いだろう。
「だから、魔力を隠しているんじゃないかなーって思っているんだけどねー。」
「魔力を隠す?」
「うん、そうだよー。」
「…では、それで某の『心眼』で魔力が見えないということでござるか。」
「たぶんねー。…まぁ、間違っている可能性もあるけどねー。」
『それであってるよ。』
「それならいいんだけどねー。」
『うん、だってぼくがしたからね。』
「そうなんだー…って、えー?」
『どうしたの?』
「いやー何でもないけどー…」
イルスが蛇と話しているようだ。話している相手は蛇の姿をしているが……特に違和感は感じない。ホムラも特に警戒している様子はない。
それなのにイルスは彼の存在に疑問を感じているようだ。別に不自然なことは何一つない。
「イルス、どうしたんだ?」
「えー……いやー…。」
「そうでござるよ。早く魔族を見つけるため、先に進むでござる。」
『バウッ!』
「……やっぱりおかしいー!こんな蛇、さっきまでいなかったよー!?」
「ちょっ、そんな事言うなんて…本当にどうかしたのか?」
「もしや洗脳の類かもしれぬな…。」
『それならたいへんだね。はやくなおさなきゃ。』
「ああ、『癒光』で治せるか…?」
「ひとまずやってみるでござる。」
「わかった▼▶、『癒光』。」
イルスに『癒光』をかける。怪我は治せるが洗脳も治療できるのだろうか…?
「あー…うん。もう大丈夫だよー。」
「元に戻ったか…良かった…」
『よかったね。それじゃあさきにすすもうか。』
「そうだねー…」
そうしてこれまでと同じく、自分とイルス、ホムラ、カマキリそして蛇の計5匹で先に進むことになった。




