第48話 魔物の群れ②
迷いの森に入ってしばらく経った。
景色は相変わらず木や草ばっかりで、薄暗く足元が見づらい。魔物に見つけられやすくなる『光』は使ってはいけないため、気をつけるしかない。
「カマキリくんどうー?」
「…近くにはいないようでござるな。」
「そっかー。」
イルスとカマキリもこの調子だ。
今のやりとりをもう5回は聞いた。
かといって、何も無いわけではなく時々魔物が襲ってくるのだが…
「リトルバードだよー!気をつけ…」
「▲▶︎『飛刃』。」
「あー…」
カマキリがすぐに倒してしまうため、こちらの出番がない。まあ、無駄に体力を減らすことが無いと思えばありがたいが……。
「また魔物ー…わっ、リトルベアだよー!」
リトルベア……前にナオと一緒に来た時、魔族の操るそれによって、全滅間近まで追い込まれた魔物だ。
「ふむ……ハッ!」
カマキリが近づいて鎌を振り下ろす。
リトルベアは一瞬で目の前に現れたカマキリに驚いていたが、即座に反応してその鎌を避けようとしていた。
だが、それでも避け切れず右腕が切断されていた。
「外したでござるか、次は確実に…。」
『バウバウッ!』
「なにー?あ…魔物の群れだー!リトルバードの群れと、1羽だけウィンドバードがいるよー!」
カマキリは今リトルベアと戦っている。
こっちの鳥の群れは、イルス、ホムラと一緒に対処しなければならない。
「ホムラ、背中に乗せてくれ!」
『バウッ』
ホムラの背中に乗ると、そのままホムラが鳥の群れに向かって空に跳びあがった。
そしてホムラの背中から跳んで、鳥の群れの中心まで移動した。
「よし…▲▶︎『酸散』!!」
新しい魔法を発動した。これは、周りに『酸』をばら撒くというものだ。
リトルバードのうち、翼に命中したものは地面に墜落していく。また体や尾に受けたものも墜落まではいかないが、バランスを崩している。
普通に『酸』を使うより威力は落ちるが、広範囲に攻撃することができる。
しかし、ウィンドバードには酸が一滴も届かなかったようだ。よく見てみると体の表面が、風で守られていた。
『ピィ!』
ウィンドバードが翼で風を起こしてきた。
今、体は空中にあるので避けられないし、『光壁』を使おうとしても間に合わないだろう。
そして風の直撃を受けて地面に叩きつけられてしまった。
(レンくん、大丈夫ー!?)
(ああ、何とかな…)
『ピィ…ピィィィ!』
ウィンドバードの合図でリトルバードが突進して来た。風魔法を受けているのかスピードがとても速い。
『ピィ』『ピィ』『ピィ』『ピィ』
「させないよー、▼▶︎『光壁』〜!」
『バウッ、バウッ!』
イルスが『光壁』でリトルバードの突進を防ごうとしたが、リトルバードはそれを貫通してしまった。
だが、それでも勢いは少し小さくなったので、それをホムラが撃退しているという形だ。
爪で引っ掻いたり、翼に噛み付いたりなどして、それを受けたリトルバードは辺りに倒れて動かなくなっている。
『バウッ』
バリ…ボリ…
…ホムラが最後に撃墜したリトルバードを食べているようだ。魔物を食べえ成長するとはいえ、戦闘中にすることか…?
そう思ったのも束の間だった。
痺れを切らしたウィンドバードが突進して来たのだ。
それを横に跳んで躱わしたが、すぐに方向転換してこちらに向かって来た。
『バウゥワバウ!』
ホムラはその突進を、口に炎を纏わせて迎え撃つ準備をとしている。
それを確実に当てれるようサポートしなければ…。
(ホムラ!一瞬でいいから目を瞑ってくれ!)
そう言うとホムラは指示通りに目を閉じたようだ。
「▼▶︎…『光』!」
ちなみに森の中なので少し威力を落としている。それでもウィンドバードの目を眩ませるには十分だ。
『バウッッ!』
光の影響か、ウィンドバードは飛ぶスピードが落ちた。ホムラはそれを見逃さず、しっかりと噛みつきを命中させた。
ホムラが口に纏った炎は翼に移って燃え始めた。やがて、右の羽毛が燃え尽きたぐらいで炎は消えたようだ。
『ピィ…』『ピィ…』『ピィ…』
あと数匹のリトルバードが残っていたようだが、ウィンドバードが倒れたのを見て逃げて行ったようだ。
「…これで終わりかなー?」
「こちらも丁度終わった所でござる。」
カマキリがこちらに近づいて来た。後ろには両腕が切断されたリトルベアが倒れている。
「リトルベアとリトルバードとかは、一緒に行動はしないはずだからー、きっと魔族が操っていたやつだと思うよー。」
「なるほど…だが、近くにはいないようでござる。」
「そっかー…それじゃあもっと奥に行こうかー。」
「そうでござるな。」
そう言ってイルスとカマキリは先に進もうとしていた。
「ホムラ、行くぞ。」
『ガブッ…ビリ…ビリ…バリッ』
…ホムラは倒したウィンドバードを食べていた。リトルバードよりも皮が硬いのか、肉を食べる事に苦労しているようだ。
「…焼いたらいいんじゃないのか?」
『…!バウッ』
どうやら思いついていなかったようだ。
ホムラはすぐにウィンドバードを焼いて、骨も残さず平らげた。
「それじゃあ行くか。」
『バウッ!』
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『…いったみたいだね。』
『ソウダナ…デモホントウニヨカッタノカ?セッカクアツメタマモノヲココデツカッテ……。』
『だいじょうぶだよ。あのこたちには、ぼくの「ち」をのませておいたから、たおれているのはすこしたてばかいふくするよ。』
『ソレナライイガ…』
『でもこれでだいたいのつよさはわかったかな。』
『ほかのはそんなにつよくなさそうだし、かまきりだけいしきしてればいいね。じゃあもっとあつめようか。』
『アア、ワカッタ。』




