第45話 突然の出会い
魔竜が操っていた蛇はとても強かったが、みんなで何とか勝つことができた。
そしてミツバチの国内に戻ろうかと思っていたのだが…。
「…レンくんーまた来たよー!」
「キリがないな…▲▶︎『酸』。」
「こちらもお願いします。」
『バウッ』
蛇は倒し、体の大部分もイルスの『灼光』によって燃えたのだが、残っていた肉片がひとりでに動き出して、イルスに襲いかかって来た。
それも撃退(ファイアドッグが食べると言う形で)した。しかし、残っていた肉片はまだまだいるようで……。
今は蛇の肉片を処理している。
イルスはもう魔力が残っていないそうなので、ファイアドッグが食べるか、消費魔力の少ない『酸術』で溶かすと言う形で行っている。
門番の『針術』ではより細かくなってしまうので、今回はファイアドッグへの指示をしてもらっている。
「▲▶︎『酸』…これで終わりだな。」
「そうだねー。はぁ…疲れたー。」
「流石にこれから森の中に入るのは危険か?」
「うん、もう夜になるしー魔力も無くなったからねー。」
「それならミツバチの国に帰りましょうか…最近いいハチミツがとれたそうなので、ご馳走しますよ。」
「じゃあ今日はゆっくり休んで、明日森に行こうかー。」
「そうだな。」
その時、迷いの森の方から轟音が聞こえた。
「うん?…何だ?」
「すごい大きい音だったねー。門番くんは何の音かわかるー?」
「いえ…初めて聞く音です。」
門番も聞いたことのない音であるらしい。
まさか別の魔物が中で暴れているのだろうか。
そう思いながらしばらく警戒していたが…
「……何も出てこないねー。さっきの音は魔物の仕業じゃないのかなー?」
「そうかも知れませんね…私がそれを聞いたことが無いだけで、他の誰かは知っている可能性もありますからね。」
「そっかー…それならもう帰るー?」
「そうだな。」
「某も行っていいでござるか?」
「ああ、いいぞ…うん?」
聞いたことのない声が背後から聞こえた。
おそるおそる振り返ってみると…
そこには『カマキリ』がいた。
「は…?さっきまではいなかったはず…。」
「いやぁ、かたじけない。同族を久方ぶりに見かけたものでな…つい急いで来てしまったのでござるよ。」
「…もしかして、さっき大きい音って出したりしたー?」
「某が木を斬った時の音でござるかな?」
「そっかー…。」
「ねぇ、『鑑定』してもいいー?」
「『鑑定』…でござるか?それは如何なる物で…?」
「あれ、もしかしてされた事ないのー?」
「いや……それもわからぬ。実は記憶がほとんど無くてな……忘れているだけかも知れないでござる。」
「そうなんだー。記憶がねー……。」
記憶が無いのか…。自分も記憶喪失なので、出会ったばかりだがこのカマキリに親近感が湧いて来た。
「『鑑定』はねー、持っている能力とか、名前、種族が見れるんだよー。」
「ほう……であれば、某の持つ力がどのような物かわかるのか…それは興味深いでござるな!是非頼みたい!」
「わかったよー、▼▶︎『鑑定』〜。」
Lv92 ⬛︎⬛︎
種族 虫族
・技能
韋駄天 無尽蔵 怪力 技巧 秀才
・特殊能力
心眼 残心 双鎌術 擬態 聖魔法
・称号(加護)
【虫神の加護】【⬛︎⬛︎の加護】【⬛︎⬛︎】
「なんか…すごいねー…。」
イルスはLv92という高い数値、持つ技能に驚きを隠せない様子だ。
「一部分が塗りつぶされているがこれは何なんだ?」
「たぶん記憶がないのと関係があると思うよー。でも、Lv92って…何をしたらここまでなるのー…?」
「カマキリさんは森の中で何をしてたのー?」
「…話すと少し長くなるでござるよ。」
カマキリ曰く、記憶に残っている中で最も古いものは、迷いの森の中で目覚めた記憶だという。
起きてすぐに魔物が襲って来て戦闘になった。どんな能力を持っているのかは知らなかったが、体が動きを覚えていたようで楽々撃退出来た。
その魔物を倒した後、少し時間が経つとまた魔物がやってきた。それから一定間隔で魔物が襲ってくるようになり、今まで過ごして来たという。
その期間…なんと1年以上。倒した魔物の数は数百にも及ぶそうだ。
「魔物かー…どんな魔物を倒したのー?」
「長い体で…あれは鱗?というものでござるかな?それが体中にびっしりと張り巡らされた物怪でござる。」
「…魔竜の眷属かなー。それを倒して来たのならLvも高くなるかー…。」
「ついさっきもその物怪と戦っていたのでござる。木を切ったのはその時でござるな。」
「そうなんだー…」
「うむ、これまでとは違って言葉を発する者でな…情報を得られるかと思ったが結局何も聞き出せなかったでござるが…。」
「言葉を発する…?ってまさか!」
「…きっとそうだねー。」
「む?何でござるか?」
カマキリが不思議そうにこちらを見てくる。
「何でもないよー。」
「そうでござるか。」
カマキリと色々な事を話していた時…門番が声をあげてこう言った。
「とりあえず!皆さん疲れたでしょう、国に帰って休みましょう!」
「ああ、うん。そうだねー、すっかり忘れてたよー。」
「某も世話になっていいでござるか?」
「はい、もちろんです。見た限り悪い方ではなさそうですし…。」
「ありがたい。では、遠慮なくお邪魔させてもらうでござる。」
そうしてようやくミツバチ族の国へ帰ることとなった。




