幕間②
レン達が巣から追放されて数日。セキ達はハクなどの指導のもと、訓練に勤しんでいた。
訓練の甲斐あってか、すでに全員がLv20を超えている。特にケンとセキはLv26にまで到達している。
彼らの兄弟も徐々にではあるが、ギコとボウのおかげで順調に成長していっている。
彼らへの教育を通して、ギコは自信を持ち始め、ボウは自制心を身につけた。
そうして日々を過ごしていた…。
そんなある日、セキはハクに呼び出されていた。
セキはハクの部屋の前まで来ると、中に向かって声をかけた。
「ハク先生、入ってもヨロしいでしょうカ?」
「あ、セキちゃん来たんだねぇ。入っていいよぉ。」
「はい…お久しブリです、ハク先生。」
セキが部屋に入るとハクが奥にいた。そしてその近くにもう1匹、見たことのないアリが
セキの方を向いていた。
「アノ…先生、こちラの方は…?」
「初めまして、だな。我はレッカという者だ、よろしく頼む。」
セキが恐る恐るハクに質問すると、その本人からの返答があった。
「レッカくんはあの妾さんに仕えているんだよぉ。」
「妾サン…?ああ、前に話してイタ女王のことですカ。」
「そうだよぉ。」
「ソノ女王の部下がなぜココに?」
「まずは謝罪を。君の仲間であるレンの追放を止められなかったこと、申し訳なく思っている。」
「そレハもう過ぎたコトですから…大丈夫でスよ。」
「そう言ってくれると助かる。」
セキはレッカの謝罪に対して、優しく返答した。レッカはそれを聞いて心なしか安心したようだ。
…もしこの場にいるのがボウであったら、きっと暴れていただろう。最近は大人しくなったと言っても、まだまだ気性は荒い。
その点、セキは落ち着いている。ハクがセキだけに本当のことを話すという判断は正しかったと言えるだろう。
そしてレッカはその後にこう続けた。
「…お詫びというわけではないが、我はレンにある助言をしてな…。」
「助言デすカ?」
「そうだ。我は彼に、アブラムシ族かチョウ族の国へ行けば良い、と言ったのだ。」
「だからレンくんが素直にその助言を聞いていたらぁ、どっちかの国にいるはずだよぉ。」
「なるホド…でも何故ソレをワタシに?」
「近いうちにチョウ族の国に行く予定があってねぇ。セキちゃんも一緒に来たらどうかなぁって思ったんだぁ。」
「ワタシが…?イイのですか?」
「もちろんだよぉ。レッカくんも話を聞いたら賛成してくれたからねぇ。」
「ソウですか…デハご一緒させてイタダきます。」
そうして一行はチョウ族の国に行くことにした。
ーーーーーーー
翌日…ハクとセキはチョウ族の国に訪れていた。
当初はレッカも来る予定だった。
だが、丁度この日に女王が外出をしたいと言ってその護衛に付くため、来る事が出来なかった。
「いやぁ…レッカくんのことは残念だけど、妾さんの命令なら仕方がないねぇ…。」
「…レッカさんは何故ソノ女王に従っているのデショうか…?」
「…言われてみればどうしてだろぉねぇ?…あっ、逆らったら追放されちゃうからじゃない?」
「確かに、ソウかも知れまセンね…」
「まぁそれは帰ってから聞いてみるといいよぉ。今はチョウ族の国を探索しようかぁ。」
「ハイ、ソレもそうでスね。」
ハクとセキは最初にリンの所へ向かった。
リンはチョウ族の中でもそれなりの地位にいるので、情報を持っているとハクは考えたためだ。
チョウ族の国は巨大な花が咲き乱れている。別名を『花の楽園』と言うが、それも伊達ではないほどだ。
その中でもリンが普段いるのは、国の中央に位置する一際大きな花。大きさは他の花の倍以上ある。
リンはその頂上にいるので会うためには登らなければならない。だが、それはチョウ族の以外の話である。
ハクは近くにいたチョウ族に、リンを呼んできてもらうよう頼んだ。チョウ族であれば頂上まで行くのもそこまで苦労しないからだ。
そうしてリンを呼んでもらい、ハクは凛と話し始めた。
「ハク、こんにちは。今日はどうしましたか?」
「えっとぉ…まず、レンくんって分かるぅ?」
「レン…?すみません、その方は知らないですね…。」
「あれ、知らないのぉ?前にあってなかったっけぇ?」
「…先生、ワタシ達がチョウ族と会ったノハ、名前がつく前でスヨ。」
「そうだったかぁ…ごめんねぇリン。それじゃあねぇ…」
「森で落ちちゃったアリって分かるぅ?」
「…はい、彼はレンと言うのですね。彼がどうかしましたか?」
「実はレンくんが色々あって巣を追い出されちゃってぇ…それでリンの所に来てないかなぁって思ったんだぁ。」
「そういうことでしたか…。」
「…どう?レンくんが来たか分かるぅ?」
「……すみません、私の記憶にはありません…。」
「そっかぁ…ありがとぉ。」
「ですが、行方を知る者が国内にいる可能性はあるので、少し聞き込みをして来ますね。」
「わかったよぉ。…セキちゃん、僕たちもついて行こうかぁ。」
「ハイ、分かりマシた。」
ーーーーーー
そうして一行は国にいるチョウ族に、レンの情報を持っているかどうかを聞くことにした。
しばらく聞いて回ったがめぼしい情報は得られずに、早1時間が経とうとしていた。
「はぁ、疲れたねぇ…。セキちゃん何か分かったぁ?」
「いエ…何も…。」
「私も特に…唯一の情報は、スズメバチ族がミツバチ族を攻めているというものですが…今は関係ありませんね。」
「その話も気になるけどぉ…でも、これだけ探して無いなら、アブラムシ族の村にいるのかなぁ?」
「おとといにアブラムシ族に会いに行キマしたが、ソンナ気配はありませんデシたよ。」
「そうだよねぇ…。じゃあどこか別の国にいるのかなぁ…、それならどうしようもないねぇ…。」
何もレンの情報が無かったことに落ち込むハク。数日間の付き合いとはいえ、教え子の安否すら分からないことが不安なのだろう。
「…今日はこれで帰るけど、何か分かったら教えてくれるぅ?よろしくねぇ。」
「もちろんです。ではまた。」
「またねぇ。」
ハクはリンに別れを告げ、アリの巣に帰ることにした。
結果としては、レンはチョウ族の国にはおらず、情報も何一つ無いという事になった。
セキやハク、そして巣の仲間達がレンと合流する日は来るのだろうか…。




