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イセカイノアリ  作者: 月美うどぅん
第三章 迷いの森
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第39話 蛇


蛇の鱗が赤く光ってからは、攻撃の苛烈さが増した。


これまでは突進を余裕を持って避ける事ができていたが、それもスピードが上がったことにより難しくなった。


まだ当たってはいないがギリギリである。



それに酸を吐く間隔が短くなっていて、何度も『光壁』を使わなければならなかった。


全体的に動きが単調になってはいるが、それでもスピードが速すぎるので脅威である。




『シャァア…!シャァァァア!』




蛇がまた酸を吐いた。…それも二連続だ。


一発目はなんとか避けたが、二発目には当たりそうになったので『光壁』を使った。



…魔力が少なくなってきた感じがする。このまま光壁を使い続けると魔力が切れてしまうだろう。




『シャァ…シャッ!』


少し考え事をしていると、そこに蛇が突進してきた。避けようとしたが反応が遅れてしまい、ギリギリの回避となってしまった。


横を通って行っただけなのに、起きた風で体のバランスが崩れてしまうほどの速さだ。


蛇は勢い余って後ろにあった木にぶつかったのか、フラフラしていて今は攻撃してきていない。



これはチャンスか?







『…グルルル……』



その時、ファイアドッグが気を取り戻した。


行動不能の蛇に攻撃しようと思ったが、今はファイアドッグの様子を確認した方がいい。




(大丈夫か?)


『バウゥ…』



ファイアドッグは起き上がろうとしたが、足が痛いみたいで動きづらいようだ。



(それなら少し離れて休んでいてくれ。)



『……バウッ!』



ファイアドッグは指示を聞いたように見えた。だが、離れようとせずにその場に立ちあがろうとしていた。



(無理しなくて大丈夫だ!)



『ウゥゥ……ヮゥヮェ、「ワオォォン」!!!』



ファイアドッグはいきなり上を向いて大きく吠えた。これは…遠吠えというものだろうか。


すると、自分の体に変化が起きた。



(体が…軽い…?これは?)



『ヮゥヮェ』


(…何を言っているのかは分からないが…補助してくれたってことか?)


『バウッ!』


(ありがとう…それじゃあ。)


『バウッ。』



ファイアドッグの補助によって、体が動かしやすくなった。


これなら激しくなった蛇の攻撃も……!





蛇はこちらが話終わるまでふらついていたようだ。戦闘を再開しようと思って蛇に近づいた。



『シャァァア』



「よし、もう一度だ…来い!」



『シャァァァア!』



蛇の攻撃は一段と激しくなっていたが、補助のおかげで躱わすのが楽になった。



『シャッ!シャァァ!シャァァァア!!』


「よっ!ほっ!はあっ!」



連続した攻撃にも対応できるようになったため、攻撃を躱わすことに余裕が出てきた。



この隙に攻撃するべきなのだろうが、先ほどのファイアドッグの噛みつきがあまり効いていないように見えた。

自分はそれを超える威力の技を出せないのでダメージは与えられないだろう。


補助も永続ではないはずなので、このままだと効果が切れて攻撃に当たってしまうだろう。



『シャァ!シャ!』



蛇が吐いてきた酸を避ける。避けた酸は地面につくと泡を出しながら地面を溶かしていった。


もう一発の方は避け切れなかったので光壁で防いだ。



そしてその光景を見てある事に気づいた。


「これは…一か八かやってみるか。」












ある作戦を立てた自分は蛇から逃げていた。だが、蛇が追ってくるような気配はない。


なぜかというと…



「おぉ…本当に成功した…」




『光壁』を足場にして、上空へと逃げていたからだ。


酸が光壁にぶつかった光景を見て、もしかしたら光壁に乗れるかもしれないと試してみた。

その試みは見事に成功し、上空へと光壁を伝って移動ができた。



『シャァァァァァ……!』



蛇は酸を吐いてきたが、こちらに届くことは無く地面へと落ちていった。


しかしすぐに諦めたのか、近くにいるファイアドッグの方に向いた。



まずい、上に行きすぎたか。

そろそろ下に行かなければファイアドッグが危ない、


そう思った自分は光壁から…




飛び降りた。






ある作戦とは、上空に行き蛇の死角から攻撃をするというものだ。


元々はここまで上に来るつもりはなかったが、蛇の吐く酸が思っていたよりも勢いが強かったので上に行き過ぎてしまった。



蛇はファイアドッグの方を向いていて、こちらには意識を向けていないようだ。



これなら……イルスから教わった光魔法の応用で…!



「▲▶︎、『光球……」



体の前に光の玉を出して.そのまま蛇の背中に近づく。



そして蛇にぷつかる寸前光球に魔力を込めてこう念じた。



「……爆発』!!」



光球は蛇の背中で爆ぜて、衝撃をもろに受けた蛇は苦しそうにもがいている。


しかし光球の爆発を起こした自分も少し吹き飛ばされてしまった。本来はこんなに近距離で出す技ではないからだ。



蛇は苦しみながらも来た方向…迷いの森の方へと逃げ始めた。



進む速さはそれなりに速く、爆発でダメージを受けた自分では追いつけない。


それにファイアドッグも足を怪我しているので、走れないだろう。



逃げられてしまう…と思ったが、ファイアドッグがここで動きを見せた。



『グルル…「ワゥバウ」、バウッ!』



また何か呪文のように言ったあとに吠えると、蛇の動きが変化した。


逃げようとしていたのと打って変わって、ファイアドッグに向かって来ていた。



まさか引き寄せたのか?そんなこともできるのか…って見ている場合じゃない。蛇はファイアドッグに向かって真っ直ぐ進んできているので、そこを迎え撃てばいいだろう。


そこに行こうとしたが、その時ファイアドッグがこちらを見て、一瞬微笑んだように見えた。




『バウッ、「バウゥワバウ」!!』




ファイアドッグの口元に炎が出てきた。前に出会ったファイアドッグが使っていた技みたいだ。



蛇はファイアドッグにそのまま突進を仕掛けてきた。


ファイアドッグは避けようとせずにその場に留まっている。まさかそのまま受けるつもりだろうか。


そうこう考えている間にも両者は近づき、激突は間近に迫っていた。




『シャァァァア!!!』



蛇はファイアドッグに向かって来た勢いで、そのまま飛びかかった。



『ガルルゥ…バウッ!!』



ファイアドッグは姿勢を低くしてそれを避けていた。そして炎を纏った牙で蛇の体に下から噛み付いた。


『シャァァ……』



蛇は弱々しく鳴くと地面に倒れ込んで動かなくなった。


「…やったか?」


『バウッ!?』


「動かないな…よし、倒せているみたいだ。」


『ウゥ…』



何かファイアドッグが慌てているように感じたが、きっと気のせいだろう。


それよりもこの後はどうするか…。蛇が来た方向にも行きたいが、イルスの通信がまだ終わっていないので、少し待つ必要がある。



門番に教えてもらった西の方にある林に行くにしても、体力を消耗しているので危険かもしれない。


まあ、とりあえず国に戻って……




[Lv20に到達。特殊能力アビリティ・『酸術』を習得。]





…え?

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