第38話 レベル上げ開始…?
イルスと一旦別れた自分は外に出た。
外に出てからある計画を決めた。
誰かにミツバチ族の訓練について聞き、それにしたがって行動するというものだ。
まずは声をかけるところからだ。知り合いの方が声をかけやすいだろう。
知り合いというとウララや門番がいるが…ウララは案内をしたっきりどこかへ行ってしまい、今はどこにいるか分からない。
なら、門の前にいるであろう、門番に話を聞けば良いだろう。
それじゃあ門番の所に行くか…
門の近くまで来たが、なにやら門番とファイアドッグが一緒に何かしているようだ…。
「……ここで……そうです!……いいですね……。」
遠くから見ると、門番の指示でファイアドッグが動いているように見える。
待ってもらっている間に、そこまで仲良くなったのか…。
様子を見ていると、次々と新しい事を始めようとしていた。
このままでは見入ってしまう気がしたので、早めに声をかける事にした。
「少し良いか?」
「はいっ!仕事はしっかりして…ってレンさんでしたか。」
「ああ。」
「もしかして見てましたか…?」
「バッチリと。」
「あの…他には内緒にして下さいね。一緒にいると愛着が湧いてきてしまって……。」
「もちろんだ…それで、少し聞きたい事があるんだが…」
「何ですか?」
「ミツバチ族の訓練は、どのような事をしているんだ?その…魔族にリベンジするために鍛えたいんだ。」
「訓練ですか…。よくしているのは模擬戦ですが、たまに魔物との実戦訓練も行っていますね。」
「魔物か…。」
「はい、大体はリトルバードやリトルドッグなどの弱い魔物ですが、稀にウィンドバードなど、少し強い魔物が出る事があります。」
「よく行く場所は西にある小さな林です。そこでは強くて倒せない魔物は出ないので、比較的安全に訓練をする事ができますよ。」
「そうなのか、ありがとう。それじゃあ早速林の方へ……」
『グルルルル……』
「うん?どうしたんだ?」
ファイアドッグがどこかを見つめて低く唸り声を出している。何かを警戒しているかのようだ。
「これは…北を見ていますね…。」
「北…迷いの森の方角だな。」
「そうですね。何かあるんでしょうか…?」
まさか魔族が追いかけてきたのか?でもこちらが逃げた方向は分からないはずだが……
『バウ…アウ、バウッ!!』
ファイアドッグの口元に炎が集まり始めた。完全に戦闘体制に入っている。
「あれは…紐?ですかね…。」
遠くに紐のような物が飛んでいるのが見えた。
ファイアドッグはあの紐が気になるのかと思ったが、それは全くの間違いだったと次の瞬間に気づかされた。
「近づいてきますね……って、えっ!?」
飛んでいたのは紐なんかでは無かった。
空中を猛スピードで飛んできたのは…
"蛇"だった。
ーーーー少し前ーーーー
迷いの森の奥…魔族とウロボロスの配下が話をしていた。
『これは、私が作り出した眷属です。ウロボロス様が作り出したのよりは弱いですが、並の虫族は相手にならないと思いますよ。』
「コレナラヤツラモ…ククク。」
『ところで方角はわかりますか?それが分からないとどうしようもありませんよ。』
「コッソリト『リトルバード』デ、ツイセキシテイタ。ミナミダ、ミナミノホウガクダ。」
『分かりました。では飛ばしますね……風よ、大いなる風よ、その力を解き放ちたまえ…「**」!』
「オオ…スゴイカゼダ…。コレデヤツラニトドクノカ?」
『一応視覚は共有しているので、様子を確認しながら行きますね…。』
ーーーー現在ーーーー
『バウッ!』
ファイアドッグが飛んできた緑色の蛇の体に噛み付いた。
『シャァァァア…』
蛇は苦しんでいる様子なので、どうやら効いているようだ。
というか何だこの蛇は…よし、鑑定してみよう。
「▼▶︎、『鑑定』!」
Lv4 名前 なし
種族 竜族
・特殊能力
不滅
・称号(加護)
【魔竜の加護】
竜族…?この世界では蛇などの爬虫類は、竜族に分類されるのか…?
それに、【魔竜の加護】や『不滅』も気になる。
『シャァア!!』
『キャン!』
蛇の振り回した尻尾が、体に噛み付いていたファイアドッグに直撃して、弾き飛ばされてしまった。
「大丈夫か!すぐに助ける!」
「見た事がない魔物ですね…。私は応援を呼んでくるので、少しの間持ちこたえていて下さい!」
「分かった!」
助けると言ったは良いが、これはどうするか…
とりあえず蛇の気を引こう。
「こっちだ!」
素早く蛇に近づいて体当たりをするが、蛇には全然効いていないようだ。
『シャ……?』
効いていなくても、ファイアドッグから気を逸らすことはできた。しばらくは攻撃を避け続けて、ファイアドッグの回復を待つか…。
体当たりをした後は蛇の遠くへと離れた。
蛇はすぐにこちらに向かって、大きく口を開きながら跳んできた。
「ほっ…!」
横に跳んでそれを避ける。蛇のスピードはそこまで速くないので、思ったよりは大丈夫そうだ。
だが油断は禁物だ。
蛇の攻撃のパターンはこれだけではないだろう。先ほどのように尻尾を使ったり、他の部位を使ったものもあるはずだ。
どんな攻撃にも対応できるよう、集中しなければ…!
その時、蛇が動いた。こちらを一瞬見たと思ったが、遠くに離れていった。
十分に距離が空いた後、蛇は空へと顔を向けた。
…何をするつもりなのだろうか。
その問いの答えはすぐに出た。
蛇が顔をこちらの方へと戻した。しかし近づいてくるような気配はなく、自分を見つめてきている。
…次の瞬間だった。
蛇が閉じていた口を開けて、"何か"を吐き出してきた。
それは黄緑色のドロドロした液体に見えた。
当たるとまずそうなので、横に素早く避けた。
避けたその液体は、落ちた地面を煙を出しながら溶かしていた。とても強力な酸のようだ。
蛇は連続して酸を吐き出してきた。
こちらも連続で横に避けていく。
「ふっ…ほっ…やっ…。」
避けた酸によって地面がどんどん溶かされていく。そして気がついたら逃げ場がなくなってしまっていた。
『シャァァア!!』
そうして蛇はさっきよりも色の濃い酸を吐き出してきた。
「逃げ場がないなら…!▼▶︎、『光壁』!」
光で壁を作って、酸を防いだ。
『シャァ…』
蛇は落ち込んでいるかのような態度を見せた。魔物でも感情はあるのだろうか?
『シャァァァァァァァア!!!』
蛇は落ち込んでいる態度から一転、大きく叫ぶと
鱗が赤い光を放ち始めた。
蛇の威圧感が増した…どうやらここからが本番のようだ……。




