第37話 ミツバチ族の国withファイアドッグ
色々とあったが、なんとかミツバチ族の国に着いた。
途中からナオが目覚めて森に戻ろうとして大変だったが、説得し落ち着かせて連れて来た。
「やっと着いたねー!」
「ああ…やっと…」
「zzz…」
「まだ寝てるしー…」
ナオは少し暴れたがすぐに疲れたのか眠ってしまった。半日ほど気絶していたのだ。その間何も口にしていないため、体力は回復していないのだろう。
「それじゃあ早速中に…」
『バウ!』
「ってこのままじゃまずいねー。どうしようかなー?」
森の奥で見つけた洞窟の中にいた、ファイアドッグという魔物。しかし調べていくうちに、前世の…地球らしき場所の記憶があることが判明した。
ここまで連れてきたが流石に国の中には入れないだろう。
「えっとーここで待っててねー?わかったー?」
『バウ?』
「通じてるのかなー?…まあいっかー。」
「適当だな…」
「まあいいじゃんー。きっと大丈夫だよー。」
少し不安だがファイアドッグもそれなりに頭は良さそうなので、指示を聞くことはできるだろう。
門の前に来た俺たちはそこにいた門番に声をかけられた。
「何者で…あなた方でしたか。どうしました?」
「ナオが怪我をしたから、一旦帰ってきたんだが…」
「それは大変ですね、早くお入りください!」
「ありがとう。」
どうやら門番がこちらの事を知っていたようで、スムーズに国に入ることができそうだ。
「あれは……気をつけて下さい、魔物がいます!」
魔物?まさか…
「ファイアドッグです!こちらに向かってきています!」
やっぱり…
(全然伝わってなかっただろ!)
(そっかー)
(そっかー、じゃない!)
(うーん、どうしようかなー?)
(何とか説明してみるねー。)
「待ってー、あのファイアドッグは大丈夫だよー。」
「どういうことですか?」
「森の中で出会ったんだけどねー。見つかっても襲ってこなかったしー、何なら懐いちゃったんだー。」
「まさかそのような事が……信じられません…」
「その証拠に一回呼んでみるねー。ねぇーこっち来てもいいよー!」
……動かない。
こちらの様子を伺っているようだ。
「あれー、おかしいなー……もう一回!…ねぇー?来てー!……えー?」
「さっきの話は本当なんですか?今のところ信じられませんが……」
「うう…それじゃあレンくんよろしくー。」
イルスは自分に任せてきた。とりあえず念話でいいか…?
(こっちに来ていいぞ。)
『……!』
ファイアドッグはその念話反応して、走ってきた。イルスの時はこちら。見てはいたが動き出す気配はなかったのに…
「こっちに来るねー。…もしかしてー…私の指示は聞かないのかなー?」
「そうか…?」
「そうだよー!きっとそうー。」
「ひぇっ……ほ、本当に襲ってきませんね…。」
門番は近づいてきたファイアドッグを怖がっているようだ。
「何か芸もやって見せたらー?」
「分かった……『伏せ』」
『バウッ』
「私もやるー…『おすわりー』」
『…?』
ファイアドッグは反応しない。先ほどは偶然かとも思ったが、イルスの指示は聞かないようだ。
「これは凄いですね…『ふせ』や『おすわり』の意味は分かりませんが……。」
確かに虫族には動物を飼うという概念はないだろう。そのため犬の芸を知らないのは当然だ。
「とにかく害は無いみたいですね…ですが流石に国の中には入れないので、ここで待機という形になりますが大丈夫ですか?」
「うん、それで良いよー。」
「了解しました。」
そうして国に入った。ファイアドッグは門番と共に国の入り口に待機してもらっている。
「まずはナオを休める場所に運ぶか。」
「そうだねー。」
「皆さんどうされましたか?迷いの森の調査は終わったのですか?」
国の中に入ると、近くにいたウララが話しかけてきた。
「ナオが怪我をしてしまって…それで帰って来てどこか休ませる場所を探していたんだ。」
「そうでしたか…でしたら私の家を使って良いですよ。」
「いいのか?」
「はい、もちろんです。」
「そうか…ありがとう。」
「いえいえ、礼には及びません。それよりもこの後はどうされるのですか?」
確かにそのことは考えていなかった。
このまま再戦しても同じようにやられてしまうだろう。何か対策をしてからでないといけない。
そういえばイルスが考えている事があると言っていたような…
「とりあえずナオちゃんを運ぶねー。」
「わかりました。それではこちらに…」
そうしてウララに案内され、ナオをウララの家の中に置いた後、部屋の中でイルスと話をする事にした。
(イルス、話が…)
(…たしかに念話の方がいいかもねー。)
(ああ、ナオが寝ているとはいえ、いつ起きるかはわからないからな。)
イルスは念話を使った理由をすぐに察したようだ。前にそれで痛い目を見ているからな……。
(それで、魔族への対抗策だったよねー……すこし長くなるよー。)
(まずー私たちが魔族たちに負けた理由は、『魔力切れ』だと思うよー。)
(魔力切れ?)
(うん。レンくんって『共鳴』を使いながら『光魔法』を出すことに慣れてない感じがあってねー。それで魔力が無駄になっちゃってるんだー。…たぶん。)
(多分って…それじゃあ使い方を練習すればいいのか?)
(それがそう簡単な話じゃないんだー。)
(きっとそれを習得する頃には、魔力を使い切ってると思うんだー。それだとすぐに魔族を追いかけられなくなるからだめだねー。)
(そうか…)
(だからレンくんには、魔力を使わない能力を身につけてもらうよー。)
(そんなものがあるのか…。)
(ほら、レンくんも知ってると思うけど、『針術』とかだよー。スズメバチ族の隊長が使ってたねー。)
(あれが魔力を使わない能力か…)
(正確には、「ほとんど」だけどねー。それでも魔法よりは全然すくないんだよー。)
(それって身につけようと思って身につけられるのか…?)
(普通は無理だねー。でも、レンくんはそろそろLv20だから…)
(Lv20…そうか。)
(うん、迷いの森の中でも話した通り、この世界ではLv10ごとに能力を習得しやすいんだー。)
(だからレベルを上げてもらってー…ってあとはわかるよねー?)
(ああ、分かった。)
(それじゃあ私は天界と連絡するために少し寝るねー。ファイアドッグのことを聞かなきゃ…。)
(確かにそれも大事だな…)
(あと、ファイアドッグの名前も時間があったら考えておいてねー。いつまでも「ファイアドッグ」だと可哀想だからねー。)
(そうだな。それじゃあ…)
(あとは…)
(いや、長い!もう行くからな。)
(あー…うん、わかったよー。また後でねー。)
そうしてイルスは眠りについた。




