第36話 七大魔竜
「クソッ…アトスコシダッタノニ、サッキノハナンナンダ!」
魔族が1羽で悪態をつく。
「シカシヤツラハココカラサッタ。コノスキニトオクニニゲルカ…。」
そう言って飛び立とうとした時だった。
後ろから何者かに声をかけられた。
『…少し良いですか?』
「…!ナンダ……!」
『まあ落ち着いてください。別にあなたの敵ではありませんから。』
「ナニヲイッテ….…ッ!!」
後ろを振り返ると魔族は驚きのあまり絶句してしまった。
なぜならそこには巨大な「蛇」がいたからだ。
『どうも。』
「ド、ドウモ……ッテ、ダレダオマエハ!」
『私はこの森の奥深くにいる、「ウロボロス」様の配下です。』
「ウロボロス…マサカ、『シチダイマリュウ』ノ……?」
『そうですね、確かにそうやって『七大魔竜』と呼ばれていることもあります。』
「ソノウロボロスノハイカガ、ナゼコンナトコロニ?」
『少々長くなりますが良いですか?』
「アア、カマワナイ。」
『それでは……大体3年ほど前でしょうか、その頃はウロボロス様と私達は虫族大陸を回っていたんですが、この森が気に入ったのでしばらく滞在することにしました。』
『そしてウロボロス様や他の配下と共に暮らしていたのですが……つい1年くらい前に『化け物』が現れました。』
「バケモノ?」
『はい、その『化け物』に他の配下…7匹いましたが、その内の4匹が殺されました…。』
『『化け物』はとてつもなく強かった…鉄よりも硬い私達の鱗を難なく断ち、逃げようとしても必ず追いつかれてしまいました……』
『最早これまでかと思いましたが、ウロボロス様は諦めていなかったようでした。なんとウロボロス様は、その『化け物』に魔法をかけて、記憶を失わせる事に成功したのです…!』
「キオクヲ…ソレハスゴイナ…。」
『そうなんです、でもその魔法には少し欠点がありまして…』
「タシカニソンナツヨイマホウ、ケッテンハアッテトウゼンカ…。」
『対象が自分の姿を見ると、記憶が戻ってしまうんです……』
「…ソウナノカ…トクシュダナ。」
『幸運にもこの森の中には鏡となるような水たまりはありません。ですのでこの森から出さないよう、ウロボロス様が生み出した眷属によって、森の奥の方へと誘導しているのです。』
「ソンナコトハシナクテモ、イマノウチニニゲタラドウナンダ?キオクハナインダロウ?」
『いえ…恐らく完全に逃げ切ることはできません。記憶を忘れても能力は使えるようで……奴はこちらの存在を離れていても認識できるようなので、たとえ逃げたとしても、記憶が戻ってから私達は殺されてしまうでしょう……。』
「ソレハドウシヨウモナイナ…。」
『そこであなたにお願いがあります。私達に協力してくれませんか?』
「キョウリョク?オレニメリットガアルトオモエナイガ…。」
『そういえば先ほど、あなたが操っていたリトルベアが私達の魔物に連れて行かれましたね…あれって実はあなたを狙っていたんですよ?』
「ナッ……!」
『それはそうと、協力してくれますか?どうします…?』
「……キョウリョクスル。」
『そうですか、それは良かったです…これからよろしくお願いしますね?』
「……アア、ヨロシク。」
魔族は半ば脅しともいえるような誘いに乗り、ウロボロスの配下と行動する事にした。
あの時リトルベアを襲ったのは配下が「化け物」と戦わせていた眷属だったという。
魔族の放った魔法に引き寄せられたのだった。
「トコロデソノ『バケモノ』トヤラハドノヨウナスガタヲシテイルンダ?」
『実は姿をはっきりと見たことは無くてですね…分かっているのは体色が緑で…大きさは私たちよりも小さく…あなたよりは大きいですよ。』
「…ホカニトクチョウハ?」
『そうですね…他、ですか…他と言われましても…。あっ、思い出しました。』
『鎌です、鎌!両腕が巨大な鎌でした。ですが私達は虫族には詳しく無くて……何という種族なのかは分からず……』
「カマ…?ソレナラ………」
「そいやぁ!ふぅ……まさかまっすぐ逃げるとは…。これまでのはこちらの様子を伺いながら、ゆっくりと逃げていたのでござるが……」
「…んん?…何か咥えているでござるな?これは……クマ?…なるほど、腹が減っていたのでござろうか。腹が減っては戦はできぬとも言うしな!はっはっは!!」
「さあ、次は………」




