第33話 鳥の魔族
ファイアドッグの考えを読み取っていると様々なことが伝わってきた。
その中に少し気になることがあり、その情報をまとめてみると、地球の記憶があるという考えに至ったのだ。
(えー?まさかそんなわけないよー、だって転生神さまが、『今後はしばらく転生させる事は控えるとしよう。…君も休んでくれて構わない。』って言ったからこっちに来てるんだよー?)
(でも、『大きな鉄の塊が走っていた…』とか、『光る板を触っていた…』って聞いたら信じざるをえないんじゃないか?)
(それは確かにー…でもさー……)
(前はこの世界から連絡していただろ?今したらいいんじゃ…)
(あれって天使の姿じゃなきゃ駄目なんだよー。ナオちゃんがいる前でそれはできないかなー…。)
(それなら仕方ないか…。)
(でも後でナオちゃんと別れてから聞いてみるねー。)
(ああ、頼んだ。)
「戦う気が無いのは分かりました…。それなら、その鳥を捕まえてすぐに帰りませんか?」
「そうだったな…」
ファイアドッグの地球だと思われる場所の記憶が衝撃的過ぎて、本来の目的を忘れてしまう所だった。
「それじゃあ鳥を……って居ないぞ?」
「ハァ…ヒドイメニアッタ…。」
どうやらファイアドッグに対応している間に、起きてしまっていたようだ。
鳥は洞窟の天井近くを飛んでいて、そこから話しかけてきている。
「オマエラハ…『アリ』と『スズメバチ』カ。ナンデミツカッタンダ…?クニカラハ、トオクハナレテイルハズダガ…」
「あなたがスズメバチ族を操ってミツバチ族を攻めさせたのですか!」
「…アア、ソウダ。スズメバチノナカニ、メイレイヲキカナイ『ヤツラ』ガイタセイデ、シッパイシタガナ…。」
命令を聞かない奴等?スズメバチ族の中にもそんなのがいたのか…。
ナオのことだろうか。
「スズメバチナノニ、イマイマシイ『ヒカリマホウ』ヲツカウトハ……ドウヤラココニ、『ヤツラ』ハキテイナイヨウダナ。」
うん?ヒカリマホウ……?
光魔法か?光魔法ってことは……スズメバチに変身していた自分とイルスじゃないのか?
(…どうやらそれが俺達だった、ってことには気づいていないみたいだ。)
(油断してるねー。)
(そうですね。魔法を使われる前に倒してしまいましょう。)
「ヤツラガイナイナラツゴウガイイ。オレノマホウデ、アヤツッテヤロウ。カクゴシロ…!!」
「▲▶︎〜、『光球』〜」「▲▶︎、『光球』!」
放った『光球』は飛んでいる鳥に直撃して、鳥を地面へと撃ち落とした。
「ナ…ナンダト…!マサカオマエラガ『ヤツラ』ナノカ…!!」
「そうだ。変身してスズメバチ族の国にいたんだ。」
「ソレハ…キヅクワケ……ナ……ウッ……」
気を失ったようだ。
「なんか…思っていたよりも呆気なかったですね…。」
「まあ、魔族は光魔法に弱いからねー。」
「それじゃあ連れて行くか…っとその前に、あのファイアドッグはどうする?」
「うーん……連れて行くー?」
「でも他の子に見つかったらどうなるか……。」
「それもそうだな…。」
話に夢中になってしまい、鳥が早くも意識を取り戻している事に誰も気が付かなかった。
「ググ……コレハツカイタクナカッタガシカタナイカ…。ワガイシニコタエ、テキイヲイダケ『****』!!!」
そして、何かをしていたのだが気づくことはなかった。
「よし、それじゃあ担いで運んでいくか。ファイアドッグには一応ついてきてもらって、国の近くで待機してもらおう。」
「そうだねー。」
「洞窟の外に出ましょうか。」
そうして洞窟から鳥を担ぎながら外へと向かった。しかし、外が見えてきた頃だった。
『ピイィィィ!!』『グルルルル……!!』
『ピイイィィ!!』『ピィ!!!』『グルァァ!』『グオォォォォ』『ギャァァァァオォォ』『ピイィ!!』
『ピィィィィィ!』
洞窟の前に大量の魔物が待ち構えているのが見えた。ウィンドバードを初めとする鳥系の魔物や、熊のような姿の魔物、動いている木…ートレントとでも言うのだろうかーなどがいた。
「これは……」
「ドウヤラウマクイッタミタイダナ…。コレデオマエタチハオワリダ、ヤレ!」
魔族の合図と共に、魔物達が突っ込んできた。
「っまずい!▼▶︎『光壁』!!」
突進をしてきた小さい鳥を光壁で防ぐ。
「んー……強めで行くよー。▼▶︎『光』〜」
イルスが光で魔物達を怯ませた事で、光壁に攻撃する魔物が減って持ち堪えやすくなった。
だが、木の魔物は光が効かないのか、そのまま向かってきた。
「させませんよ!とりゃあ!えい!」
ナオが木の魔物に向けて体当たりをした。そして次には木の足…根に向かって針を刺した。
「毒を入れました!しばらくしたら動かなくなるはずです!」
「ないす〜ナオちゃんやるねー。」
「ありがとうごさいます!…って危ない!」
「え?」
イルスの後ろで、熊が腕を上げていた。そのまま
振り下ろすつもりなのだろう。
「▼▶︎『光へ』…駄目だ。魔力が足りないっ!くっ!」
『グオォォ!!』
熊が振り下ろした腕は、イルスの腹にクリーンヒットした。
「ううー……。」
「イルス!大丈夫か!」
(ちょっとまずいかもー……)
(癒光は使えないのか!?)
(魔力が少ないから使えないよー……)
(くっ…そうか…)
「ハハハ!スコシハタエテイタヨウダガ、コノカズニハカテナイダロウ!」
魔族が高らかに笑う。
魔族が操っているのなら、魔族を無力化すれば少しは落ち着くはずだが…
魔力は尽きて、共鳴も切れてしまった。
どうしたら…………
ー迷いの森・奥地ー
『シュ……シャア?』
「某との戦いにて、余所見をするとは余裕でござるな。…セェェイ!」
『…シャアアアア!!!!』
「これでも反応を……やはり隙はござらぬか…。」
『シャ!』
「むっ、何処へ行くのか。某に背を向けるとは…今までには居なかった『たいぷ』でござるな。」
「しかし、そこまでの要因とは何であろうか…追いかけて確かめるしか無いでござるか…。」




