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イセカイノアリ  作者: 月美うどぅん
第一章 蟻の巣生活
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第2話 初めての食事

…お腹が空いた。




周りには自分と一緒に生まれた蟻達(以下、兄弟と呼ぶ)がいる。 



兄弟達は生まれてからずっと寝ているように見える。

なぜなら、目が開いているのかどうかは分からないが、全く体に動きがないからだ。



皆はお腹が空いていないのだろうか?そろそろ空腹を感じてもいい頃だと思うが…。



それに先ほどまでこの部屋で会話をしていた2匹の蟻は、別の蟻に連れられて部屋の外に行ってしまった。今何をしているのだろうか…。





「ーー」



うん?外から誰かの声が聞こえたような…気のせいかな。




「ーーーーーー」


「ーーー」




いや、気のせいじゃない!誰かの声が聞こえる。しかもだんだん近づいてきているようだ。



「確か、この部屋だったな。」


「はい、そうです。」



部屋の入り口に注意を向ける。そこにはさっきまでこの部屋で話をしていた、2匹の蟻が大きな袋を背中に担いで持ってきていた。



「起きろ、飯の時間だ!」


キターーーーーー!やっとご飯にありつける!



その声に反応した兄弟達は、目を覚ましていく。目を覚ました蟻から、次々と袋の中身が目の前に置かれていく。順番通りに自分の前にも置かれていった。



それは透明な球体だった。薄い膜のようなものの中に、液体が入っているようだ。これは何なんだろう。



兄弟達を見てみると、本能に従うかのように与えられた球体に齧り付いている。とてもおいしそうだ。



よし、食べてみよう。


ガブッ


まずは顎で膜を破る。そうすると中から透明な液体が溢れてくる。出てきた液を口に入れて味わう。


ゴクゴク…



甘くて美味しい!砂糖か?それともこれは何かの蜜なのだろうか?



そこに運んできた蟻の会話が聞こえてくる。



「やはりいつ食べても『蜜玉』はいい物だな。」



「ええ、そうですね。このような物を出してくれる、『彼ら』には感謝してもしきれませんね。」



彼らもこれを食べながら会話をしていた。



どうやらこれは、『蜜玉』という名前で、『彼ら』という存在が蜜玉を生み出しているらしい。



前世で、【蟻はアブラムシが出す甘い汁を好んで食べる】という話を聞いたことがある。おそらく『彼ら』というのはアブラムシか、それに近い何かなのだろう。



そう考えているうちに、蜜玉を1個食べ切った。空腹感は既になく、1個でほとんど腹が満たされていた。



定期的にこれを運んできてくれるのだろうか。


それならば、飢餓て死ぬことはなさそうだ。






 







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