第25話 女王バチ
女王の側近が使った魔法によって出来た通路を進んでいる。
時々スズメバチ族を見かけるが、魔法によって身体が麻痺していて動かせないようだった。
やがて1つの部屋にたどり着いた。
中に入ると1匹のスズメバチ族が寝ているのが見えた。おそらくあれが女王だろう。
そのスズメバチ族に近づくと、起き上がって反応して来た。
「…何者…です…か…?」
「女王の側近に言われてここに来たんだ。お前は女王で合っているのか?」
「はい…私が女王です……。そうですか…あの子が………うっ………ふぅぅ……」
「大丈夫か?側近からは病気だと聞いたが…」
「それも…聞いた…のですか…。……この病気は………どんどん症状が…酷く…なっています……。近いうちに……私の命は……」
「俺たちは光魔法が使える。その病気を治せるかも知れないから、身体を診せてくれないか?」
「そう…でしたか……!光魔法が…使える方達だったとは……はい…お願い…します……」
診るとは言ったが、実際に診るのはイルスだ。
「イルス、頼んだ。」
「うんー…それじゃあちょっと身体さわるねー」
イルスは女王の身体に触れて、病気を確かめているようだ。
10分ほど経った頃だろうか。
イルスによる診察が終わったようだ。
「どんな病気かわかったよー。でもー…これはー……」
「何かまずいものなのか?」
「えっとねー…この病気の原因は……『闇魔法』、なんだよねー………」
「闇…魔法…?それは…あの…『魔族』が使うと…されて…いる…魔法…ですよね…?」
「そうなんだけどー……病気になる前に変なことってあったー?」
「変な…こと……?いえ……そんなに…うっ…あぁ……はぁぁ……なかったと…思いますが…」
「先に治療しちゃった方がいいかもねー。」
「……ありがとう…ございます…」
「それじゃあいくよー、▼▶︎『癒光』ー!」
柔らかな光が女王蜂を包む。するとその光に触れた部分から、黒いもやのような物が出てきた。
地面を蠢いていて少し気持ち悪いと感じた。
「レンー、出て来た闇に『光』を当ててー」
「あ、ああ。▼▶︎『光』」
どうやら出てきたもやは闇であるらしい。
イルスに言われた通り光を当てると、闇は跡形もなく消え去った。
「女王さまー調子はどうー?」
「はい、だいぶ楽になりました…さっきまで苦しかったことがまるで嘘のようです…。」
「それで…変だったこと…でしたか?」
「うん、そうだよー。最近変わったことってなかった?」
「そうですね……少し思い出すための時間をください……」
「わかったよー」
気になったことをイルスに念話で聞いてみる。
(この質問にはどういう意味があるんだ?)
(闇魔法をかける方法って色々あってねー。話から犯人が分かるかもしれないんだー。)
(そうなのか…。)
イルスと話していると女王が何か思い出した様子で口を開いた。
「最近会ったことといえば…大臣が変わったことくらいですね…。」
「そうなのー?」
「はい。前の大臣は体調を崩しまして…山の麓の方で療養中なのですよ。」
「ところでその新しい大臣はどこにいるのー?いたら会って見たいんだけどー。」
「わかりました、今確かめますね……女王権限発動、▼▶︎『探査』………巣の中にはいないようですね。」
「これは…怪しいかもねー。他に大臣が変わってから変なことってあったー?」
「大臣が変わってから………あっ…側近から聞いた話ですが、最近、兵達が攻撃的になっていると聞きました。何か関係はあるんでしょうか?」
「なるほどねー…ちょっと会議たいむー」
(きっと黒幕はその大臣で間違いないと思うけどー…レンはどう思うー?)
(大臣が闇魔法を使ったということか……ん?でも確か、闇魔法は魔族が使う魔法だったよな?)
(うん、だからー私達みたいにー魔族がスズメバチ族に『変身』して忍び込んでたんだと思うよー)
(じゃあ女王の病気は魔族の仕業だったということか…)
(そうだねー。女王さまにも話しとくねー)
念話で話すのをやめると、イルスは女王に話しかけた。
「多分、女王様が病気になったのは多分大臣が……」
「ようやく見つけたぞ…!…っ!侵入者め女王様から離れるのだ!▲▶︎『飛針』!」
「うわっ、なになにー?」
「隊長だ…もう動けるようになっていたのか…!」
隊長が部屋に飛び込んできて、攻撃をしてきた。
「女王様、今お助けします!▲▶︎…」
「控えなさい。彼らを攻撃するのは許しません。」
「女王様…?女王様がそのようなことをおっしゃる筈はない!まさか…操られているのか…!くっ今すぐ女王様を解放し…」
「女王権限発動、▼▶︎『気絶』」
「ろ……」
女王が魔法を使うと、隊長は床に落ちて気絶してしまった。
「彼は冷静な性格だったはずなのですが…やはり側近の言う通り攻撃的になっていますね…」
「うーん…やっぱりねー」
「どうしたんだ?」
「近くで見ると闇魔法がかかってたんだー。多分闇魔法が精神に影響を与えていたみたいだねー。」
「そんな…もしや他の兵もそうなのでしょうか…!どうすれば……」
「大丈夫だよー。闇魔法を使っていた大臣はーもうこの巣にはいないみたいだからー、時間が経ったら元に戻ると思うよー。」
「大臣が闇魔法を…そうなのですか?」
「あれ、言ってなかったっけー?」
(いや言おうととした時に隊長が入って来たんだよ。ちょうど女王は聞こえてなかったと思うが…)
(そっかー)
「うん、多分魔族がスズメバチ族に化けて潜り込んでたんだと思うよー。」
「そうだったのですか……」
「何はともあれ、これで私達スズメバチ族が救われたことには変わりありません。ありがとうございます…」
「どういたしましてー。」
「……ところで、後日ミツバチ族の国に行って事情を説明しようと思うのですが…あなた方も一緒に来ていただけませんか?。」
(どうするー?ミツバチ族の国に行くのー?)
(一度関わったことは最後まで見届けるべきだと思う。だからついて行こう。)
「…どうしますか?」
「ああ、一緒に行かせてもらうよ。」
「分かりました。………今日はお疲れになられたでしょう。私達の巣にお泊まりになってください。」
「うん、ありがとー。」




