第1話 周りの確認
※ここからは主人公視点で物語が進みます。
さて、そんなことで蟻に転生してしまったわけだが、今の状況を確認しよう。
まず、記憶は曖昧で、覚えていることと忘れてしまったことがある。例えば自分の名前はわからない。だが、知識として頭に入っていることは覚えている。
つまり、前世の自分のことや、関係のあった人などのことに関する情報だけが頭の中から抜け落ちてしまったようだ。
次に周りの確認だ。
蟻などの昆虫は複眼であり、周りをはっきりと見ることができないと教わったことがある。
だが、そのこととは関係なく今自分の目には周りがクリアに見えている。早速、目で得た情報を整理しよう。
今いる場所は洞窟のようだ。この蟻の能力なのか、暗いところでも昼間のように明るく見えている。
そして周りには沢山の蟻がうじゃうじゃといる。大体100匹ぐらいだろうか。
また、辺りには白いものがある。あれはきっと卵の殻だ。自分たちはその卵から孵ったということだろう。
その100匹とは離れたところに自分たちよりも一回り大きい蟻がいる。大人の蟻だろうか。2匹で何かを話しているようだ。
距離があるため内容はわからなかったが、断片的な意味は聞き取れたため言語は理解できるようだ。
一から蟻の言葉を覚えることにならなくてよかった…。
周りを確認してみたけど、これからどうしようかな…?
何もできることはないし、あまり動かないでいよう…。