第16話 それぞれの訓練
先生の部屋から出て、自分の部屋へと行った。
そこで転生神の使いと話をした。
(ところで…さっき突然現れたのは何だったんだ?)
「それは『転移魔法』だよー。前世で聞いたことはあるんじゃないかなー?」
(転移魔法…!ちなみに…俺も使えたりするのか?)
「うーん、君はどちらかというと物理よりだからねー。ちょっと厳しいと思うよー。」
(そうか……)
(あと…転移してくる時にその姿だと不味いんじゃないか?場合によっては事件になることもあると思うんだが…)
「確かにそういうこともあるかもねー。」
(何か解決策を考えておいてくれないか?)
「分かったよー近いうちに案を出すねー……明日ぐらいにはー」
(いや早いな)
「あーちょっと上司に呼ばれちゃったから、今日は帰るねー。また明日ー」
(ああ、また明日。)
「じゃあねー」
そうして来た時と同じように転移で去って行った。
思いがけず時間が余ってしまった…
これから何をしようかな……
思いついたのは他の訓練を見に行くことだった。
訓練の場所は聞いているので、どこに行けばいいのかは分かる。
ここは…運動場か。
ケンとセキが訓練をしている場所だ。
少し覗いてみるか…
「ほら、食え、食うんだ!」
(ハ、ハイ…)
(…………)
そこでは教官のイッキが、セキに蜜玉を食べさせていた。見るとイッキの後ろには数十個の蜜玉が並べられている。
ケンはセキが蜜玉を食べているのを黙って見ている。
「このくらいでいいか。それでは始めよう!かかってこい!」
(……行くぞ…)
(…ハイ…!)
ケンはイッキの懐に潜り込み、前のようにイッキの体を押さえ込んだ。
セキを見てみると何か力を溜めているように見えた。するとセキはイッキに向かって体当たりをした。
「ぐっ…なかなか強いな!それで食べたのは…30個か!」
「ケンは前よりも力が強くなっているな!振り解くのは容易ではないぞ!」
(……どうも…)
(ところで30個でドノくらいの強さになってマシタか?)
「うむ…この力なら初級の魔物は難なく倒せるだろう!だが、中級ぐらいになってくると、だいぶ苦戦するかもしれんな!」
(………魔物……?)
「なんだ、まだ知らなかったのか!ハクが教えたものだと思っていたが……」
「魔物とはこちらを見つけると襲ってくる生き物のことだ。魔物には鳥、獣、魚などの種類がいる。」
「そして強さを表すために階級で分けている。下から、初級、中級、上級、超級などと分けられているのだ。」
(ウィンドバードはどの階級デスカ?)
「ウィンドバードか……基本は初級だが、稀に中級が生まれることがあるそうだ。」
「あと、中級のウィンドバードは魔法を放ってくるぞ!風を起こしてくる。」
なるほど、それならあの時のウィンドバードは中級だったのか……
「そんなことは置いといて、訓練を再開しよう!」
(……了解…)
(ハイ、わかりマシタ。)
ここを見るのは、このくらいでいいかな。
次は…ギコとボウのところか。
場所は確か……自分たちが生まれたところだったかな。
そこにはまだ、多数の兄弟達がいるはずだ。
部屋を覗くと、やっぱり兄弟達がいた。
前と変わらず落ち着きがなく、大体が動き回っている。
(あ、あの…集まって…ください……)
(おい、集まれ!集まれよ!)
ギコとボウは兄弟達に集合を呼びかけていた。
「そんなんじゃ駄目ですよ。」
「ギコさんはもう少し自信を持って呼びかけましょう。」
「ボウくんは声の大きさは良いのですが、もう少し柔らかい雰囲気で言わないといけませんよ。」
(は、はい……)
(…ああ)
「……おや?そこにいるのはレンくんじゃないですか。入って来たらどうですか?」
少し覗くだけだったのだが教官のヒョウに見つかってしまった。
これは中に入るか…
(これはどういう訓練なんだ?)
「この部屋にいる彼らをまとめる、という訓練です。」
「この訓練が出来ると、仲間とのコミュニケーションが円滑になりやすいのです。」
「試しにレンくんもやってみますか?」
(やってみるか…)
(集合してくれ。)
そう念話で呼びかけると9匹のアリが目の前に集まって来た。
(どうしたの?)(おなかすいた)(はしりたい)(dpmwpbjpt!)(なになに?)
近づいて来たアリ達は、それぞれの考えを念話で垂れ流しにしていた。
1匹おかしいのがいるが……
「うん、レンくんは9匹ですか。なかなかですね。」
「ギコさんとボウくんはまだ多くても3〜5匹が限界なんですよ。」
(へぇ、そうなのか。ところでこの訓練の目標はどのくらいなんだ?)
「20匹ぐらい集められるようになると一人前と言ってもいいので、とりあえずは20匹を目標にしています。」
「まあ今日はもう遅いのでこれで終わりにしましょうか。ギコさん、ボウさん、終わりますよ。」
(は、はい……ありがとうございました…)
(………)
「ボウくんは疲れているみたいですね。今日はもう部屋に帰って休んでくださいね。」
(…ああ)
「レンくんも、明日の訓練頑張りましょうね。では、また明日。」
(ありがとう。)
そうして部屋を出て、自分の部屋へと戻って就寝した。




