09.日常
おはようございます
本日は、学校がある為、兄と一緒に登校中
昨日手に入れた、モティールのたまご……どんな子に育てようかな~、今から凄い楽しみで朝からご機嫌です。
「僕のお姫様は、今日は朝からご機嫌だね、お兄様にもその楽しさを、少し分けてくれないかな?」
「……うん、昨日たまごを手に入れたの」
「たまご?」
「そう、テイム可能なモンスターの」
「へぇ……珍しいね、βの時には見かけなかったよ」
「レアだって、書いてあったよ?」
「そうなんだ~だから、見つからなかったのかな?沙紗すごいね、良く見つけたね~」
「偶々だけどね?それでね……そのたまご、育てる人によって産まれてくる子の姿形が変わるんだって、可愛いよね!」
「ふふっ、それで朝から沙紗は、ご機嫌なんだ~……可愛い、可愛い」
兄に頭を撫でられながらも、私の頭の中はたまごの事でいっぱいです。
「それじゃあ、今日も1日勉強頑張ろうね」
「うん、ばいばい兄様、また放課後に……」
「姫宮さん、おはよう……!」
下駄箱で、兄と別れると靴を履き替えていると後ろから、名字を呼ばれ振り返る。
「秋月くん、おはよう…」
「姫宮さんあのさ、明日って用事ある?」
「え……明日って、土曜日?……どうして?」
土日は、出来ればずっとDFWOが、やっていたいのだが……言えない……いや、言いたくない。
「あのさ、俺サッカー部なんだけど、土曜日練習試合が
「そこ、退いてくんない?」
「あっ、ごめん……七海くんおはよう」
下駄箱で話し続けて居たら、クラスメイトの邪魔になってしまったようだ
「……はよう、もうすぐチャイムなるけど?」
「……えっ、ほんとだ、急いで教室行かなきゃ!」
「あっ!姫宮さん、待って……!?」
七海くんの言葉に、これ幸いと秋月くんから逃げ出す、階段を出来るだけ早く駆け上がり教室に入り席に座る……ふぅ、……これで、一安心です。
「はぁ……間に合った……」
「ひめ、おはよー!遅かったね?」
「おはよう、すーちゃん……下駄箱で、立ち話しちゃって……」
「あらー、もしかして……原因は、あれかなー?」
友達の春野すみれちゃんこと、すーちゃんが入口の方を指差すと、秋月くんが丁度教室に入り、席に着く所でした。
「あー、うん……」
「やっぱりね~!秋月もしつこいね~……ひめに相手にされてないってなんで、気付かないのかね~ウケる!」
「ウケないよぉ……」
「おー、よしよし……元気だせー」
すーちゃんに頭を撫でられていたら、授業開始のチャイムが鳴り授業が始まった。
退屈な授業中、先生に問題を出され回答しているのは、何かと絡んでくる秋月くん……
秋月くんは、サッカー部の次期エースと呼ばれている程の凄い人、爽やかで優しく勉強も出来て凄くモテる……らしい、1学年の王子様的存在らしいのだが、私は正直苦手である。
因みに、第3学年の王子様的存在は兄だと、すーちゃんに聞いた。マジで言っているのかと、真顔で聞いたのが懐かしい……
そんな話は置いておいて、
今の私の問題は、秋月くんである。
みんなは、小説や乙女ゲーで好きになるのは、どんなタイプですか……王子様、騎士、魔法使い?それとも、ヒロイン?
私は、正直どれもあまり好きにはならない……
私が好きになるのは、いつも悪役令嬢や真のラスボスのお姫様……何故って?悪役令嬢やラスボスのお姫様は、たった1人でも、どんな事でも成し遂げ、ヒーローやヒロインに最大級の困難を与える。素敵では、ないですか?
悪役令嬢や、ラスボスのお姫様は、1人で努力し成長し強くなって、ヒロイン達に立ち向かうのに……何故ヒロインは、泣いたり、攻略対象とお喋りしてるだけで、攻略対象に守られて、集団になってやって来るの?
1人対、複数って……卑怯じゃない?
悪役令嬢や真のラスボスのお姫様には、味方が少ないのに、ヒロインには最低でも……攻略対象の数だけはいる。
まあ、それでも負けないのが
悪役令嬢や真のラスボスのお姫様の素敵なところです。
ですが、確かに悪役令嬢や、ラスボスのお姫様の中には性格が悪く、悪い事をいっぱいしてしまい仲間に嫌われてしまう人もいる
だが、生活環境や周りの人の影響で悪役になるしかない悪役令嬢や、文句などひとつもないが性格が明るくない、冷徹なのがダメだとか、闇魔法を使うのが~とか変な理由を付けられ、ヒロインと攻略対象を結ばせる為に悪役や負けヒロインにされるお姫様もいる
それって、どうなの……?ヒロインと攻略対象の恋愛を盛り上げる為に、大勢の前で婚約破棄とか本当に最悪過ぎない……?そんな物語り、糞くらえです。
私が、好きで憧れるのは、
どんな困難をも乗り越え迅速に対処し、優雅で強くしたたかに1人でも淡々と解決していく様な、気高く美しく可憐で、圧倒的な強さを持つ、邪魔する者には容赦しない。それこそ、真の悪役に相応しいと言われる様な、お姫様
……本当に素敵。
話を戻すのだが、秋月くんは王子様タイプです。それも思い込んだら最後人の話は聞かない、一直線タイプの王子様……勘弁してほしいと思う……本当に。
そんな事を考えていたら、授業があっという間に終り次の授業の準備をしていたら、窓の外からお日様の光が……うっ、なんだか、ゲームの中では無いのに、ダメージを受けてる気がしてきて窓の外を睨んでしまう。
「……なんで、睨んでくんの?」
「……え、睨んでないよ!」
「いや、すげー顔で睨んできてたけど?」
どうやら、誤解されたらしい……
「ごめん、違うの……ちょっと太陽が、嫌いになりそうで……」
「はっ?……太陽?紫外線が気になるって、こと?」
「うーん、というより……太陽が憎いって、感じ……?」
「太陽が?……ぶっ、くっ……くくっ、変な奴っ………」
……笑われた、それも腹を抱えて
隣の席には、下駄箱で助けてくれた
七海碧斗くんが気だるげに椅子に座って居た
「姫宮って、案外変なのな」
「変!?」
「うん、変……もっと、大人しくて、八方美人な奴なのかと思ってた」
「え、八方美人じゃないし……なんで?」
「いつも、秋月から話しかけられるとへらへらしながら答え濁して、消えてくじゃん」
「うっ……」
痛いところをつかれた……
「普通、あーいうのにアプローチされたら、嬉しいんじゃねぇの?」
「私は嬉しくない……」
「ふーん、あっそ……」
七海くんはそういうと、欠伸をしながら机に頭を伏せてしまった、……今から寝るのかな?なんだか自由気ままな猫の様である。
七海くんとの会話が終わるのを待っていたのか、すーちゃんが興奮気味に話しかけてきた
「ひめー?そういえば、ゲームやりはじめたんでしょ!どうだった……!!」
「あっ、面白いよー私はキャラメイクとかに時間食っちゃって全然進んでないけど……」
「良いなー!すみれも早くやりたい!!」
「すーちゃん、抽選外れちゃったんだっけ……?」
「うん!ひめと一緒に始めたかった~……あっ、でもでも、2陣から始めるよ!」
「そうなの?やったね~」
「楽しみだな~すみれも出来る様になったら、一緒にやろうね~!」
「うん、私もすーちゃんが分からない事とかあったら、教えられるようにいっぱい勉強しておくね~」
「ひめ、ありがとう~大好き!!」
「ふふっ、私も大好き~」
ふたりで楽しくお喋りをして、授業開始のチャイムが鳴ったら授業を受け、終わったらまたお喋りを繰り返しあっという間にお昼休みです。
「ひめ~4組行こー!愛華と明里が待ってるよ~」
「うん、お弁当持って行こう」
「もちー!れっつご~!」
すーちゃんが走って行ってしまった
私も急いで4組へ向かいます。
「あっ、沙紗きた!遅いぞ~?」
「すーちゃんが、早いだけだよ~」
「さーちゃん、おはよ~!」
私に最初に話しかけてくれたのは、桜 愛華ちゃんしっかり者の優等生さん、さーちゃんと可愛い渾名で呼んでくれたのは桜 明里ちゃん、癒し系のマイペースさん。因みに2人は双子である
「また秋月に捕まっちゃったのかと思ったよ~」
「またって、また何かあったの?」
「朝ね~下駄箱で、捕まっちゃってひめは遅刻ギリギリに教室入って来たんだよ~」
「あらら、伊織王子とさーちゃん一緒に登校してるから、遅刻なんてあり得ないもんね~今日は、何で引き留められてたの……?」
「えーっと、土曜日に練習試合があるからって……」
「それ、前も言ってなかった……?」
「その時は、伊織王子が「妹はいつも忙しいから、誘うの辞めてくれないかな?」って、撃退してなかったっけ……?」
「王子でも、効果無し?」
「あはは……効果無かったみたい……?」
「マジか……さすがは、思い込み勘違い野郎……」
「あーちゃん言いすぎ~」
「姫宮さん!ちょっといいかな…?」
4人で楽しくお喋りをしつつご飯を食べていたら突然の奇襲……
「秋月くん……どうしたの?」
「明日の事なんだけど、練習試合来てくれないかな?」
秋月くん、その話まだ覚えてたんですね……
「沙紗は、明日お兄さんと用事があるって」
「え、そうなの?それなら少しでも時間作れない、かな?明日けっこう強い所との試合なんだ!」
「さーちゃんと伊織王子は、用事で忙しいのに無理して時間を開けさせるんですか?」
「あっ、いや……無理にとは、でも出来れば来てほしくて……」
「秋月くん、ごめんなさい」
「あー、そっか……分かった、でももし気が向いたら良ければ来て?それじゃあ!」
相変わらず、人の話を聞かない一直線っぷりです。これは、助っ人に連絡しておこう……メッセージ送信っと。
「相変わらず、しつこいね~」
「あれは、今まで顔で許されて生きてきただけでしょ…めんどくさー」
「ひめ?どうしたのー?」
「……ん?今、助っ人に連絡中」
「あーなるほどね~あれには、あの人しかいないもんね!」
「すぐこっちに来るって……」
「沙紗!!」
教室の扉をバンッと大きな音をたてながら開き、こちらにやって来るのは、私が呼んだ助っ人……美月ひまわりちゃんです。
「あいつが迷惑かけて、ほんとごめんね?あいつの事は気にしないで!私が何とかしとくから!!」
「大丈夫だよ、ひまちゃんのせいじゃないし、でもお願いします……」
ペコリと頭を下げて、お願いする。
私じゃ、秋月くんをどうしようも出来ないんです……すると、ひまちゃんは胸を力強く叩いた
「任せといて!あ、そうだ沙紗DFWO 始めたんだよね?」
「うん、そうだよ……?」
「実はあいつもやってるみたいなの……会っても分からないだろうけど、なるべく会わないようにね?また、面倒な事しでかしそうだし……」
「多分……会わないと思うけど、気を付けるねありがとう、ひまちゃん」
嬉しい助言を貰いました、ゲームの中でまであまり会いたくありませんし、念の為気を付けよう……
「ひまも秋月と一緒にやらないの?DFWO 」
「一応、日曜日からやる予定よ……あいつに教わりながら……」
「仲良いねぇ~」
「違うわよ!幼なじみなだけだから!別にあいつの事なんて……」
「ふーん……?」
「……な、なによ」
「隠さなくても良いのに、ねぇ~」
「なっ……か、隠してないから!!」
「ふふっ、ひまちゃん可愛い……」
「沙紗まで、からかわないで!」
ひまちゃんは、なにを隠そう実は幼なじみである秋月くんの事が好きなのです。それに秋月くんはひまちゃんの言うことしか、ろくに聞く耳を持とうとしないので、ひまちゃんが居ないと秋月くんは駄目なのです。早く2人が両想いになりますように……
そんなこんなで、いつの間にか放課後に……
大変です。私今日スキル構成や戦闘スタイルを決めて可愛いモティールを育てようと思っていたのに
こんな時でも、お日様の光がキラキラと……
やっぱりお日様が嫌いになりそう。
お日様をまた睨みつけようと窓の方に顔を向けると七海くんがにやにやと悪い笑顔を浮かべこちらを見ていた
「また、太陽が憎いわけ?」
「……そんなに、顔に出てた?」
「それはもう、めちゃくちゃな……なんで太陽嫌いになった訳?」
「えっと、ゲーム……」
「ゲーム?それって、DFWO ……?」
「七海くん、知ってるの?」
「そりゃあ、あんなに宣伝とかされてたら知らない奴いないだろ……」
「あ、そうだね……」
「それに、秋月達もべらべら喋ってたぜ?」
「そっか……七海くんはやらないの?」
「なんで?」
「んーん、ちょっと悩んでたから、やってたらアドバイス貰えないかなって思って……」
「……なんで俺?兄貴は?」
「兄様は、私の好きにしたら良いって言うだけだから……」
「あー、言いそう……まあ、良く考えて好きにやったら良いじゃん」
「そう、だよね……」
「まあ、迷ってんなら珍しい組み合わせとかも試したら、いいんじゃね?案外合うかもしんねーし……」
「沙紗~迎えに来たよー!!」
「あ、うん……それじゃあ、七海くんまた来週、アドバイスありがとう。」
七海くんから良いアドバイスを貰いました。
珍しい組み合わせ、試してみる価値大いにあり、兄も迎えに来てくれたので、はやく家に帰りましょう。