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12.邂逅

誤字脱字の報告ありがとうございます。助かります




「沙紗~そろそろ起きて、朝御飯食べなー」




兄の声で目を覚まし、時計を確認する。

前にもこんな朝あった気がするが、休みの日はいつもこうして起こしてもらってるから、いつもの事ですね……




(あに)様おはよう……」

「ふふっ、おはよう今日も可愛いね、僕のお姫様♡」

「ありがとう……今日はミントティーが飲みたい」

「いいね、水出しでいい?」

「うん、ありがとう……いただきます」




兄の作ってくれたフレンチトーストを食べながら

今日やることを決めていく




まずは館のマップ埋め、それにモティール以外のモンスターとも戦ってみたい。カリオペのレベルも上げてあげたいしご飯もあげなきゃ




そして、吸血鬼さんに会いに行きましょう。

はぁ……ほんと楽しみ




「そういえば、沙紗の言ってたたまご無事に孵化したんだね」

「うん!黒色の翅に鱗粉が星みたいにキラキラしてて本当にかわいいの」

「そっか~良かったね!名前はつけてあげたの?」

「絆と信頼の意味を込めて、カリオペ」

「オレンジの薔薇かー、素敵だね……それに女神の名前だ、良い名前を貰ったねその子は」

「……そう、かな」

「ふふっ、照れてる沙紗も可愛いな~♡」

「……ごちそうさまでした」




兄の事は放っておいて、使った食器の片付けを済ませ軽くストレッチをして身体を解し早速DFWOにログイン




「カリオペおはよう、今日から改めて一緒に頑張ろうね」




私の周りを優雅に飛び回るカリオペに挨拶をしてカリオペの朝御飯に私の血をあげる。




「ご飯食べたら、この館を探索しようね」




お腹がいっぱいになったのか私の指から離れひらひらと飛び回り、こめかみ辺りが気に入ったのかそこで髪飾りに変化してしまった。普段はこの姿でいるのが好きなのかもしれない




それでは、今日の目的でもある

館の探索に行きましょうか




初期リスポーン地点の部屋の扉を開けてみると、所々床に穴が空いてたり蜘蛛の巣がある廊下に繋がっていた。館なのだから当たり前の事なのだが、扉を開けたら異次元に!なんて事があっても、この世界では不思議じゃ無い



のだが、ここは普通の館の様です。相変わらず埃っぽくて空気が淀んでいる……人が住んでいたのは、かなり昔の事なのでしょう。



2階には入れる部屋は4つ、他の部屋は床が抜けていたり壁が崩れ扉が塞がれているなどなど、危なそうなので中を調べる事ができなかった……残念



2階の部屋の1つは私の初期リスポーン地点だった部屋なので残りは3つ、3つの部屋は全てゲストルームだったようでベッドやクローゼットなどがあったので調べてみたが、目ぼしい物は何も無かった……が、私の特殊技能《華なる者》について少し分かった事がある。




まず、私が直接触れた植物は全て華に変わってしまうという事。木も草も植物なら全て華に変わってしまう




実は2階の部屋を調べていた時、散らばって落ちていた紙を何気なく拾った所それが花びらに一瞬で変わってしまったのだ



初期リスポーン地点にあった本は触れたのに何故?と気になり本を調べたところ、本は破壊が不可能なアイテムだった為、華にならなかった様だ



この館は、殆どが木造……私が直接触れば全てが華に変わる。試しに靴を脱いで床に足をつけてみれば、辺りは花びらだらけに変わった。



何故今回は花びらだらけなのかも、ついでに調べてみたところ。私はいつも華に変える際、出来るだけ明確に根から蔦や茎が伸び華が咲く様子を想像していたので、それが脳波を通して伝わった結果、蔦や茎も現れていたようだ



現に何も考えないで物に触ると、今回も花びらに変わったので、たぶんこの推測は当たっていると思う。今度からは、花びらを操る練習もしようと思う



あと手袋を用意しないとならない

……自由に物に触れなくて、ちょっと不便です。



それからこの特殊技能、植物が無いと使えないのでは?とも思ったが、それをカバーするのが華魔法なのだと思う、植物が無いのなら自分で作り出せば良いのです。魔法さいこー!




さ、探索の続きです。この館は3階建ての様なので、館の主の部屋はたぶん3階にあると思うので、先に1階を調べてしまおう。



1階を見て回りマップ埋めを進めていくと、

気配察知に反応があった。なんだろう……




スパイダー Lv.8

大きめな蜘蛛、攻撃的だがそんなに強くは無い。蜘蛛の糸で行動を邪魔してくる


ラオシュー Lv.3

動きが素早い鼠、前歯が発達しており何にでも噛み付く。噛み付くと中々離れない


ビッグラオシュー Lv.7

大きめな鼠、素早い動きを犠牲に体力と力を手に入れた。HPが特に多い




ここにきて蜘蛛とネズミか、蜘蛛の巣が沢山あるし至る所に穴があいてるのは鼠の仕業なのかな?それにしても……なんかレベル低くなりましたね?



考え事をしてる間にカリオペが変幻を解き、高い位置から鱗粉をかけてくれた。指示しなくても戦闘してくれるのは、すごい有難い




「カリオペそのまま遠距離から援護お願い」




カリオペに援護を頼み、私も戦闘に移ります。




素早く動かれるのも、糸を吐かれるのも面倒なので壁に手を当て薔薇の蔦を生やし纏めて絡めとり身動きを封じる。



綺麗な華には棘があるというもの。踠けば踠くほど、薔薇の棘が身体に食い込みダメージを受けるという寸法です。あとは爪を胴体に突き刺し戦闘終了




あっ、カリオペが吸血してる……私も吸血しておこう

うーん……?ラオシューとスパイダーの血は……お肉のような味がします。




「なんのお肉の味か分からないけど、おいしいね~カリオペ」




カリオペが私の声に反応するように翅をパタパタしてくれる。ほんと可愛い子です



それにしても、ここのAIは本当にすごい、さっきの戦闘もそうだがカリオペは自分のできる最適の行動を自分でしてくれる。私がそれに、こういう事もしてほしいと伝えるとそれを理解し考えて、ちゃんと行動に移してくれる。攻撃を命じると攻撃しかしないAIとは訳が違う



戦闘に関しても言える事だが、このDFWOは元来のゲームとは比べものに成らないくらい、戦闘がスムーズにできる。



スキルを唱え技を繰り出す事も勿論出来るが、こうしたい、ああしたいを全て現実にしてくれるDFWOの良いところですよねー開発者さん達に感謝の気持ちでいっぱいです。




館を1階から隈なく歩き回り、残すは3階突き当たりのこの部屋のみとなりました。きっとここが、この館の主の部屋なのでしょう。早速部屋に入りましょう



部屋の中は他の部屋とは比べようがない程、豪華なインテリアと内装をしていて扉を開けて正面の壁には大きな肖像画……これが純血の吸血鬼さんの肖像画なのでしょう



白銀のような白い髪にまるで宝石を埋め込んだような瞳、凛とした立ち姿からは凛々しさと絶対的な強者の風格が感じ取れる……正に血の王女様(ブラッドクイーン)




こ、この方が……純血の吸血鬼さん!いや、様!

素敵です、こんな女性になりたい




それにしても……手入れをする人もいない筈なのに、この部屋は塵も埃も一切無く空気が澄みきっている。……不思議ですね?手記によれば、この肖像画の後ろに隠し部屋に繋がる階段があるそうなんですが……肖像画触っても大丈夫かな?




×××の吸血鬼××××の肖像画:高貴な純血の吸血鬼××××の肖像画。肖像画から不思議な魔力が溢れており、肖像画とその周辺を守っている。資格のある者だけが触れる事ができる

[耐久:- レア:EX 品質:S ]




あ、この肖像画が周りを守っているからこの部屋だけ綺麗なんですね……フレーバーテキスト的に、この部屋の物なら何に触れても大丈夫そうです。試しに机の上に置かれている羽ペンを持ってみる……うん、大丈夫ですね!これで心置きなく肖像画に触れます。




しかし資格とは何なのだろう……もしかして何か見落としていたら?ここまで来て触れなかったら、どうしよう……




肖像画に触れようとする指が緊張で震えてしまい、中々勇気が持てない私の指にカリオペがとまる




「……カリオペ?もしかして、励ましてくれてる?」




翅をパタパタと羽ばたかせ、まるで「大丈夫だよ頑張れ!」と伝えようとしてくれているみたい




「ふふっ、ありがとうカリオペ勇気でた」




カリオペに勇気を貰い肖像画に触れてみる……あれ?普通に触れた……どうやら知らず知らずの内に資格は持っているらしい



肖像画を壁から外し隣に意味ありげに置いてあったイーゼルに乗せたのだが、これからどうしたら良いんだ?手記にはここまでの事しか書いてなかったし、目の前にはただの壁しか無い。試しに壁を軽く叩いたり、触ってみても凹凸もなければ怪しげなボタンもない…………もしかして、詰んだ?




いやいやいや、部屋の中をもっとちゃんと調べましょう。きっと何かある……はず!




…………何もなかった




え、嘘ですよね?ここまで探したのに?本、本棚、机、机の引き出し、ソファーにクッション、絨毯の下、至る所全てを調べたしかし何も無い



えぇー、ここまで来たのに流石に嘘だと言って欲しい……



探し疲れてしまった私は、ソファーに座りクッションを抱えて項垂れながら、ソファーに倒れこむ




「どうしよう……詰んだ」

『あらあら、これだけで疲れてしまったの?』

「うん、つかれ……た?」




私いま誰と喋ってるの……?




『ふふっ、正直な子は好きよ』

「えっと……ありがとう、ございます?」

『ところで、(わたくし)を元の壁に戻してくれないかしら』

「壁に……?」

『ええ、可愛い私の希望(スペランツァ)




声の主を探す為、辺りを見回すが誰も居ない。きょろきょろ探してる様子が面白いのかくすくすと小さな笑い声が聞こえる




『……ふふふっ、ここよ』




声のする方に視線を向けると、ただの肖像画だと思っていた吸血鬼様の絵が手をひらひら振りながら優雅な微笑みを浮かべていた


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