10.孵化
学校から帰り、宿題、夕飯、入浴などやる事を全て終わらせ、私は七海くんから頂いた有難い助言を元に、調べものをしている。
「……あった、アイスフラワー」
アイスフラワーとは、生花を真空凍結乾燥し水分を氷に変え昇華させる……これ、良いかもしれない
氷魔法なら、華とも相性が良い攻撃にも防御にも使える、それに蝶は確か寒さに弱いはず……でも氷属性の蝶ならそれも関係無くなる。
確か、初期スキルとして、取得できる一覧に氷魔法は……あ、あった!それと、これも取ろう……移動速度強化と反応速度強化
移動速度強化:移動速度が強化され、移動が速くなる(回避に補正が入ります。)
反応速度強化:反応速度が強化され、反応が速くなる(回避 パリィ(など)に補正が入ります。)
これから近接戦闘が増えていくとなると、反応やスピードは必須だと思う。寧ろ先に取っておけば良かった……それと目利き、ドロップアイテムの品質が良くなるそうです。それは、欲しい
この際、採取も取ってしまおう、あとは料理でOK。
種族スキルは、遠視と隠蔽、身体能力強化、物理耐性にしよう。
よし、DFWO にログインして、スキルを取得しよう
名前:サーシャ
種族:吸血鬼(純血) Lv.14
特殊技能:華となる者 Lv.7
属性:闇
武器:なし
装備:古いワンピース 古い靴
スキルポイント:75
《スキル》:華魔法 Lv.8 氷魔法Lv.1
鑑定Lv.4 看破Lv.1 生活魔法Lv.8
目利きLv.1 採取Lv.1 料理Lv.1
麻痺耐性Lv.7 毒耐性Lv.7 言語理解Lv.6
移動速度強化Lv.1 反応速度強化Lv.1
《種族スキル》:吸血Lv.7 肉体操作Lv.10 闇魔法Lv.10
魔眼(魅了)Lv.5 遠視Lv.1 隠蔽Lv.1
闇夜に生きる者Lv.15 物理耐性Lv.1
身体能力強化Lv.1 HP·MP自動回復Lv.16
《称号》:暗殺者 大物喰らい
……うん、私のスキルはこれで良い
だが、まだ欲しいスキルがある。
それが、毒魔法か毒スキル!私のモティールに絶対状態異常の魔法がほしい!その為には、またモティールを呼び吸血をしてスキルを取得しなければ
……待っていてね私のモティール
いざカーテン、オープン!
そして、薔薇のカーテンを作成……前回よりも確実にスムーズに発動できた、やっぱりより明確に想像した方が良いという兄の考えは当たっていそう
そして、私の前回の反省点をちゃんと踏まえて周囲への気配察知を怠らずちゃんとやる、そして看破もちゃんと行ないましょう。
前回の戦闘の時、全然看破を意識しなかったから看破のレベルが全然上がらなかった今度からは無意識下でもちゃんと発動するように今から意識しておきます。忘れないように頑張ろう……
モティールが来るのを待つ間、本の続きを読みましょう……やっと見つけた読める本
『吸血鬼と人間という悪魔の関係』:吸血鬼と人間について書かれている薄汚れた本所々読めない所がある
[耐久:- レア:N 品質:G ]
人間という悪魔……ね?これは気になりますよねー
さてさて、内容は……?
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昔、吸血鬼はこの世に数多くいた
だが、今はその数が限りなく少なくなった
居たとしても、それは純血ではなく
他の種族と混ざり本来の力をほぼ失った者しかいない
純血の吸血鬼が何故、その数を減らしてしまったのか……その理由は、吸血鬼の瞳、魔眼にあった
吸血鬼それも純血の者の瞳には多くの魔力が宿りその魔眼は、とても美しくまるで宝石の様であった
人間は、その瞳を欲した
人間は吸血鬼を数で捕らえ、瞳を抉り取り
身体を火やぶりにし吸血鬼の殺戮を続けていった
吸血鬼も勿論何もしなかった訳ではない
人間を殺し、同胞の敵を討ち続けたが、人間は数が多過ぎた
何人の人間を殺しても人間は次々と現れ吸血鬼を殺していった、時に厄災を吸血鬼のせいにして、理由をこじつけ吸血鬼を殺していく
そして、瞳を奪うのだ
……人間は悪魔の生き物である。
吸血鬼よ、人間を信じるな
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……なんとも、物騒です。
でも、確かに私の瞳は美しい、宝石と言われたら信じてしまうほど……人間は貪欲ですね
……おっ、なんて良いタイミング!
幻惑のモティール Lv.18
猛毒のモティール Lv.10
麻痺のモティール Lv.10
看破を意識したところ首元、腹部、翅の色が変わった……そこが弱点と言うことですね、分かりやすくて助かる、ちゃんと意識して使っていこう。
さあ、翅を刈りましょう
飛べない蝶は敵じゃありません
こちらに誘き寄せる為に小さな氷の礫を作りモティール達にぶつけ、攻撃に釣られ寄ってきたモティールを肉体操作で作った爪で翅を切り裂く
今回は状態異常の耐性も上げたいので、遠慮なく翅を切り裂き鱗粉を浴びる。
《状態異常:麻痺》
《状態異常:毒》
そして、隙をみて1匹のモティールの腹部に爪を刺し吸血、これをスキル習得まで続ける。……これを続ければ、きっとスキル習得に繋がるはず
モティールを狩り、吸血……そして、読書
もう少しで私が特に読みたい1冊
ここの館の主が書いた手記が読めそうなところです。
ここの館は昔、純血の吸血鬼を守っていた方が住んでいた館だそうです。
吸血鬼は、本来自分の血を他者に分け与えるのを嫌う種族らしいが、ごく稀に吸血鬼から気に入られ、吸血鬼を愛し守る存在となることを許され眷属化とは別に、自分の意志で吸血鬼を守る存在となる者がいるそうです。
この館の主はそうだったらしいのです。
大変興味深い……そして、その方が愛し守っていた純血の吸血鬼の方がいる場所に、この館の何処かから行けるそうなのですが……その場所への行き先が分からない。その先が読めない……ぐぬぬっ……気になります!ものすごく!
おっと、モティールが来てくれたようです。
さあ、続きといきましょう……
[麻痺耐性が、Lv.30に上がりました]
《麻痺耐性が、Lv.30まで上がった為、スキル:麻痺無効に変化しました。》
[毒耐性が、Lv.30に上がりました]
《毒耐性が、Lv.30に上がった為、スキル:毒無効に変化しました。》
《スキル:猛毒耐性を取得しました》
《スキル:毒魔法を取得できます。取得しますか?》
パッシブスキルは、勝手に取得されるけど、攻撃系のスキルは自分で選ぶのか、勿論取得します。これを待ってたので!
《毒魔法を取得しました》
よし、これで準備万端!
薔薇のカーテンを解除しカーテンを締める。
インベントリからたまごを取り出し、両手で包みこむ様に持ち魔力を込める。手のひらから何かが、たまごに伝わっていくのが分かる。あとどれぐらい必要なのだろうか……
一応、数匹モティールの胴体は残してあるし
HP·MP自動回復もあるが、少し不安になってきた
あれ?モティールのたまご……こんな色してたっけ?まるで、紫と水色が混ざったような色に黄色の斑点……んあ、今動いた?
手のひらの上にある、たまごを見ると少し揺れ動き殻にひびが入り始めた!そろそろ産まれるようだ
「ゆっくりでいいよ、がんばれー」
殻が割れ中からモティールの幼虫が現れた!
鑑定してみよう
モティールの幼虫 Lv.1 絆 Lv.1
[属性:闇·氷 弱点:火属性 聖属性]
《スキル》:闇魔法Lv.1 毒魔法Lv.1 氷魔法Lv.1
鱗粉(毒·麻痺·氷結)Lv.1
状態異常無効(毒·麻痺·氷結)
HP·MP自動回復Lv.1
魔力を込めた者によって産まれた、モティール
まだ幼虫のため、餌が必要
産まれたー!けど、まだ餌が必要か……胴体の残りはもう無いし花を食べさせてみても良いけど、その前に1つ試してみたいことができた。私の血をあげてみよう
モティールのたまごの殻に、私の血を滴しモティールに近付けてみると血を啜り始めたようだ、このまま血を与え続ける。
「ふふっ、いっぱい食べて大きくなるんだよ~」
数十分血を与え続けると、モティールが自分の産まれた、たまごの殻も食べ始めた血はもう要らない様なので観察する。それにしても……だいぶ大きくなった気がする最初は片手ぐらいだったのが、今は両手ぐらいまで大きくなった、私が大きくなるんだよと言ったからかな?
……あれ?動かなくなった!?
あっ、蛹になるようです。よかった……
モティールの蛹 Lv.1 絆 Lv.3
[属性:闇·氷 弱点:火属性 聖属性 ]
《スキル》:闇魔法Lv.1 毒魔法Lv.1 氷魔法Lv.1
鱗粉(毒·麻痺·氷結)Lv.1
状態異常無効(毒·麻痺·氷結)
HP·MP自動回復Lv.1
栄養をたくさん貰い蛹まで成長した、
もうすぐ成虫になるだろう。
もうすぐ蝶になるんだー楽しみだなー
その間は、もちろん読書です。
あ、読めなかった先が読めるようになってる!
どうやら、2階の館の主人の部屋にある純血の吸血鬼さんの肖像画の後ろに隠し部屋に続く階段が隠してあるそうです。そこからは先は、破れてしまったのかページが無い……後で探しに行こう!
というかゲーム開始からまだこの部屋から1歩も外に出ていないからマップも自分で埋めなければ表示されない様で、この部屋しか表示されていない。
次はこの館を探索してマップ埋めして、純血の吸血鬼さんの所に行きましょう。ほんと楽しみだな~
「これから、一緒に冒険しようね~」
これからのやりたい事を考え、時折モティールの蛹に話しかけたり本を読み返してみたりしていたら、蛹から光りが溢れ始め、蛹からゆっくりと翅が見えてきた!遂に羽化するんですね!
吸血のモティール Lv.1 絆 Lv.5
[属性:闇·氷 弱点:火属性 聖属性 ]
《スキル》:吸血Lv.1 闇魔法Lv.1 毒魔法Lv.1 氷魔法Lv.1
鱗粉(毒·麻痺·氷結·幻惑·魅力·混乱)Lv.1
状態異常無効(毒·麻痺·氷結·幻惑·魅力·混乱)
HP·MP自動回復Lv.1 隠蔽Lv.1
変幻自在 血の主人
主人の血の味を覚えた事で、人の血すら吸血するようになったモティール。主人の血の味を覚えてしまった為、他の者はテイムできない《テイム可能:サーシャ》
「かっ、かわいい~~!!翅がキラキラ!まるで夜空みたい!本当に素敵~」
黒色の翅にキラキラと青や紫それに黄色の鱗粉がまるで星空のように見える美しい蝶になりました。嬉しい~
《吸血のモティールは、貴方にテイムされたいようです。テイムしますか?》
もちろんテイムします!
《スキル:テイムを取得しました》
[称号:世界で初テイムを成功させた者を取得しました]
《ワールドアナウンス:この世界で、初のテイムが行なわれた為、ヘルプ欄にテイムが追加させました。》
えっ、私がはじめてのテイム!?
やっぱりテイムって、かなりレアだったんだ……どうしようこのまま街とかに行ったら目立つかも、それは嫌だな……
《吸血のモティールが、貴方に名前をつけて貰いたいようです。名前をつけますか?》
おっと、そうでした!そんな事を気にする前に、この子の名前です!どうしようかな~迷っちゃうな~
先に分からないスキルがどんなものなのか、見てから名前を決めようかなー
変幻自在:姿を自由自在に装備アクセサリーへと変えることができる。HPが全て無くなると装備アクセサリーへと姿を変えHPが全回復するまで元に戻れない。(装備アクセサリーの姿の時はダメージを受けない、破壊もされない。)
血の主人:成長する際に主人から沢山の愛情と血液を貰った為、他人に惑わされず主人の命令しか受けない者となった。
他人に惑わされず、主人の命令のみに従うとなるとこの子には、オレンジ色の薔薇の名前をあげましょう……オレンジ色の薔薇の花言葉は、信頼と絆です。
「貴方の名前は、カリオペです。これからよろしくねカリオペ」
カリオペは名前を貰って嬉しいのか、私の周りを優雅にひらひらと飛び、私の髪に留まるとカリオペは、綺麗な髪飾りに姿を変えた
「これが、変幻自在……すごく綺麗」
カリオペが、変幻してくれたので今日はこのぐらいにして明日から、この館を探索しましょう。
「今日は疲れただろうから、明日から一緒にこの館を見て回ろう……おやすみカリオペ」




