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第2話  ゴブリンは数が多いだけ

 あれから一時間経ったけど、数が多すぎて、斬っても斬っても減った気がしないな。


 俺は少し悩み、そして剣のスキル使うことにした。



 変幻自在:装備者の思うままに武器の形態が変化する。



 俺は剣たちのスキル《変幻自在》を使用し、横幅1メートル、長さ8メートルくらいの大剣のイメージに変形していく。


 俺は剣の形態を変化させ終えると、腰を捻ってモーションを取る。あるソードスキルを発動するために。


 ソードスキルとは、武器を使って魔力を代償にだす必殺技のようなものだ。


 魔法と同じようにイメージすることが大事。戦技スキルの成長によって習得することができる。



「サイクロン・スラッシュ!」



 俺の体が美しく高速回転する。俺の周りにわらわらと集まっていたゴブリンが100体ほど切られ、血と肉片を撒き散らした。


 数滴の茶色っぽいゴブリンの血が俺の頬についてしまった。一瞬ブルルっと寒気を感じてから、すぐに手で拭き取る。


 Lv.4双剣技ソードスキル《サイクロン・スラッシュ》。両腕を広げて回転し、敵を斬るソードスキルだ。


 双剣技スキルとは、剣系の武器を両手で2つ持ち、それらをうまく扱うスキルである。刀でも細剣でも、剣なら何でもいいらしい。


 同じことを繰り返すこと約15回。そろそろ魔力が尽きてきたが、《暁闇剣》のおかげですぐにフル回復できる。


 しかし、体力が持たない。


 俺のスキルの治癒魔法に体力を回復させる魔法があるのだが、その魔法は俺の少ない魔力量では使用できない気がするな。


 だが、試してみたいことがある。《暁闇剣》に溜まっている魔力を俺に移させずにそのまま使用できるかというものだ。


 俺は、レベルⅢ治癒魔法フィジカル・リカバリーの詠唱を開始した。



「――フィジカル・リカバリー!」



 俺の体を癒やされるような光が包む。今までの疲労感がすぅっと消え去った。さすが上位魔法のレベルⅢ。回復量がエグいな。


 しかし、完全になくなったわけではない。まだ疲れが残っている。完全に回復するまで何をしようか……。


 俺は楽をするためによーく考えた。


 そうだ。《サイコキネシス》を使おう。



 サイコキネシス:魔力を消費して、 物を思念で動かせることができる。 強い想像力が必要。



 これで剣たちを動かして、ゴブを斬ればいいのでは?


 俺は、剣たちを刃を持った半径3メートルほどの円盤に変形した。


 それをスキルを使用してゴブへ向かって発射する。周回軌道をとってゴブを斬り続けるという感じだ。



「――ファイア・アロー!」



 さらに、レベルⅠ火魔法ファイア・アローを20個ほどの多重でで発動する。


 俺の放った炎の矢が、周回軌道を取る剣たちの斬撃から逃れられたゴブリンを遊撃し、燃やし尽くす。


 しかし、一向にゴブリンの波がやまない。というか、まだゴブリンしか出てきていないのだが。


 この世界にはそれ以外の魔獣はいないのか?まだゴブリンの後ろ側に違う魔獣の気配はするのだが……。




 あれから一時間経って、やっと俺の体力がほぼ回復した。そろそろ自分で狩っていこうか。


 目前には、今までの雑魚ゴブとは違う気配を放つゴブリンがいる。だが、少し先程の雑魚ゴブよりは強い気がする。


 ――《鑑定》!


 名称:ゴブリン・ソードマン

 種族:魔獣・亜人

 状態:平常

 Lv.16

 命力:131 魔力:52 腕力159 知力:29 敏捷力:99 体力:67

 スキル

 剣技Ⅴ 暗視Ⅲ 集団行動Ⅳ 腕力上昇(小)

 装備:低品質な鉄の剣

 Tips:ゴブリンが剣技を極めて進化した上位種。ゴブリンの中では非常に強い。ランクはF。



 おっ、ついに上位種登場だ。ちょっときつくなりそうだから、確実に斬っていこう。


 まず、俺は剣に灼熱の炎を付与する魔法の詠唱を始める。レベルⅠ紅焔魔法プロミネンス・ウェポンだ。



「――プロミネンス・ブレード!」


 その言葉と同時に剣の鍔から炎が生まれ、一瞬で剣を包み込む。意外と熱さは伝わらない。装備者には影響がないようなシステムなんだろう。


 さらに、レベルⅥ紅焔魔法プロミネンス・コアという魔法の詠唱を始めた。


 この魔法は、高エネルギーを持った火炎の球を生み出し、大爆発させる魔法だ。高威力かつ広範囲に攻撃をするため、自分にも影響が及ぶ可能性がある。



「――プロミネンス・コア!」



 その言葉とともに、十個ほどの小さい火炎球が生まれる。本当は一個だけしか生まれないのだが、多重起動した。


 四方八方に散乱し、何十倍にも膨れて大爆発すると同時に、風の魔法で障壁を張って、熱気が伝わらないようにしながら剣を振り続ける。



「ギュァァァァァァ――」

「キィィィィィィィ――」

「グァアアアアァァ――」

「あっつ!」



 さすが上位魔法レベルⅥ。自分にも害が出そうになるくらい高威力だ。


 というか、《暁闇剣》の魔力の消費がやばい。一気に1200ぐらい減ったぞ。


 まぁ、1つあたりの発動時消費魔力が100を超えているから、仕方ないか。


 やがて、剣の炎付与と大爆発の余波も収まり、視界が開ける。そこにはただの焼け野原しかなかった。


 俺が先程まで戦ったゴブリンの大群の反応も無い。そいつらの波はもう終わったみたいだ。


 しかし、焼けずに残った鬱蒼とした森の中にはたくさんの魔獣の気配がある。


 そして、俺の目の前に立て続けに現れたのは、恒例の複数のウィンドウによるレベルアップ情報。



「おいおい、何だこれ」



 《Information:称号《大量殺戮者》を獲得しました》

 《Information:称号《ゴブリンアナイアレイター》を獲得しました》



 うわぁ……。と思いながら詳細を表示させる。



 大量殺戮者:たくさんの敵を一度に葬った者に与えられる称号。

 効果:攻撃魔法を使用するとき、範囲と威力を1.5倍にする。

 取得条件:一回の攻撃で、1000体以上の敵を撃破する。


 ゴブリンアナイアレーター:ゴブリンを山程葬ったものに与えられる最上級の称号。

 効果:レベルアップボーナス(小)

 取得条件:ゴブリンを合計2000体以上撃破する。


 うん、たしかに強力なんだけど、名前がなぁ……。


 そういえば、他にも《ゴブリンキラー》、《ゴブリンスレイヤー》、《ゴブリンデストロイヤー》があった。


 その3つは、全部ステータスアップだった。


 レベルアップボーナスというのは、レベルアップ時に上昇するステータスの数値に補正がかかるというものらしい。


 しかも必ず発動して、(小)で2.5割増というチート称号なのだ。 



 そして、ドスドスと非常に重たい足音が新たに聞こえて来て、やがて音の主が俺の目に入った。


 そいつは身長が高く、ガタイも良くて、ゴブリンよりは強力そうな魔獣だった。


 ――《鑑定》!



 名称:オーク

 種族:魔獣・亜人

 状態:平常

 Lv.10

 命力:311 魔力:45 腕力:289 知力:8 敏捷力:34 体力:167

 スキル

 棍棒術Ⅷ 腕力増加Ⅵ

 装備:木の棒 

 Tips:非常に腕力が高いが、知力が低いという、脳筋魔獣。その腕力が高いため、武器攻撃の威力が非常に高い。ランクはF。


 ゴブリンの上位種よりレベルが低いのに、ステータスでは勝っている。種族としての基礎能力が高いのだろう。


 俺にとってはだぶん雑魚だが、数が多いし、慎重に行こう。命力も高いし。


 俺は気合を入れ、また殲滅を始めた。  

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