第34話 再会
「――由菜!」
「――宙來っち!」
互いに日本語で名前を呼び合ってから、ハグを交わす。
「今更聞くけど、どうしてここに?」
「私だって聞きたいわよ!宙來っちが死んじゃって橋から川に落ちて死のうとしたら、落下寸前で変な魔法陣に吸い込まれたの!でも、これでそらっちにまた会えたから、お母さんたちには申し訳ないけど飛び降りて正解だったかな〜」
「お前、自殺しようとしたのか!?」
「まぁね。宙來っちがいない世界なんてはっきり言っていらない」
「ともかく、俺たちは違う惑星にいようとも切れないほどの腐れ縁ということが証明されたようなもんだな」
「そうね」
長く再会の感激に浸っていると、右側から4つの視線の圧がものすごいことになっているので、互いに腕を解いた。
「宿まで歩いて話そう」
「ねぇ、あなた誰?変な言葉で私の夫と――」
「ごほん。二人とも、紹介するよ。この人は由菜。生き別れた大親友なんだ」
わざとらしい咳払いをかまして、フィーナの言葉を無理やり切った。『夫』と強調していっていたが、聞こえていないといいのだが……。
「宙來っち、このこと結婚したの?」
案の定、聞こえていたようだった。
「そうだよ……」
「へぇ、こんな幼気な子を嫁にするんだ。あんたってそういう趣味なの?」
「んなわけない。誰がロリコンだ!?」
ここは《ショート・ワープ》で逃げるべきか?逃げないほうがいいか?うーん、ドッチナンダイ!?
「フィーナ、いつの間に。ずるいのです!」
「私が告った」
「ねぇあなた、フィーナって言ったっけ。どこまでしたの?」
「添い寝はした。ただ一緒に横になっただけ」
「ふーん。体の関係は?」
「からだのかんけい?それ何?」
「あらわかってないのねつまりそこまでやっていないのねなら安心だわくぅ私もそらっちと添い寝を……」
「由菜、10倍速みたいになってるから、何言ってるか俺含めて聞き取れてないよ」
やっぱり、女の子ってちょっとしたことですぐバチバチになるな。
とりあえず、由菜のステータスを確認しよう。転生してきたなら、それなりに強いはずだけど。
「由菜。ちょっと鑑定するぞ――《鑑定》!」
「うん。私もするね――《鑑定》」
名称:ユナ・スイレイ
種族:人間
職業:なし
年齢:15歳
状態:平常
Lv.40
ステータス
命力:10690 魔力:18920 腕力:2740 知力10010 敏捷力:5820 体力:6090
スキル
紅焔魔法Ⅹ 撃流魔法Ⅹ 地磁魔法Ⅹ 竜巻魔法Ⅹ 治癒魔法X 補助魔法Ⅹ 鑑定Ⅹ
エクストラスキル
魔法増幅Ⅹ 逆脳筋
ユニークスキル
神託
装備
薄布のワンピース
称号
転生者 神と会った者 魔法神の寵愛 ゴブリンキラー ゴブリンスレイヤー
これは明らかに魔道士ステータスだな。《逆脳筋》スキルのおかげか、腕力が絶望的に低いが知力がバカ高い。魔力量も《魔法神の寵愛》があるので結構高い。
「ステータスはまぁまぁ高いな」
「……」
口がポカンと開けて、死んだ魚の目みたいな目でウィンドウを見ている。
「ん、どうした?おーい、ユナ!戻ってこーい!」
「――はっ。ごめんね。バカみたいなステータス見たらつい……」
うん、わかるよその気持ち。俺でさえびっくりしたもん。「ぶっ壊れすぎだろッ!」って。
「てか、ユナ・スイレイって。そのまんまじゃん」
「うるさいわね。思いつかなかったの!あなたも、スカイ・インフィニティーなんて、厨二病みたいな名前つけちゃって」
「だまれ」
短い軽口を叩きあったあと、とりあえず俺の専属スキルについて説明した。
由菜改ユナは、「専属スキル?話にすら出てこなかったよ?ずるいー私にもほしい!」と言っていた。あとでもらえるかもしれないと言っておこう。
「俺が明晰夢っていうものを見るのは知ってるよな?」
「うん。あっちでよくその中の話ししてくれてたよね」
「そうだったな。んで、《クリエイティヴ・クラフト》は、その明晰夢の中でものを生み出す、創造するのと同じやり方で物を生み出すことができるんだ」
金を一キロ生み出して見せてやると、「スゴッ」と驚いていた。
「とまあ、こんな感じだ」
「いいなー本当に。私もぶっ壊れスキルほしい〜」
「そんなん俺に言われても……。ところで、どうして髪の色と目の色が変わっているんだ?」
「わかんない。いつの間にか変わってた」
■■■■■
「あら、スカイさん。随分見なかったけど。あら、また女の子増やしちゃって」
「その言い方やめてください」
「へっなのです」
「ん」
「プッ」
さっさと部屋に入り、4人一斉にベッドに飛び込んだ。
俺は鍛冶で、フィーナはレベリングで、ユナは奴隷として囚われて疲れてるだろうから、風呂に入ってリフレッシュしよう。
「先に俺風呂入ってくるから、みんなくつろいでいてくれ」
「「「……はーい!」」」
「何だ今の間」
ふぅ〜、やっぱりお風呂っていいね。ここの部屋の風呂は広いから、足を伸ばせるし。
何より、凝り固まった体には余計にしみるぅ〜
――ガラガラガラガラン!
「もう、誰だよ入ってきたのは……え!?」
可愛い寄りの美麗な顔立ちで、2つの碧い目と腰までさらりと流れる長い金髪。ユナだった。
身長も、華奢な体も、細くてよくくびれた腰も、主張が強めな胸も、前世から全く変わっていない。胸は見たこと無いが、
俺の目の前で、そのユナが全裸で立っている。
「ユ、ユナ。どうした?」
「いや、我慢できなくって」
「何を?」
「汚れた体を洗うのを!シャンプーとリンスとボディーソープどこ!?」
「ああ、今出すよ……、はい」
「ありがとう」
よし、さっさと逃げ出そう。長時間も視界に入っていたら、色々と大変なことになる。
「んじゃ、俺上がるy――」
「ダメ」
「は?」
「じゃなくて、別に入ってていいよ。うちら18年の仲でしょ?」
「え?あ、うん」
俺はユナのお言葉に甘えることにして、ぶくぶくと息を吐きながら顔を沈めた。
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