第32話 防具完成
鍛冶台の上に置かれている防具を、鑑定する前にフィーナに渡す。
「フィーナ、仕上がったから、早速着てみて」
「ん」
防具には《サイズ調整》をつけているため、ぴったりのはずだ。
ハイネックのトップスは神糸で織った神布を使った。薄桜色のシンプルな装飾で、へそが見えるほどの長さである。永遠神竜の革の柔らかい部分を使った胸パッドもつけた。。
獣人は軽装というイメージが有るため、あえてそうした。フィーナも身軽そうにして喜んでいるようだ。
さすがに、上がそれだけだと寒そうだから、ショートジャケット風の上着も作った。こちらは、ハイネックトップスよりもちょっとだけ丈が長くしてある。
永遠神竜の革の柔らかい部分と神布を使っている。フィギュアスケーターの衣装のようなひらひらをあしらってみた。袖の神布は特殊加工をして、袖口の方へだんだん透けてくるという風にした。
下は、ブリ―ツの多いマイクロミニ丈のスカートに、前が大きく開けた府立たっぷりシアー加工神布をかぶせた、ガーリーなスカートだ。
座ったときや戦っている最中に下着が見えないように、永遠神竜の柔らかい革製のズボンもつけてある。
靴は、シャフトの長めなレースアップブーツ。桜色のカジュアルな色合いにし、トップには桜をかたどったブローチを付けた。
さらに、ネックレスも作ったのだ。ダンジョンコアを混ぜたプリムスティルで桜の花びらを八枚作って八重桜を形作り、その中心に永遠神竜の魔石をはめ込んだ。最も力を入れて作ったので、色合いも形も本物そっくりである。
「スカイ、性能は?」
「おう、今から見るよ」
『キルシュブリューテシリーズ』
Tips:スカイ・インフィニティーが作った装備。防御力はそこそこだが、装備すると回復量が爆発的に増加する。
《キルシュブリューテ・プリストップ》
防御力:2300
耐久力:∞
スキル:消臭 浄化 防汚 サイズ調整 破壊不能
Tips:キルシュブリューテシリーズの一つ。《消臭》《浄化》《防汚》スキルがあるため、装備者は清潔さを永久的に保つことができる。また、《サイズ調整》すきるがあるため、誰が着てもちょうどいい。
《キルシュブリューテ・エアメドクロシス》
防御力:5010
耐久力:∞
スキル:物理障壁Ⅴ 超速治癒 回復速度十倍 サイズ調整 破壊不能
Tips:キルシュブリューテシリーズの一つ。装備者を治癒し続ける《超速治癒》がある上、《回復速度五倍》があるため、ダメージや傷を負うと毎秒六回治癒が発動する。また、《サイズ調整》スキルがあるため、誰が着てもちょうどいい。
《キルシュブリューテ・フェザーダンス》
防御力:3700
耐久力:∞
スキル:魔法障壁Ⅴ 被ダメージ増加(小)回復量三倍 サイズ調整 破壊不能
Tips:キルシュブリューテシリーズの一つ。《被ダメージ増加》があるが《回復量三倍》があるため、回復量のほうが上回る。また、《サイズ調整》スキルがあるため、誰が着てもちょうどいい。
《キルシュブリューテ・フリィラルブーツ》
防御力:4300
耐久力:∞
スキル:防寒 空中疾駆Ⅹ 与ダメージ増加(中)サイズ調整 破壊不能
Tips:キルシュブリューテシリーズの一つ。《空中疾駆》があるため、空を自由に駆け回ることができる。また、《防寒》によって寒さを凌ぐことができ、《サイズ調整》によって誰が着てもちょうどいい。
《キルシュブリューテ・アルカナイト》
防御力1000
耐久力:∞
スキル:痛覚軽減Ⅴ 迷宮内能力上昇 日焼け防止 サイズ調整 破壊不能
Tips:キルシュブリューテシリーズの一つ。《迷宮内強化》があるため、ダンジョン内にいる場合全ステータスが上昇し、ソードスキルや魔法の威力が上がる。上がり具合はそのダンジョンの強さによって変わる。また、《サイズ調整》があるため、誰がつけてもちょうどいい。
回復力がバケモノの装備を作り上げられたようだ。
万が一一撃死するほどの攻撃を受けることも考えて、物理、魔法ともにレベルⅤの障壁スキルを付けた。死なすわけには行かないからね。
ペンダントの《迷宮内能力上昇》は、ダンジョンコアを使ったからだろう。
剣にも埋め込んだはずだが、その手のスキルは出なかったな……。ランダムな確率でスキルが出現するんだろう。
防具を作ったのは初めてのはずだが、『エターナライトシリーズ』と同等かそれ以上のものができるとは。最強の素材を使っているのと職人神の寵愛を受けるほどの技術があるからだろう。
「スカイ、ありがと。すごい動きやすくて美しくてかわいい。とにかくサイコーな服!」
「どういたしまして。あと服じゃなくて防具な。見た目だけは服かもしれないけど……」
「ん、防具」
今日はもう遅いし、明日街に帰ろうかな。いや、フィーナもリライも帰りたそうにしているし、今日中に帰るか。
俺たちは洞窟を荒らして痕跡を徹底的に消してから、三人仲良く並んで空を駆けていった。
■■■■■
俺たちは街の壁が見えたところで、街へと続く街道にシュタッと降り立ち、そのまま走っていった。
門が見えてくると、そこには一台の薄汚れた馬車が停まっていて、一人の男が衛兵と話しているようだ。普通、こんな真夜中に荷物とか持ってくるか?
その場で立ち止まって聞き耳を立ててみると、明らかに上ずっている声でかわされる怪しげな会話が途切れ途切れだが聞こえた。
「こ……れい、か――じょうも――」
「おお、そ――」
顔を、暗視スキルをフル起動し、遠視しようとしてみると、何やらニヤニヤしているようだ。
《Information:スキル《遠視Ⅰ》を習得しました》
《Information:スキル《暗視Ⅰ》《遠視Ⅰ》が《暗視Ⅹ》《遠視Ⅹ》にレベルアップしました》
男は、ちょび髭を生やし帽子を被った商人風の装いだったが、不敵に微笑むその顔はどうしても怪しかった。
更に聞き耳を立てていると、《聞き耳Ⅴ》にレベルアップし、半分ほど途切れが減っている。
「ささ、ひっ捕まえてきた――少女しょ――奴隷を見てみてくださいな。今までと――できっと満足していただ――ょう」
「ほう。楽しみだ」
ひっ捕まえてきた、奴隷……?この言いようだと、闇奴隷、正式名称『違法奴隷』の可能性が高い。この二人は、多分グルだろう。
男によって幕が開かれる。衛兵が邪魔で見ずらいが、魔力で効果を底上げして見てみた。
輝きを失ってしまった金髪。泥で薄汚れている顔と肌。色々透けるほど薄い粗末なワンピース。少女を縛る大きな首輪と腕輪。少女はそんな姿だった。
しかし、薄汚れていても美麗とわかるその顔立ちは、どこかで……?
「――!!」
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