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第21話 戦闘開始

「戦闘準備を整えろ!」



 グレンが叫ぶと、Eランク冒険者が荷車から武器を取り出し、グレンを先頭にして迫りくる10体のホブゴブリンへ走っていった。


 ホブゴブリンの剣先と、冒険者たちの剣先がぶつかり、キンキンという音が聞こえてくる。


 かなり互角のようだが、少しだけ冒険者たちの方が強い。ちょっとずつゴブリンが斬り捨てられていく。


 だが、怪我を負ってしまっているようだ。


 さらに、後ろからどんどんホブゴブリンが迫ってくる。これじゃEランクには負担が大きすぎる。


 矢や火の玉、礫が飛んでくるのも見える。


 グレンに伝えて、指示を出してもらわないと。あのEランクの人たち、全然下がる気ないぞ!?



「グレンさん!」

「スカイか。どうした!」

「後ろからどんどんホブゴブリンが迫っています。怪我をしているものもいるようです!」

「わかった。みんな!軽い怪我でも負った者は、今すぐ下がって治療を受けろ!回復魔法が使える人は、ここに残ってくれ!」

「「「おう!!」」」



 指示が伝えられると、地面に布が敷かれ、怪我人が横たわった。


 にしても、回復魔法が使える人少なすぎないか?俺たち含めないで5人しかいないじゃないか。


 しかも、深い傷を回復できる《ハイ・ヒーリング》を使える奴は、一人しかいない。


 これじゃ怪我人が増えていく一方だ。


 俺は、怪我人の治療場所に向かい、《サークル・ヒーリング》を発動した。


 《ヒーリング》の広範囲版で、一度に多くの怪我人を治せる。ついでに、一定時間回復し続ける魔法もかけてやろう。



「一瞬で痛みが消えた!」

「スカイさんって県使いじゃなかったんですか?」

「俺は回復魔法も使えるんだ」

「「「スゲェ!」」」



 冒険者たちのあこがれの人を見るような目線を受け取りながら、前線の冒険者たちに補助魔法を――



「あ!フィーナ!ずるいのです!」



 リライのそんな声が聞こえたので、穴の中を見てみると、フィーナが無双する姿を、Dランク冒険者たちが立ち尽くしている様子が見えた。



「ん?みんなも早く戦って」

「あ、はい!」



 もういいや。フィーナもリライも自由に動かさせてやろう。二人とも冒険者たちにホブゴブリンを残しているようだし。


 俺も補助魔法をかけたら戦うか。


 一瞬で補助魔法をかけ、ダンジョン内に飛び込んだ。



 ■■■■■



「あ、スカイたち!単独行動はしないように!」

「むぅ」

「そんな早く進んでないつもりなのですが。あの人たちが遅いのです」

「二人とも、そんなことは言わないの!」

「全部聞こえてるぞ!」



 グレンたちが、後ろからどたどたと足音を立てながら追いつこうとするも、距離が離れていく一方だ。


 仕方ないので、移動速度を上げる魔法をさらに重ねがけしてやる。これで差は少しずつ縮み始めるだろう。


 その後も、俺が《蒼穹剣》を、リライが《轟雷爪》を、フィーナが《魔剣・リリーサー》を振い、ものすごいスピードで数を減らしていった。


 そして、ついに1層のボス部屋へたどりついた。



「ふむ。ここがボス部屋か。みんな注意していくように!とくに、スカイたちは、ゴブリンが弱いからと言って油断するなよ!」

「「「はーい」」」



 グレンが重そうな扉を開くと、大きな二つの影が見えた。


 ゴブリン・キングとゴブリン・クイーン。そして、そいつらを守る5体のホブゴブリンたち。


 俺たちが攻略した時と全然ちがう。あのときは、ホブゴブリン一体だけだった。


 それだけダンジョンが成長したということだろう。



「キングとクイーンは後で倒そう!まずはホブゴブリンから倒す!」

「「「おう!」」」



 いっせいに駆け出した冒険者たちは、あっという間にホブゴブリンを斬り捨てていった。


 その間、俺とリライとフィーナは、キングとクイーンの武器をバキバキッと粉々に砕いていた。



「おいおい。あの子、一瞬でキングの大剣とクイーンの双剣を破壊したぞ!」

「まじかよ。あいつらグレンたちより強いんじゃないか?」

「そうだな。俺たちより圧倒的に強いだろう」

「グレン兄さんも認めるほどですか……」

「ああ。認めざるを得ない。ステータスだけじゃなく、剣の腕でも負けているだろう」



「グレンたち!武器を壊したから、もう滅多打ちにしても大丈夫だ!」

「ありがとう。おかげで楽に倒せそうだ」



 そして、剣で串刺しにされたキングたちは、一瞬で息が消え、絶命した。次の層への魔法陣と、帰還用の魔法陣が現れる。



「よし。今日はここで野営をしよう。ここは一日の間ゴブリンも湧かないだろう」

「「「はい!」」」

「誰か帰還用魔法陣に乗って、食料やテントを持ってきてくれる人はいないか?」



 ……誰も名乗りを上げないな。自然に湧くホブゴブリンに恐れているのかも知れない。



「ああ。俺が行ってくる」



 そう言って短い静寂を破ったのは、もちろん俺だ。



「おお!スカイ!頼りにしてるぞ!」

「ありがとうございます」



 魔法陣に乗ると、ボス部屋の景色が薄れていき、俺の姿が掻き消えた。



 ■■■■■



「うわっ。まぶしい……」



 仮拠点に着いたら、急いで荷物をアイテムポケットに放り込む。


 ついでに、回復役とFランクの人もつれていくか。



「一層は攻略したから、君たちもついてきてくれないか!?」

「「「了解!」」」



 俺は、数人の冒険者たちを引き連れ、風魔法で追い風を生み出したり湧いたホブゴブリンを消しながら、ダンジョンを駆けていった。


 やっぱり、後ろの人が遅かったので、補助魔法をやたらとかけた。


 そして、一分足らずでボス部屋に着いたのだった。

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