表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/73

第15話 冒険者登録とパーティー登録

「こちらがフィーナ様のギルドカードになります」

「ん。どうも」



 今、俺たちは地下室にいる。フィーナの冒険者登録のためだ。


 テストも難なく合格し、Eランクからの登録ができる。


 フィーナが、リディアからギルドカードを受け取った。


 職業は『剣聖』にしたそうだ。腕力に大幅なステータス補正がかかっている。



「あの、スカイさんとフィーナちゃんはパーティーを組むのですか?」



 パーティーか。そこまでは考えてなかったが……。



「ん。もちろん」

「え!?」



 いいのか?俺は別にいいんだけどね。



「嫌?」



 フィーナが上目使いで俺をじーっと見つめている。



「フィーナが良いなら俺もいいぞ」

「ん」

「では、パーティーリーダーはどちらにしますか?」

「ん。スカイで」

「了解です。では、パーティー名を考えてください」

「ちょ待てよ。勝手に話を進めないでくれよ」



 うーん、パーティー名か。いろいろ考えてみよう。


 俺たちの共通点は、異常な成長速度と、剣を使うこと。


 あとは髪が長いことくらいか。それは関係ないな。


 あと、うちにはフェルルとファルルもいるから、二人のことにもちなんだ名前にしたいな。


 魔法使いの要素も入れたいが……。難しいな。


 それらを考えて浮かんだ言葉は『天剣』『神狼』ぐらいだな。


 悩みに悩んで5分。ついに名前が決まった。



「『魔天剣と神狼の輝き』にしようかな」

「了解です。パーティー登録をしておきますね」

「おお。かっこいい」



 うん、ちょっと魔法要素を入れたけど、無理矢理感がいなめないな。まぁ、良いか。フィーナも気に入っているようだし。



「では、こちらがパーティーカードです。スカイさんの魔力を流すと魔力が登録され、パーティーが冒険者ギルドネットワークに登録されます」

「へぇ〜。そうなのか」

「このカードにスカイさんの魔力を通すと、パーティー名とパーティーランク、パーティーメンバーが浮き出てきます」

「ほぅ、すごいな」

「あのとき説明し忘れましたが、冒険者カードでもなりますよ。カードに刻印されているのに、不思議ですね」

「あはは、そうだな」



 魔力を流してみると、確かに、青い文字が浮かび上がってきた。



「パーティーランクはDランクからですね」

「え?Eランクじゃないのか?」

「パーティーランクは、パーティーメンバーの戦力によって決まります。Eランク二人であれば、ひとつ上のDランクになりますよ」

「なるほど。知らなかったな」

「あ、ゴブリンダンジョンの攻略隊は、5日後に出発する予定です」

「わかった。教えてくれてありがとな」



 ■■■■■



 宿につくと、フィーナがお風呂へ向かっていったが、10分ほどで上がったようだ。



「飯にするぞー!」

「わーい!ハンバーグ!」

「いや、今日はハンバーグじゃないぞ」



 今度は、からあげをあげてみよう。でも、肉はレアなものじゃないからな。ハンバーグよりは美味しくないんじゃないか?


 とりあえず、10個くらい出してみる。


 フィーナにフォークを渡すと、すぐに口へ運んだ。


 レベルが上ったからか、フォークをからあげに刺して口に運ぶまでがかなり速かったな。少し霞んでたぞ。



「かりかりー。おいしいけど、ハンバーグよりは美味しくない」

「仕方ないだろう。ドラゴンよりも圧倒的に弱い魔獣の肉なんだから」

「ん。ハンバーグ5枚とからあげ5個ちょうだい」

「おいおい。流石に食いすぎだろ……」

「ん?明日も頑張る」



 今日は頑張ったし、良いか。


 俺と二人の分のからあげを出して、カリカリという音に癒やされながら飯を食っていった。




 ベッドにある時計の時針が、10時を指した。


 フィーナはベッドで、フェルルとファルルは床で、子犬サイズになってすぅすぅと眠っている。


 さて、教会に行くか。神に挨拶をしに行こう。


 ここから一番近い教会は……。冒険者ギルドの後ろへ進んだところにあるところだね。


 街の人に見つからないように、高度1000メートルを飛んで、目的の教会へ向った。


 外見は、ヨーロッパの普通のキリスト教会のようだ。


 中身も質素で、そこまで装飾されていなかった。


 教会では、回復魔法を受けることができ、《ヒーリング》は銅貨3枚、《ハイヒーリング》は銅貨8枚で受けられる。


 祭壇の部屋には、10柱の神の石像とお布施を置く台があり、そこで祈りを行うようだった。


 お布施のお金は指定がなく、自由なのがこの世界で一般的なようだ。多ければ多いほど神に守られやすくなると、この世界の人は考えている。


 俺は台に銀貨一枚のお布施を置き、手を合わせ、目をつぶって祈った――。



 ■■■■■



『おう、久しぶりじゃのう』

『久しぶり、スカイ!また俺の眷属の眷属がお世話になっているようだな!』

「ああ、フィーナのことね」



 目の前には、輪廻の神、獣魔の神がいる。



「そういえば、神たちには名前があったんだな。前教えてくれても良かったんじゃないか?」

『いや、本当は儂らに名前なんて無いんだぞ?人々が勝手に名付けたのじゃ』

「ふーん」

『さて、なんの用かね?』

「いや、特に何も。挨拶しに来ただけさ」

『ふっふっふ。そうかそうか』



 輪廻神が、顎に蓄えられた真っ白な髭をさすりながら笑った。



「あ、獣魔神、神狼と神獣を見てみたいんだけど、呼べるのか?」

『おう、神獣は5体いるけど、フィーナという小娘とやらに寵愛を授けた神獣でいいか?』

「ああ。そう言おうと思ってたよ」

『分かった。――ジャニス、ロイ、出てこい!!』



 獣魔の神の両側から魔法陣が現れ、何かが勢いよく飛び出した。



『ジャニス。神狼だ』

『ロイ。神獣の一体だ』



 無愛想に念話で話しかけてきたのは、獣魔の神に呼び出された神獣たちだった。


 神狼のジャニスは、いかにもフェンリルって感じだ。体も大きく、目も美しい。永遠神竜なんて霞むほどだ。


 なにより、体がモッフモフ。あそこに今すぐ飛びつきたいが、神狼ならたやすくかわされてしまうだろう。


 神獣のロイは、クマがもっと大きくなり、もっと恐ろしくなったような見た目だ。


 だが、普通の単調な色のクマとは違って、たくさんの色が複雑に美しく並んでいる。



「なぁ、なんで神狼と神獣を分けたのか?別に一緒でも良かったじゃないか」

『ああ、それはこのジャニスが答えよう。我が主は、動物の中で一番オオカミが好きなのだ。だから、我に他の神獣たちよりも大きな力を与えてくださった』

「なんだそれ」

『我ら神獣たちも決して弱くはないのだが、神狼の5分の一ほどの力しか持っていない』

「獣魔の神ってえこひいきするんだな」

『うるさーい!自分の好きなものとかを優先するのは、神も人も同じなんだよ!』





 さて、神獣や神狼、そして獣魔の神の意外な一面も見れたところだし、帰ろうか。



『俺のえこひいきは他に伝えるんじゃぁないぞ!』

『広めても構わないぞ!なんか面白そうじゃしな』

「あはは。じゃぁ、またな――」



 ■■■■■



 10柱の神の像が目に入った。


 時間は進んでいないようで周りにいた職員と思われる人の場所も変わっていなかった。


 よし、もう夜も遅いことだし、さっさと寝よう。ベッドは、フィーナに半分使わせてもらうか。


 俺は教会を出て、再び高度1000メートル取って、宿へ向かって空を蹴った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ