第9話 ダンジョンについて
「あら、スカイさん」
「よっ、リディア。薬草採集の依頼6つと、ゴブリン5体討伐の依頼終わったよ」
「速いですね。では、買い取りカウンターへ行きましょう!」
納品量は、『ヒーリング草』が800グラ、『マジックリカバリー草』が500グラ、『スタミナリカバリー草』が450グラ、『毒消し草』『解熱草』『麻痺草』が300グラだ。
一応、採集した分は全部出しておく。ダメなやつもあるかも知れないからな。
そして、ゴブリンについてだが、討伐証明として魔石を提示しなければならないので、輝きなど微塵もない、はっきり言ってみすぼらしいゴブリンの魔石を5個出しておく。
「なるほど。ヒーリング草には数本だめになっているものがありますが、それ以外は全部完璧ですね。ゴブリンの魔石も5個あります」
やはり、スキルを習得したてのときに採ったヒーリング草はだめになったものがあったか。まぁ、仕方ないな。
そして、いろいろな査定と計算が終わったようだ。
「まず、薬草採集の依頼達成の分で合計大銅貨5枚、余った薬草の買い取り額で合計大銀貨4枚、ゴブリンの依頼達成で大銅貨1枚です」
おお、結構な収入になったな。やはり高品質な薬草は高く売れるようだ。
お金を受け取って、本題に入る。ダンジョンについてだ。
「リディアさん、あの……コソコソ……」
「わかりました。すぐにギルドマスターに伝えにいきましょう」
「え?あ、はい」
そんなギルマスに報告しないといけないぐらい重要なのか?
俺たちはギルマスの部屋へと向かっていった。
――ゴンゴンゴン!
「わっ!」
「失礼します。スカイです」
「ああ、スカイ君でしたか。もうちょっと静かにノックしてください」
バタン!
「すみません、なぜか力んじゃって」
「まぁ、気をつけてください。で、どんな要件でしたか?」
「ゴブリンダンジョンを発見しました」
「なっ、ゴブリンダンジョン?フォレスタンの街にはそんなダンジョンはなかったはずだから、新しくできたんですかね」
「多分そうですね。ちょっと入りましたけど、そこまで古いとは感じませんでした」
ほんとに古くなかったな。石門に苔とかほとんど生えていなかったし、洞窟の中も蜘蛛の巣とか殆どほとんどなかった。
「ゴブリンダンジョンだったら、すぐに攻略してダンジョンコアを破壊しないといけませんね」
「すぐに?なんでですか?」
「ゴブリンは人間をすぐに襲ってくるんですよ。大きな群れに成長したゴブリンは、小さな村などを侵略してきて食料を奪っていきます。ダンジョンとなると、群れが成長する速度が速く、放置していれば、街を滅ぼすこともあります」
「それは危険ですね」
「ダンジョンコアを破壊すれば、ダンジョンは死に、消えます。ゴブリンダンジョンは、すぐにコアを破壊するようにと世界にも定められているのです」
「へぇ」
でも、ダンジョンの核となるコアは、そんなたやすく壊れるんだろうか。
「コアは、謎の超硬い物質でできている上、強固な障壁で守られているので、簡単には破壊できません。なので、各ギルドに一つある、『コア破壊の水晶』で壊します」
「やろうと思えば人間でも壊せるのか」
「そんな事ができるのは、ランクA冒険者以上の力を持つ者ぐらいでしょう」
ランクAの冒険者がどのくらいの実力を持つのか知らないが、超高威力で攻撃すれば壊れるんだね。
「スカイ君には、ダンジョン報告による報奨金として金貨5枚出しましょう」
「えっ、なんでですか?」
「知らないのかい?ギルドに新しく発見されたダンジョンを報告するとお金がギルドから出されるのですよ。しかも、今回はゴブリンのダンジョン。私たちが脅威にさらされるダンジョンについて報告すると、5倍の報奨金が支払われるのです」
「ふむふむ。知らなかったな」
ギルマスから金貨5枚を受け取り、そそくさとギルドを出た。
いやぁ、かなりのお金が入ったね。こういった一攫千金を狙って、みんな冒険者になるんだろうな。
日が陰ってきた。
時計がそばにないため、時間がいまいちよくわからない。腕時計でも創造しようか。バッテリー部分と電気回路をうまく変えれば、魔力で動く腕時計になりそうだ。
宿に戻り、晩飯を食ってから作業に入る。
まず、生み出した腕時計を分解し、バッテリーを絶対竜王の魔石、導線をハルモリウムに変える。
腕時計だから、わざわざ永遠神竜の魔石を使う必要はないだろう。
あとは歯車をもとに戻してネジを止めれば……。うん、完成だ。カチッカチッと秒針が規則正しく動いている。
他にも目覚まし時計や、家を手に入れたときのインテリアとして使う壁掛け時計なども作っておく。
前世で時計分解しまくってよかったー!何に役立つんだと思ってたけど、人生何があるかわからないね!