第5話 ギルドマスター
階段を登っていくと、一階のフロアよりは少し薄暗い通路に出た。
奥の方の右にドアがある。どうやらそこがギルマスさんの部屋だそうだ。
「ギルドマスター。スカイ様です」
「どうぞ」
若々しいリディアの掛け声に、同じくらい若々しい声が返ってきた。
ドアをガチャッと開けて中へ入ると、耳の長いエルフの男性と、さっきの試験官イライアもいた。
「はじめまして。私はビンセントだ」
「スカイ・インフィニティです」
「スカイ君。施設をかなり破壊したとイライア君から聞いているよ」
「はい。申し訳ございません。しっかり弁償させていただきます」
「うん。君が登録をしている間に修繕費を見積もったら、金貨8枚になったので、君に支払ってもらう。払うときは、受付で払うように」
「わかりました」
ビンセントの話が終わったようなので、「失礼します」と声をかけ部屋を出ようとしたが、「待て。まだ話があるのだ」と止められた。
「何でしょうか?」
「君のその剣術や、結界で強化していた壁を破壊する威力の魔法をなんで使える?」
「それに関しては秘密です。恥ずかしいので」
「君、本当に15歳か?」
「それは本当です」
中身は18歳だけどね。
「……そうか。その外見だから嘘はないな。しばらく引き止めてすまなかった。
「いえいえ」
「あと、金貨8枚を弁償してもらうと言ったが、その実力ならすぐにいい素材をギルドに売れるだろうから半額の金貨四枚にする!その代わり、依頼をしっかり受けるようにしなさい」
「はい、あと、従魔登録をお願いします」
「おっと、すみません。忘れてましたね。では、この紙に種族名と名前を記入してください」
ビンセントは紙を二枚渡してきた。
うちの子たちは二匹で一つだけど、そのまま記入してしまおう。
「フェンリライアンス・ファングアークだと?SSランク魔獣じゃないか……と言っても嘘だろ」
「え?本当にそうですよ!」
「じゃぁ、その証拠を見せt――」
「フェルル、ファルル!融合!」
「「アオーン!」」
いつもの融合フェーズを終えると、リライが出てきた。えっへん!といったポーズを見せていて、なんだかかわいいな。
……別にロリコンではない。
「ね!ビンセントさん。ご主人さまの言っていることは本当なのですよ!」
「なにッ!?本当にそうだと!?」
「ほらね。リライ、戻っていいぞ」
「あ、もうちょっとこのままがいいです!」
「ならそのままでもいいぞ。ビンセントさん、別に問題なく登録できますよね?」
「もしその子が暴れ出したら君は抑えられるのか!?」
「そんなの、――簡単に抑えられますよ」
殺気を少し出して答えた。ビンセントにだけ向けて放ったので、他に影響はない。
ビンセントは顔色を悪くしている。
「わかったわかった。わかったから、殺気を抑えてくれ」
「ね?だから、簡単に抑えられると言ったのですよ」
その後、問題なく登録を完了させ、ペンダント型の従魔証をもらって首輪につけて、リディアと一緒に部屋を出た。
「リディア、早速素材をたくさん売りたいんですけど、いいか?」
「はい。解体はお済みですか?お済みでない場合は、買い取り額から少し手数料を引きますが、職員が解体します」
「ああ、解体はできているよ。本当にたくさんあるから、ちょっと心の準備をしておいたほうがいいよ」
「では、広めの部屋に案内しますね!」
一階のフロアに戻ると、素材の解体の前に、フロアを色々案内してもらった。
解体スペースや素材買い取りスペースなど、たくさんの施設があるようで、充実していた。
俺たちは目的の買い取りスペースに入り、買い取りを始める準備をした。
D〜Cランクの魔獣の素材は、食材になるもの以外全部売ろう。
さすがに、虚空から素材を出すのはなにか良くないと思うので、門前の商人がお金を入れて渡した布袋から出すというよう演技をして出す。
《Information:スキル《演技Ⅰ》を取得しました》
こんな簡単な演技でもスキルゲットできんのかよ!どんだけイージーなんだ!
「本当に多いですね……。しかも中級の魔獣じゃないですか。どうしてこんなにも量があるんだろう」
「レベルⅩ解体スキル持ちでして」
「それでも量が多いです!どれだけの魔獣を倒したらこうなるの……」
そんなにか?まぁ、周りの冒険者達のざわつき様だと、結構多いのかもな。
「何者だあいつ……」
「さっきの新人じゃないか?めっちゃかわいくて幼い犬獣人連れていた」
「ああ、最初からEランク登録の期待の新人じゃないか」
「でも、最初に方に乗せていた犬っ子はどこいったんだ?」
「知らない。聞いてみれば」
聞いても教えないぞ。あと、リライに声をかけそうなロリコンっぽいヤツもいるから、オーバーコートに隠れさせてもとに戻るように指示した。
大量の素材を十数名で査定していく。慣れているのか、ものすごいペースだな。
「合計、金貨7枚と大銀貨9枚、銀貨8枚になります」
その言葉を聞いた周りの冒険者が、一瞬静まり返った。
「えっ。高くないですか?」
「いえいえ。スカイさんが持ち込んだ素材はすべて質がよく、ほとんどが全身が揃っています。その影響で、かなりの額が上乗せされています」
「へぇ、なるほどね」
リディアの説明に納得して、俺はカウンターでお金を受け取るのを待った。
「では、こちらをお受け取りください」
「あ、金貨4枚は、弁償のためにはらうから、差し引いてくれないか?」
「はい。では、差し引きまして、金貨3枚、大銀貨9枚、銀貨8枚と、領収書です」
「ありがとう」
さて、あとは宿屋を見つけてもう休もう。
「色々あったな」
「「ワフ」」
俺は、穏やかな日常の始まりを感じながら、冒険者ギルドから出ようと、リディアのいるカウンターに背を向けたときだった――。
「おい、待てやそこのガキィ!」
「待ちやがれ!」
――身長が俺よりも高い筋肉ダルマと、その取り巻きが声を荒らげ、通り道を塞いだ。
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